一番偉い人①
6.一番偉い人①
イロリは、世の中で一番偉い人になろうと思いました。
向うから、偉そうな紳士がやって来ました。
そこでイロリは聞きました。
「もしもし、世の中で一番偉い人は、誰ですか?」
すると紳士は答えました。
「ふん、それは君、政治家に決まっているじゃないか」
そう言うと、すたすたと、行ってしまいました。
「なぜ、政治家が一番偉いのかなあ」
イロリが腕を組んで考えていますと、紳士が戻って来て言いました。
「それは君、まず、選挙で選ばれて、国民のために、政治をするからだよ、エヘン」
「国民のためにどんな政治をやっているの」
とイロリが聞きますと、紳士は、ぐっとふんぞり返って言いました。
「先ず、国会というところで、議論をして、法律を作るのだよ、君」
「ふうん、誰の為に作るの」
と、イロリが聞きますと、一層ふんぞり返って言いました。
「君い、決まっているじゃないか、それは、この俺様に清き一票を入れてくれる人達のために、作るのさ。誰が俺様に反対する者達の為に作るもんか、それに、俺様に賛成する人達は、せっせとこの俺様に、献金をするんだ、可愛いじゃないか、嬉しいじゃないか」
「でも、献金は、あなたのものではないでしょう」
とイロリが言いますと、
「そうだ、その通りだ、でもこんなに苦労しているのだ、少し位、この俺様がもらったて良いだろう」
と、紳士は、またまたふんぞり返って言いました。
そして、すたすたと向うに歩いて行きました。
「ふうん、政治家って本当に偉いのかなあ?」
イロリは腕を組んで、考えました。