政治家と庶民
3.政治家と庶民
イロリは、誰が一番偉いのかなあ、とひとりごとを言いながら歩いていました。
すると、向うから、髭を生やした、かっぷくの良い紳士が来て言いました。
それは君、我々政治家に決まっているじゃないか、何しろ国民の代表だからね、国民が幸せになるために、法律を作って、それを内閣に実行させるのさ、どうだ、エヘン、これ以上偉いものは無いだろう。
すると、向うから、また誰かやって来て言いました。
何を言うのだ、それは、我々庶民に決まっているじゃないか、何しろ、選挙でその政治家を選ぶのだからね。エヘン、ボスは庶民だよ。
政治家が言いました。
ふん、愚かな庶民め、お前らは、政治なんか誰がやっても変わらない、などと言っては、選挙に行かない。だから投票率が下がるのだ。
そこで、我々は我々に賛同する人達にお願いして、選挙に行ってもらうのだ。
勿論、それなりの見返りを用意してな。
だから、我々は、何をやっても当選するのだ。
庶民が言いました。
いつまでも、庶民を馬鹿にするな、庶民は今学んでいるのだ、どんな政治家がこの国に必要なのか、どうすれば誠実で嘘をつかない政治家を当選させるのか、そのためには、庶民は何をすればよいのか、庶民を馬鹿にすると、そのうちきっと痛い目を見るぞ。
庶民に何が出来ると言うのだ、何も出来るはずがない。
いや、悪い政治家は即刻退場させる。
我々プロの政治家がいなくなったらこの国はどうなるのだ。
正実で実行力のある、政治家を庶民が育てるのだ、または、我々自身が政治家になればよい。
庶民にそんな力が有るものか。
政治家と庶民が言い争うのをイロリはじっと聞いておりました。