男と女
2男と女
イロリは海を眺めていましたが、あんまり良い天気だったので、ついうとうとと、いい気持ちになっておりますと、若いアベックがやって来て、イロリのそばで口論を始めました。
女が言いました。
女の方が偉いに決まっているじゃないの。
この世に女がいなくなれば、男は寂しい思いをするでしょう。
それに、女にしか子どもが生めないのよ、女がいなければ、子孫は絶えて、人類は滅んでしまうのよ。
男が言いました。
男の方が偉いに決まっているじゃないか。
この世に男がいなくなれば、女も寂しい思いをするだろう。
それに、女にしか子どもは生めないけれど、男がいなければ、子どもは出来ないじゃないか、男がいなければ、やはり、子孫は絶えて、人類は滅んでしまうのだ。
女が言いました。
男は戦うことを好むけれど、女は平和を好む。
それは、子どもを守るためなのよ。
男が言いました。
男も平和を好むのさ、だが、男は戦う。
それは、奥さんと子どもを守るためなのだ。
女が言いました。
男って本当に気が短いんだから、気に入らないと、すぐに怒鳴り散らす。
卑怯で、意地悪なのだから。
男が言いました。
女って、本当に意地が悪いよ、ちょっとした失敗について、何年も、文句を言い続ける。
卑怯で、意地悪なのは女も同じだ。
政治家は男の方が多いのだぞ。
看護師は女の方が多いわ。
警察官は男が多い。
保母は女が多い。
だから、男が偉いのだ。
いや、女が偉いに決まっている。
男と女の口論は、この後、長々と続きましたが、最後には、互いに疲れたのでしょう。
やっぱり、男と女は仲良くしなければいけないね。
そうね、男には、良いところと悪いところがあるし、女にも、良いところと悪いところがあるわ。
何て、言い出す始末です。
あんなに、騒がしく口喧嘩をしていて、うるさくて、うとうとも出来なかったのですが、今度は、この男女が、急に仲好くなってしまったので、イロリは、バカバカしくなって本当に寝てしまいました。