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「焦茶の髪に、色白の男だった。背丈は170~175くらい、細身でスーツ…多分返り血除けのためにかっぱを着てた。警察の話だと公園の公衆トイレにそれが脱ぎ捨ててあったらしいから、おれを撃ったあとそこに捨てたんだろう」
警察にもまだ伝えられていない、思い出す限りの犯人の特徴を告げても、傍らで阿出野は口元に手を添え考え込んでいる。
「…その特徴だけじゃ誰が犯人だかわからない、が…犯人はお前に都合の悪い情報を握られているからそれを消すために撃ったのには間違いないんだ
何か心当たりはないのか?」
「心当たり…?おれはなると分かれて…あんたの素性と冨樫、それから田賀谷のことについて調べていただけだよ」
「ちょっと待て。なんでお前が冨樫、それから田賀谷のことを知ってる」
「なるとあんたが出掛けた数日後、田賀谷がうちに来たんだよ。そのときあんたの事情を教えることを条件になるを連れ出して情報を吐露した。あいつが居なければあんたの過去も、冨樫のこともわからなかったよ。全部あいつが話したんだ」
ーーー道理で。
阿出野の中で、ずっと腑に落ちなかった点がようやく繋がる。それは、自分が一言も話題に出したことのないなるのことを田賀谷が熟知し、接触していたことも含め、高草木が撃たれた"理由"でもあった。
「…わかった。…行くわ」
「 あんたさ」
立ち上がり、部屋を出ようとする阿出野の背中を高草木が呼び止める。
阿出野は、あえてその声に対して振り向くことをしなかった。
「…あんたさ。もうわかってんだろ?犯人」
「…秘書…?」
田賀谷の言葉に眉を顰める私に、彼はにこりと微笑んだ。
「正式には事務、かな
興信所って言っても全員が全員出払うわけじゃ無いから、勿論普通の会社のように内部で書類整理を行ってくれる人間がいる。中でも俺の部下で阿出野の助手的公務をしていた人間がいてね、冴木という奴が彼を撃った」
彼の口ぶりを真っ向から見ていると、まさかわざわざ嘘をついているようには見えない。無論、失言をこぼしたようにも到底思えなかった。