表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RUSH  作者: 或田いち
FILE7.孤独の闘志
156/201

12

 

「…」


「でも、今あでは本能のまま動いてる

 …復讐しようとしてる、家族を貶めた奴のために」


「…私のせいだ。あの日…あでが私を助けに来なければ。私が騙されたりなんかしなければ、阿出野は家族を救えたのかもしれない」

「…」


「…全部、私のせいだ」


 7年前のあの日にもし戻れるのなら。駆けつけた阿出野を押し返して今すぐ家へ帰れと叫ぶことが出来るだろう。…でも。

 全ての事情を知った今でも、この後に及んで阿出野を押し返すことがきっと出来ないだろう自分に、一番、何よりも、腹が立った。





 長い、長い、沈黙。その口火を切った声は、しかし余りにも無感情だった。


「…ふーん」


 高草木にしては、当然の声色だ。にしたって、どうにも反応が冷たすぎやしないか。


「…なんだよ」

「いや、バカだなぁと思って」

「…は!?なんで私がバカ、」

「バカだよ。なるは男勝りだけど。男の気持ちを全く理解してないよ」

「…!?」


 今までこんな風に落ち込んだ時、優しく同情してくれたのが後輩であり、相方でもある高草木という存在だった。それだけに、予想だにしない言葉を投げ掛けられ、私は露骨に目を白黒させてエクスクラメーションマークとクエスチョンマークを、交互に弄ぶことしか出来ない。



「阿出野は別に自分の家族が死んだのはなるのせいだなんて思ってないよ

 もし仮にそう言ったなら、おれがあいつをぶっ飛ばす」

「…(シャレにならないよ)」

「…でも、きっとあいつは後悔してるだろう

 あの時自分が家に帰っていれば、父親と話をしていればって


 …そうしていれば確かに助かっていたかもしれない。でも…多分答はそうじゃない。きっとどうにも出来なかったんだよ、誰にも」

「…」


「おれは向こう見ずでも、がむしゃらに頑張ってるなるのことが好きだ

 …あいにくおれのためじゃなかったけどさ。今のなるは未練がましくて見ていられない」

「…」


「阿出野も。なるに本音を話したのは、なるに前を向いて欲しかったからだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ