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RUSH  作者: 或田いち
FILE6.落下する夕暮れ
124/201

5

 

「一週間に一度は会いに行っていい!?」

「多いわ」

「じゃあ二週間に一回!」

「お前さ、そんな会いにきて何をそんな話すの。今時妹が兄に話すことなんか知れてるよ?」

「だって今まで毎日話してたんだもん!それに比べたら蓄積されるうっぷんとか、もう、たくさんあるんだから!」

「覚えたての日本語使うな。お前の愚痴なんてどーせしょうもないだろ犬にでも話しとけ」

「いいじゃない慎。夕凪、何度でも会いに来て。お母さんも仕事始めるからあんまり会えないかもしれないけど、来てくれる日は楽しみにご馳走作って待ってるわ」


「お母さ~ん(泣)」


 最後までびーびー泣き喚く妹に耳を塞いだ。そういえばこいつ小学生だった、と後になって気付いた。如何せん言動ばかりが生意気だから、


「お兄ちゃん!彼女出来たら絶対教えてよね!?」

「やだよ」

「出来ないとは思うけど!」

「うるせーバカ!」


 その時交わされた約束こそ二週間に一度の面会だったが、俺自身高校受験を控えていた事情もあり、結局その周期で妹が俺や母を訪れたのは一度きり、それ以降は無事俺が高校に進学、妹が中学に上がると月に一度か、多くて二度の感覚で会うようになって行った。…






 季節は春になった。高校に入学して一ヶ月。ある程度学校生活にも慣れた頃、席替えをした。


 窓際から二列目の一番後ろの座席だった。窓際の隣には知らない女子生徒。焦げ茶髪っぽいざんばらの髪に小柄な体躯。頬杖をついて外を眺めている。


「あれ、成滝っつーの」


 隣の遠藤が口を挟んだ。こいつとは小中学同じだったが、相も変わらずニヤケヅラで何がそんな面白いわけ、と聞きたくなる。


「白滝みたいな名前なのな」

「顔はね、中々なのよ。、でもさあの態度。休み時間なってもずっとあの調子で空見てんの。しかもこう結構サバサバ系。でも可愛いんだよ。ツンデレっていーよね~」


 褒めてるのか貶してるのかどっち?と聞き返す直前で担任が教室に入ってきた。ガタガタと自然に席に着く生徒。ふと、居直った隣の成滝と視線がぶつかる。


 つり目。確かに性格きつそう。ってのが、第一印象。


「俺阿出野。よろしく」


 にこ、と適当な笑みをはっ付けてみると、彼女はさして興味も無さげにぺこ、と頭を下げた。

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