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そのあとはもう、流れるように事が運んだ
「俺たちはまだ三人でテーマパーク内回るから!探偵さんはもう帰ってもらって大丈夫だよ。お疲れ」
「ありがとうございました」
「あはは…お疲れ…」
自由奔放な10代(一人21いるけど)を白目を剥いてお見送りをするこの使えない探偵の居た堪れなさったらない。
あではといえばとっくにくだらねーとか言って出口へと向かって行ってしまった。長駆なあいつの歩幅を考えるとそうそうのんびりしてられない。追い掛けるようにその後に続くと、途中であっ、と拓馬くんが一言。そしてパタパタと小走りでやってきた。
「なに、まだなんか用」
「…な、あの人なんか大変そうだけどあんたが支えてやれよ」
「…え?」
「色々生意気言ったけどほら、俺あんたら2人のことも応援してるから」
ぐ、と親指を突き出すと、拓馬はまた千幸と光太の元へ駆けていく。どこか釈然としないまま、私はその背中を見送るとあでを追い掛けて歩き出した。
時刻は既に夕刻を指していた。
あれほど濃厚な時間がたった半日だったのかと思い返すと、何だか自分が日々過ごしている日常が薄っぺらく感じて焦燥感のようなものすら浮かぶ。
いや、でも平日は平日で数少ない依頼を請け負ってるしだな。…いや、それも口実か。そんな日常も、そろそろ潮時なことくらい。一番私が気付いている。
「歩いて帰んの?」
「そんな遠くねーだろ、お前早く帰りたいならタクシー拾うか?」
「いや、私もたまには歩く」
先ほどそんなやりとりをして、何分立ったか。そりゃあ車に乗るには短い距離だが、歩くとなると中途半端に時間がかかる。
お互い何を話すでもなく、微妙な距離をとって前後に並ぶように歩いた。
ふと思う。…昔、どんな話をしていたっけ。学生時代。あでとは学校でつるむことはあっても、今思えば登下校を共にしたことはあまりなかったような気がする。
だから、それこそ、あの日。あでが私を助けた日、外で、二人でいることに、違和感を感じたのだ。
「ーーーあ」
「?」
「ここ、どっかで見たことあると思えば」
あでが土手道を歩きながら、芝生のあたりを指差す。言われて、私も思い出した。
「…7年前の場所だ」