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つーか誰のせいだよ、ただのお化け屋敷じゃないじゃないか何が心霊現象だただのカップル繋ぎのアトラクションに過ぎないこれでは!
「ねっ見て見てーこーくん私たちの密着度96%だって♡」
「うわ、や、やべー俺ちゆにしがみつきすぎた?」
「いいよーだってこーくん可愛かったから♡幽霊が出たら私がこーくん守ってあげるね♡」
「調子いいなぁこいつう♡」
遠巻きの方で繰り広げられるバカップルの会話にギギギと顔を向けると、その隣の茂みから白い目で、大手を振って白旗をはためかせる拓馬の姿が見えた。
「あんたら俺が金払って雇った探偵なんだからせめてちょっとの働きは見せろよ!この調子でちゆがあのバカ男と心中するハメになったらあんたら訴えてやるからな!」
「理不尽」
ギャンギャン大声で喚く拓馬は野球部というだけあって声も通り、テーマパークの一角でこんなことを叫んでいようものなら注目集めまくりだ。
かといってそれを招いている張本人であるのが私たちであるだけに、そこで大口を叩けるわけでもなく。
「で、何この格好」
テーマパーク内に設置されているトイレのそばで、自分たちの格好を見ながら二人して拓馬に突っ込んだ。
私は彩女さんにコーディネートしてもらった服装の上に厚手の毛皮?コートを羽織り、赤のピンヒールに茶色のサングラス、上乗せされた赤い唇の血色に絶句している。その隣であではといえば、元々のスーツに派手なコート(なんかヤクザみたいな)にピカピカの革靴を履いて、私と同じく趣味の悪いサングラスをつけて煙草をふかしている。(煙草はいつものこと)
「あんたらに合わせて俺が事前に準備したマフィアコスプレだ」
「ま、まふぃあ?」
今時TVでも聞かないぞそんな言葉。
「千幸の彼氏はあんなナリだ、どー見たって喧嘩に弱そうだろ?そこへあんたら2人が出てって肩ぶつけるなりなんなりしてあいつに喧嘩をふっかけてくれ。そんであんたが適当にバカを脅して、腰を抜かしてるとこを見て千幸を幻滅させるってこういう作戦よ」
「どこまでも姑息だな…」
あでの言葉はそっちのけで、拓馬は向こう岸からやってくる千幸にいち早く反応すると私とあでの背中を一押しする。
「なっこれで決めてくれよ。じゃなかったら支払った金額は本当に返してもらうからなっ」