悪あがき
「着いたで。」
カラスに案内…いや一緒に来た場所は地下室だった。
【おめでとうございま…“後にして”
【自動メッセージをOFFにしました。】
部屋の床には巨大な魔法陣があり中央に高そうな布がある。
近づいて布を持ち上げるとげっそりとして無傷の皇帝陛下が死んでいた。
「これは…密室殺人だ!?」
思わず叫んだ。
言ってみたかったんだよね〜
「いや、明らかに他殺ちゃうやろ。」
「だよね〜」
とりあえず近くに落ちている本を拾う。
「なになに〜“転移魔術”?」
パラパラと中を見るがさっぱり分からん。
「いる?」
分かんないのでカラスに差し出す。するとカラスは受け取り中を読む。
止めといたら?分からんよ。
「“生贄”を使った魔術やな。」
分かる訳……なん…だと…
「先生、分かるの?」
するとカラスは胸の谷間に手を突っ込み、中から付け髭を取り出した。
「ちょっと待てカラス、今どこから出した?」
「ジョナはん、女の子には沢山秘密があるねん。どうしても知りたいならベットの上で調べてな〜♪」
カラスは胸を自分で揉んでアピールしてくる。
からかっているのか分からん子だね〜。
でも、エロい子は好きだよ…
カラスは付け髭を着け
「説明しよう! 皇帝陛下が使用した魔術は“対象を任意の場所に移動させる”魔術だ。 だが、現代の転移魔術では人1人の魔力では発動できない。 発動すれば魔力を一気に全部持っていかれて死んでしまう。 だから、転移魔術には“莫大な魔力源”が必要や。 しかし、その莫大な魔力源を魔術士達に負担させるのは危険で、下手すれば戦力を失う可能性がある。だから…」
「“使い捨て魔力源”を使う。」
「そうや、だからたぶん“勇者召喚”も転移魔術に該当する魔術やから沢山の“生贄”があったと思うで〜」
でも、ちょっと待てよ…
「じゃあ、この馬鹿は何で転移魔術をしたんだ?」
「さぁ? それはうちにも分からん。神のみぞ知るや。」
神のみぞ知る?
「ああ、“光の精霊”だな。」
「なんで?」
「たぶん、光の精霊に魔力貸すから逃げる為に転移魔術を使えと言われて、従ったけど利用されたんだろう。」
「じゃあ、何を転移させたん?」
…………まさか。
「カラス、カナリアに連絡して“勇者”が全員いるか確認して。」
「ああ、なるほど了解。」
カラスは付け髭を外し、カナリアと連絡する為に虚栄の魔城の霧を顔に近づけ話しかけた。
「カナリア姉、おる?」
『何?』
「あのな、勇者の屑共がいるか確認してくれへん?」
『ちょっと待って……槍と弓の勇者は死亡、兵士達は生存確認、使い魔の勇者は瀕死、おそらく使い魔を使って兵士達を守ったもよう。 剣は……“不明”』
やっぱりね〜“お気に入り”を逃がしたか…
先程のメッセージを確認すると
【槍の勇者リュウを倒しました。】
【弓の勇者アイを倒しました。】
でも、兵士達は生きているのか…マオの父親はたぶん生きてるな…面倒くさいな〜
あれ? ポイントが増えてないぞ?
【“槍の勇者を倒したボーナス”で1日に増えるポイントが三倍になりました。】
【“弓の勇者を倒したボーナス”で蹂躙歌の時間が3分から30分になりました。】
なるほど、勇者を倒すとポイントではなく特典が貰えるのか〜
「ジョナはん。」
「ん? 何?」
「兵士達はどうするん? 何か特攻してくる雰囲気らしで?」
仕方ない、帝国最後の戦いをするか〜。
ああ…どうやって殺そうか…。




