バイバイタクヤ
『なぁジョナ、お前は何か目的があるから世界征服するのか?』
これは俺がジョナに世界征服をする理由を質問した時の言葉だ。
この時、俺はジョナの世界征服の理由は何なのかを知らず、回答によってはジョナを止めなければと思っていた。
だが、ジョナは笑顔で言った。
『うん、“…………”の為だよ。』
返ってきた回答に俺は驚いた。
それを聞いて俺は命を賭けてまでジョナに着いていこうと思った。
俺の世界では“絶対”にできない事をジョナはやってくれると信じて。
目を開けると俺は倒れていた。
全身がギシギシと痛みが走り上手く動かない。
確か、皇帝をジョナが殺す直前からの記憶がない。
「おや、生きていたか。」
ジョナの声がして見ると、天地征権を持ったジョナが立っていた。
「何で全身が痛いんだ?」
「あっ、戻った?」
戻った?
「おいジョナ、俺に何かしたか?」
「“俺”ってことは本物か…。いや、タクヤが操られていたから。とりあえずゴブリン神風隊を使ってドカンと〜」
おいおい…操られていたって…… しかもドカンとって。
だが、俺は自分が着ている鎧が“白くなっている”のを見てジョナが言うとおり、操られていたと分かった。
「そうか悪かったな…」
「いや、面白かったよ。 めちゃくちゃ弱い必殺技が当たらなくて驚いていたし、わざわざ攻撃するのに大きな声をだしたりしたから。」
え…なんかめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど……
「天地征権は基本的に何でもできるけど、相手の精神を操る事はできないんだよね。 まぁ、洗脳などは無効できるけど。 タクヤのはおそらく洗脳ではなく“別人格”を作られたと考えるのが正しい。」
そうか、つまり俺はお前の“邪魔”になる事か…
「タクヤがこの世界にいる限り僕の邪魔をしてくる。 次になったら悪いけど…もうか…」
ジョナが言い終わる前に突然ジャッチメントが光始めた。
「分かったジョナ俺を殺せ。」
俺はジョナに言った。
「だめっ!!」
その場にサリーの声が割り込んできた。
「私はもうタクヤから離れない! ねぇジョナ! 何とかできないの!?」
サリーは俺の前に立ち、ジョナから俺を守ろうとする。
「やめろ、サリー」
「だって、おかしいでしょ!! あんた達“友達”でしょ!? なら、最後まで…!!!?…グフ…」
サリーが最後まで言う前にジョナが天地征権でサリーと俺を貫いた。
「なんで…」
「あのねサリーちゃん、僕は“悪”だよ? “友情”の為に攻撃を躊躇う“勇者”と勘違いしないでね〜。 それに、“友達”なら恋人と共に“この世界から消したら寂しくない”と思うんだよ。」
ははは…相変わらず、
「…狂って…る」
「僕は“友達の為”にしたんだ。
だから、僕は間違ってない。
間違っているのは君だよサリーちゃん。
バイバーイ〜」
ジョナは杖…天地征権を両手で持ち
『除外しろ天地征権』
天地征権が光り、俺とサリーは光に呑み込まれた。
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天地征権からの光が収まるとサリーとタクヤの姿がなかった。
「幸せに生きろよ、リア充野郎。」
僕はそう呟き、その場を後にする。
ドンっ!! ヒュー〜〜〜〜〜〜〜〜〜カッ!
おっ!極獄弾を撃ったという事は向こうはもう終わるな〜
友達を失った僕の心の痛みを皇帝陛下にも知ってもらおう!
僕は鼻歌を歌いながら陛下がいるであろう……どこ?
「しまった! 陛下の奴、迷子になりやがった!!」
「いや、あんたやろ!!!」
誰だ!いなくなったツッコミ役のあと座に座ろうとする奴は!?
「なんだカラスか…」
「いや、あっち終わったら来いってジョナはんが言ったやろ…」
そうだっけ?
「はぁ〜、ちょっと待ってな〜皇帝らしき物なら地下にあるで。」
「物?」
僕はカラスが言う意味が分からず手をつないで子供のように着いていった。
決して僕が迷子になるからではない!
間違えるなよ!!
ほら、あれだよ! え〜と………カラスは…可愛いからさ!手をつなぎたかっただけなんだ!
だから、僕は迷子ではない!
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「ここは…」
俺が目を覚ますと、俺が異世界召喚される時にいた場所に立っていた。
「戻った…のか…?」
服装も異世界召喚された時の学生服だった。
携帯を見ると日付も時間も異世界召喚される時と同じだった。
周りを見るが裕樹はいなかった。
「タクヤ?」
背後から声をかけられ振り向くとサリーがいた。
「サリー…お前まで。」
「ここどこ?」
「たぶん、俺がいた世界“地球”だ。」
俺は地球に戻ってきた。
あれから大変だった。
裕樹が行方不明になり地球のハーレム達は死に物狂いで探したが、見つからず。
数年が経過し裕樹は戸籍上“死亡”扱いになった。
サリーはなぜか戸籍があり、俺と同じ学校に通い卒業した。
流石に地球に疎いサリーは勉強が大変だったがすぐに覚えて学年トップの成績だ。
まぁ、体力などの身体能力は魔人化はできないが向こうのまま引き継いでおり、地球最強の生物以上の身体能力なのは驚いたが…
そして、時が経ち俺達は結婚した。
「ねぇ拓也。」
「なんだ?」
「ジョナは何で“世界征服”をしてたの?」
「“……”だ。」
「え?」
「アイツはあの世界を“……”にする為に“世界征服”をするって言っていた。」
「何それ? 性格と矛盾してない?」
「ははは、確かにな!」
だからこそ、俺はアイツに命を賭けたんだ。




