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世界征服を始めました。  作者: 袋烏
第4章 壊れゆくもの編
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勇者の責任


ブモーーーー!


マガーラが疫病泥巨人マガスライム・トロールと呼んだ白い巨人は先程は右腕だったが、今度は両手を振り上げた。


まずい、止めないと!!


「余所見トハ、余裕ダナ!」


いつの間にかマガーラが僕の目の前まで距離を縮めていた。



『悪華』



しまった!?



「俺を忘れるなよ?」


リュウが聖槍でマガーラの顔を突いた。

突いた衝撃でマガーラの拳の軌道がずれて、僕の顔の横を掠った。


「ありがとうリュウ!!」


「礼の前にコイツ(マガーラ)を何とかしろ!」


「でも疫病泥巨人マガスライム・トロールがっ!!」


早く倒さないと!!




『氷結術式“ゲロー・グラキエース(冷たい氷)”』



突然疫病泥巨人マガスライム・トロールが凍りつき動かなくなった。


あの魔術が使えるのはルナしかいない筈だ!


マガーラの攻撃をいなしながら城門の展望台を見るとルナがいた。


「ありがとうルナ!!」


僕が大きな声でルナに言う。

するとルナは顔を赤らめ帽子を深く被る。

どうしたのかな?



「アノ女ノ魔術ダナ。」


マガーラがルナを睨みつけると



強化(ブースト)解除(フィーニス)


背中の紋章が消える。


何をするんだ?


対象(ターゲット)補足(ロック)



!!? ここからだとルナが見えないけど、展望台が光っている!


何をするつもりか知らないけど、やらせない!!

僕は剣を強く握りしめて駆け出す。


走りだした僕を見てマガーラはニヤリと笑っていた。


何を企んでいるだ?


僕は剣を突き刺すように構えてマガーラとの距離を縮める。


そして、


対象(ターゲット)交換(チェンジ)


マガーラが光に包まれた。


光が眩しくて僕は目を瞑りながら聖剣をマガーラに突き刺した。


トスッと音と突き刺した手応えを感じた。


よし!










“突き刺さった?”



さっきまで傷一つつける事ができなかったのに、今回はできた?


なんで?












「ユ…ウ…キ……」



ルナの声が剣先から聞こえて目を開くと…








「えっ…ルナ……なんで………」


開けた目に入ってきた風景は、聖剣ジャスティスに“突き刺さった”ルナだった。




「ルナ…ルナっ!!」


僕はようやく状況を理解して聖剣ジャスティスをルナから引き抜く。


聖剣ジャスティスはルナの血で真っ赤に染まり、ルナの傷口からは大量の血が流れだす。


何で!? ルナはさっきまで展望台にいたのにっ!!


パニックになりながら展望台を見る、展望台にはマガーラが周りの兵士を虐殺していた。


どうして…?


そこへリュウがやってきて。


「待ってろ!! すぐに治療班を呼ぶから出血をおさえてろ!」


そう言ってリュウは消えて行った。


「ユウ…キ…」


ルナが僕の手を力いっぱい握りしめて話しかけてくる。

彼女の握力は赤ん坊のように弱かった。

僕は彼女を抱きしめ声をかける。




「喋っちゃ駄目だ! すぐにリュウが治療できる人を呼んで来てくれるっ!!」


僕は涙を流し、声を涸らしながら言う。


「多分…助か…らない……だから…………聞いて…」


駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ


「死ぬな…ルナ……」


「あのね……私………「魔物ガ待ッテヤルト思ウカ?」」


グシャ!!!!!


突然、黒い影が視界に入りルナの頭部を“踏み潰した。”


「えっ…」


「マッタク、“戦場”デ感動ノ劇ナゾヤリヤガッテ。」



コイツ…なんて言った?



「訂正しろ…」


マガーラを睨みつけ聖剣ジャスティスを強く握りしめる。


「何ヲダ?」


「ルナの最後を“感動の劇”だと言った事をだっ!!」


許さない…ルナの最後を…


「ジャア、オ前ハ戦争デ敵ト殺シアッテイル中『御飯食べるから待って』ト言ウノカ?」


えっ…?


「オ前ガ女ト話シテイル間ダニ、私ハ沢山ノ兵士ヲ殺シタゾ?」


「よくも…」


「ソノ時、兵士ハオ前ヲ見テ『なんで俺達を助けてくれないんだ…』『守るって言ったのに』ト、言ッテイタガ? “命”ヲ賭ケタ戦場デハ“オ前ノ常識”ハ通用シナイ…」


“僕達はあなた達を守る剣です!”


“僕が必ず皆さんを守ります”


この言葉が僕の頭でこだましている。

守るって決めたのに…



「僕は…僕は…守る…んだ…」



「フン…壊レタカ。」



マガーラが僕に近づいて来る…一歩、一歩とゆっくりと…



しかし、途中で止まった。


「ほう、お前が魔物の大将か?」


僕の背後から聞いた覚えのある声がした。


「誰ダ?」


「儂か? なにガキの頃から戦う事しかできない、ただの老人“レオ・リュンクス”だ。」


僕の後ろでレオ伯爵が腕を組んで仁王立をしていた。




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