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世界征服を始めました。  作者: 袋烏
第4章 壊れゆくもの編
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魔物の進撃

「リュウ様…“白い悪魔”の大群がいるそうです。」


俺は奴隷であるララからの報告を受ける。

人混みが嫌いだからララに情報収集をさせておいた。


「そうか、よくやった。 すぐに戦闘の準備をしろ。」


「「はい。」」


もう一人の奴隷リリと一緒に返事をして着替えを始める。


2人は双子で猫人族の獣人で歳は俺より一つ下だ。


ライトアーマを着たリリには弓を、ヘビーアーマを着たララには盾と剣の装備をララとリリを買った時に買ってやった。

買ってやるとコイツらは俺をまるで救世主かのように接してきた。


おかげでコイツらはすぐに体を許した。

それから、何回もコイツらを抱いた。




さてと、俺は魔物を見る為に城門の上に登り、ルアーノ街方面を見る。


白い巨人がゆっくりと歩いて来るのが見えた。

白い悪魔達も巨人と同じスピードでやってきている。

あのスピードなら明日までかかるだろうと思った。




そう思った時だった。

白い巨人が帝都を視界に捉えたのか止まった。

そして、両手を地面につけ右膝を曲げて左足を伸ばすように屈んだ。



あれ? あの体勢どっかで見たような…














次の瞬間、白い巨人はマラソンのスタートダッシュをして、地面を揺らしながら物凄いスピードで走って来た。



あれ…世界を狙えるな……








[][][]


私は疫病泥巨人マガスライム・トロールの頭に乗り、鼻歌を歌いながら人間達が住む“帝都”へ向かっていた。


私が人間だった時の記憶は無いが、本能…行動が私を語っていた。


私がまだ白かった時に創造主様より



『とりあえず、適当に近くの村を襲ってさ〜、帝都へ向かってくれる?』


と命令を頂き、我々は近くの村を襲い数を増やし、殺していった。


殺しているとまず、知識がついた。 更に殺すと知識が増えてきて“どのように攻めれば、効率よくいくか”を考えるようになった。


ある時は“村を囲みジワジワと攻め”たり、別の村では“分担して襲い逃げた人間を待ち伏せ”たりしてきた。


一つの村が壊滅した時だった。 私の肌がどんどん黒くなっているのが分かった。 私以外にも同じ現象が起きている同種(マーガ)がいる。





『この肌が完全に黒くなった時、私は“何に”なるのだろう?』




そんな疑問が浮かび、答えを知る為に私は“虐殺”のペースを早めた。


答えはすぐにでた。












“私は進化したのだと…”


私は疫病泥巨人マガスライム・トロールに効率のよい“走り方”を教えた。






【“マガーラ”

100,000pt(怪物工場モンスター・ファクトリー時のポイント)

スキル:“悪の加護”

マーガが“悪”を極め“悪獣”になった存在、悪獣の中では下位だが脅威的な身体能力の他に刃をとおさないダイヤモンド並の硬い肌を持っている。更に人間並の知恵を持っている為、マーガや怪物達を従えて町を襲うことがある。】






[][][]







おいおい!? なんであの巨体であんなに走れるんだ!?


もう、直ぐそこまで来てる!!


「セイヤっ!!!! アイツを止めろっ!!」


俺は地震の中、城門の屋上から落ちないようにしゃがみながら叫んだ。


こんなに揺れると俺やユウキですらバランスを取れず戦えないが、セイヤの“力”なら戦える。


『光の精霊を守護する獣よ、契約に従い来たれ!“フォルテ(東を守る聖虎)”よ!!』


セイヤが異世界に来て得た力は、かつて勇者が従えていた“使い魔”だ。セイヤ本人には力はないが強力な使い魔である“聖獣4体”を従えることができる。



セイヤが唱えると魔法陣が地面に現れて、そこから白い虎が姿を見せた。



『東よりフォルテ、契約に従いマスターの元へ。 マスターよ命令を…』


白い虎フォルテは女性のような美しい声でマスターであるセイヤに言葉をかける。


「お願いフォルテ、あの“巨人”を倒して!!」


『承知。』


フォルテは倒すべく屋上から降りて城門の前に立つ。 そして前足を上げて


『大地よ我に従え。』


地面を踏んだ。

すると帝国と白い巨人の間の地面にヒビができて地面が割れた。


地割れだ。巨人を簡単に飲み込むことができるぐらいの地割れができて、巨人はそのまま地割れに落ちていった。


白い悪魔達も半数以上が落ちていきほんの僅かになった。


『閉じよ』


フォルテが再び地面を踏むと地割れが閉じていき、何もなかったように元に戻った。


「やった…んだよな?」


兵士のその一言の後に歓声があがった。


「さすが勇者様!!」

「勇者様がいれば安全だ!」


など勇者を褒める言葉がでてくる。


「はぁ、人間離れしておるの…」


ただ隣にいるレオ・リュンクスだけは何か腑に落ちない顔をしていた。


「ああ、セイヤの“使い魔”は4体いて、それぞれ属性を持っているんだ。その属性は必ず“使い魔”が優先される、つまり属性の攻撃はセイヤには効かないんだ。」


俺はレオ・リュンクスに説明をしてやる。

しかし、それでもレオは腑に落ちない顔をしている。


「いや儂が変に思ったのはお前達勇者の力の他に“魔物”達の方だ。」


コイツ何言っているんだ?

魔物は勇者が倒しただろうが、お前達“貴族”がするべきなのは、俺達のご機嫌をとって金を貢ぐことだ…


「あいつら“ワザと地割れに落ちていったぞ?” 巨人が落ちた時に白い悪魔共は一瞬止まった。 しかし、まるで“誰かに命令された”ように地割れに飛び込んでいった。」


レオ・リュンクスが手で顎髭をいじりながら言った。



「おい、聖虎様の足下に変な紋章が浮かんでないか?」


気づいた兵士が呟くとその場にいた全員が注目した。


「フォルテ、戻っ…」


セイヤがフォルテに声をかけようとした次の瞬間、フォルテの足下にある紋章が光り紋章の中に“交換”という文字が浮かびあがり。


光と共にフォルテが消えた。












ブモーーーー!




船笛のような音が響き渡り、地割れに落ちた筈の“白いゴーレム”と白い悪魔がフォルテがいた場所に現れた。





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