勇者の役目
(セプンテント帝国 帝都アルカイダ)
今僕はセプンテント帝国の皇城の謁見の間にいる。
僕以外にリュウとセイヤはいるがアイの姿はない、確かキドリー皇子とルアーノ街に行っていた筈だ。
「勇者ユウキよ、ピッグ・レッド男爵の領地での活躍、御苦労だった。 民に変わって礼を言う。」
皇帝陛下が軽く頭を下げて言う。
「いえ、皇帝陛下…僕はセプンテントの皆さんの勇者ですから、当たり前の事をしただけです。
それに、マリヤとリン、ルナ、冒険者であるマオさん、そして“光の精霊様”の助けがあって“ラエティティア”を倒すことができたんです。」
「なんとあの“災厄の歌姫”を倒したのか!」
陛下が驚き、さらに周りにどよめきが起きる。
「さすが“光の精霊”に選ばれし勇者だ。
リュウは潜伏していた魔人達を倒し、セイヤはまだ若いのに遺跡に入り、“邪神の遺産”を見つけてくる。
勇者達がいれば“魔王”など恐れる必要がないな!! ふはははっ!!」
陛下は豪快に笑い、それにつられ周りの人々も笑いだす。
「アイ殿がキドリーと帰ってきたら宴会をしようではないかっ!!」
陛下が笑顔でその場にいる人達に言う。
マオさんも誘おうかな?
その時だった。
「皇帝陛下!!」
突然、謁見の間の扉が開き1人の兵が切羽詰まった顔で入ってきた。
「無礼者っ!!」
大臣が怒鳴った。しかし、兵士は怯むことなく言った。
「勇者アイ様がお戻りになりました…」
「おお! そうか、ではキドリーと共に連れてきなさい、アドレスよこの兵を怒鳴ってやるな…」
大臣アドレスは渋々下がったが、兵士は続けて言った。
「“キドリー皇子様はお亡くなりになりました。”」
「え…」
静寂した世界の中、陛下が驚愕に満ちた顔で兵士を見る。
「それだけではありません! この帝都アルカイダに向かって“巨大な白いゴーレム”が向かってくるそうです!
アイ様の情報によれば“ゴーレム”が通った森は腐り、小さな村では家畜や人が謎の病が発生しているようです! アイ様は無事ですが移動用の馬などが死んで、帝都にくるのが遅れたそうです。」
兵士が息を荒げながら言った後、一時の静寂の間があり次の瞬間、謁見の間にパニックが起こった。
陛下は言葉を失い、ぼーっと王座に座っている。 おそらく、キドリー皇子が死んだことでショックを受けているんだろう。
謁見の間はパニック状態の人達で、「逃げないと」「死にたくない」など恐怖が満ちていた。
大変だ! 皆さんを鎮めないと…
タクヤ…君ならどうする…。
「はい、ちゅーもくっ!!」
大きな声がパニックの渦を止めた。
その声の主を見ると“リュウ”だった。
人々はリュウの方を見て固まっていた。
「皆さん、オレ達の事を忘れてないですか?(おら、ユウキ出番だ。)」
リュウは念話で僕にふってくる。
そうだ…僕達は“勇者”なんだ……
「皆さん、落ち着いて下さい! 皆さんは平和を守って欲しいから僕達を呼んだんじゃないんですか?
僕達は“必ず”皆さんの平和の為に働きます!
しかし、僕達だけでは勝つことはできません、皆さんの力が必要です。
僕達に頼って下さい。僕達はあなた達を守る為の剣です!」
“皆さんの力”辺りはリュウが言うようにと指示があったけど…安心してくれたかな?
パチ………パチパチ…パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチっ!!
まず小さな拍手からだったけど、次第に大きくなって謁見の間がパニックから拍手の渦へと変わった。
(流石です! ユウキ様!!)
(ユウキ殿、私も貴男を守る剣になります。)
(…ん……私も…手伝う…)
マリア、リンさん、ルナの順に念話がやってきた。
皆さんも「俺も力を貸すぜ!」とか言ってくれた。
僕は“守ってみせる”この国を…




