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世界征服を始めました。  作者: 袋烏
第1章 始まり編
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“悪”の誕生

セプンテント帝国の端に小さな村がある。

名前はコト村といい地元で採れるコトキノコが帝都で有名だ。

その村に僕…ジョナは生まれた。


髪は黒で短髪、今年18歳になります。将来の夢は冒険者になる事かな?


両親については、母親は僕を生んだ時に亡くなり、父親が一人で育ててくれたが僕が16歳の時に病で倒れ一年後に死んだ。


父親は研究者で『邪神の遺産』について調べていた。

コト村で発見された古い箱を開けたときに罠なのか分からないが黒いガスを父親は直に吸ったのが死因だといわれた。

中は空だったらしいが実は父親がガスで騒いだときに気付かれないように盗んだらしい。

中にあったのは石ころサイズの黒いガラス玉だった。

そのガラス玉は今、僕の部屋に置いてある。まぁ、両親の形見としているが村を出る時に売ろうと思う



父親が死んで僕は村長に預けられた。

村長には孫娘がいて名前はマオ・リュンクスといい父親は貴族で母親はメイドだった。


まぁ、貴族がメイドに手を出すのはよくあるらしいが彼女の父親は娘を大切に育てた。

だけど、父親の妻が自分の息子よりメイドの娘を可愛がっているのに嫉妬してメイドと娘を追い出した。

そこで彼女の母親はコト村にいる村長に住ましてもらっている。


その為、彼女と僕は一緒に住む事になった。

彼女も冒険者になるらしく武術を極めているらしく僕は“的”として彼女の練習相手になった。



そして彼女が18歳になりコト村を旅立つ日からこの物語は始まる。






「じゃあ、行ってくるわっ!!」


長い黒髪をした美女…マオと彼女の母親が村の出入り口で僕達に別れを告げる。


見送りに村の人が全員来た。村長は涙や鼻水を流しながら手を降り彼女を見送る。ていうか汚ない手をつけるなよ…。


「ジョナも腕が治ったら直ぐ来いよっ!!」


マオに言われて僕は彼女に折られていない方の左手で親指を立てて合図を見せる。

本来は僕も行く予定だったが先日、彼女に右腕を折られた。

そのため、僕の旅立ちは先延ばしになった。


マオが見えなくなり村人達は本来の作業に戻った。

僕も家に戻り旅立ちの為の準備を始める。


村長はいまだに泣いていた。

ヤレヤレと思いながら僕は部屋に戻りナイフの手入れをする。

するとドアを叩く音がした、村長の代わりにドアを開けると豚が派手な装飾品をつけたような男が兵を連れて立っていた。


「これは領主様。」


「誰だ貴様は? 吾が輩は村長に会いたいのだ呼べ。」


訪れたのは豚…いや男はコト村の領地を管理しているピッグ・レット男爵だった。

このぶ…いや男は自分の住む家を小さいが城みたいに建て自分が管理する領地で気にいった物があればどんな手を使っても手に入れる最低な男だ。


「おや?これはピッグ・レット男爵様どういった要件で?」


泣き止んだのか…いやまだ鼻水が出てる村長がやって来た。


「決まっておろうっ!! マオちゃんに会いに来たのだっ!!」


そう、こいつは今マオにご執心なのだ。

過去に何回かマオに会いに来ては自分はどんなに凄いのかと自慢して口説くのだ。まぁマオはその度に嫌な顔をしているのだが…


「申し訳ないがマオは帝都の方に“冒険者”として旅立ちました。」


村長が説明をすると豚の顔がみるみると真っ赤になる。


「なんだとっ!! あんなに吾が輩が愛していると言うのに吾が輩に何も言わずに出て行ったのかっ!! 許せんっ!!直ぐに連れ戻せっ!!」


何言ってんのコイツ?


「しかし…マオはもう」


「ゆるさんっ!! こうなったら…」


そう言って豚はチラリと僕を見て去っていった。



何故か嫌な予感がする…と思いながら僕は部屋に戻った。







その日の夜


「起きろジョナっ!!」


村長に呼ばれて目を覚ますと辺り一面が火で被われていた。


「火事だっ!!」


と外から聞こえた。

僕は慌てナイフと両親の形見である黒いガラス玉を持ち村長と一緒に外に出る。


外に出ると村は炎で包まれて人の悲鳴や泣き声が聞こえる。


「こっちだジョナっ!!」


村長に言われて僕は後を追う。

何故、火が?事故か?と様々な憶測をしながら必死に走る。


途中、炎で燃えている家から知っている人の助けを求める声がしたが、僕はそれを無視した。


村長や他に火事から逃げれた人はあらかじめ決められた非難場所に集まっていた。


しかし、今度は「矢」が降ってきた。


次々と人が倒れる。逃げようとするが矢の的になった。


僕の胸に痛みが走る。みると矢が刺さっていた。


ああ、死んだなこれと思い倒れる。

しばらくして村人は全員死んだのか声がしなくなった。


僕は痛みに耐えながら周りをみる。

すると草むらから人が出てきた。


そいつらは全員、あの領主の兵士だった。弓を構えながら僕に近づいてくる。


兵士の一人が剣を抜き村人の死体に剣で突き刺していく…


確認しているのだ…


兵士達は笑いながら黙々と作業をする。


なんでだ…何故、僕がこんな目に…


「あっコイツ生きてやがるぞっ!!」


そんな声が聞こえたあと僕の胸に剣が突き刺さった。



薄れていく意識の中で僕が最後にきいたのは兵士達の笑い声だった……
















目を覚ますと僕は椅子に座っていた。


ここはどこだ?


そう思い周りを見まわす。


薄暗い部屋で大量の本棚、不気味な暖炉 に直ぐ近くには机と僕が座っている椅子と同じ椅子がある。



「やぁ、お目覚めかな?」


突然、声がして声の元を見る


先程までは誰も座っていなかった椅子に男が座っている。


男は黒い服装をしておりよく見ると僕と“同じ顔”をしていた。


「ああ、すまないが君の顔を使わせてもらった。」


「え〜と誰ですか?」


僕は自分と同じ顔をした人に問う。

すると彼は笑顔で言う。


「君に分かりやすく言うと“悪”その物だ。」


「“悪”ですか?」


「そうだ、他には“悪魔”と呼ぶがね。」


ていうことは、ここは地獄か…


「それで…あなたは僕に何をするのですか?」


恐る恐る聞いてみるが彼は相変わらず笑顔だから逆に怖い。


「君に“プレゼント”だ。」


……プレゼント?


「君の将来ね夢は何かな?」


彼は僕にいきなり質問してきた。


「え〜と…冒険者に…」


「嘘だ…」


「え…」


彼は笑顔を止め僕を見る。僕と違う紅い瞳で…


「君は自分に嘘をついている…。

“そんな欲望”でガラス玉を持っていると死ぬんだよ…」


あのガラス玉ってそんなにヤバいやつなのっ!?


「私には嘘は通じないぞっ!! さぁ、君は『欲望を叶える資格』を得たんだっ!! ドイツ人のチョビ髭のように戦争がしたいかっ!! 日本人のうつけ者と呼ばれた男ように天下を取りたいかっ!! さぁ…言いたまえ。」


「ぼ…僕は…」


彼は紅い瞳で僕を見ている。僕の欲望…


「僕は…」























「…せ、世界が欲しい。」


僕のその一言を聞いて彼は笑顔になる。



「お誕生日おめでとうジョナ。」


狂気に染まった笑顔で…


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