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第1話「胎児型の新人さん」

初めて小説を書いてみて、やっぱり難しいなと思いました。文字と向き合うって大変ですね。

白南風の吹く頃に開館した「寝相治療館」初めてのお客さんは、新社会人のOLさんだった。「胎児型」という寝相らしい。僕は心理的な知識が無いから、じいちゃんの横で雑用係や看護師的な立ち位置で過ごしている。じいちゃんは早速お客さんの話を聞き始めた。



「私は今年、新卒採用で某企業に就職したんです。でも─」


お客さんは、会社でひどいストレスを抱えているらしい。データ入力、資料の作成、来客対応などの初めての仕事に追われ、上司に怒鳴られ、憧れだったキラキラOL生活も実際は地味で単調な仕事ばかり。同期と比べて焦っては空回りし、ミスが続いて自信を無くしてしまったり、クタクタになり気絶するように眠る日が続き、夕飯の匂いよりも布団の柔らかさに涙を流すことも増え、いつからから胎児のように体を丸めて眠る寝相になってしまったのだとか。



「ストレスと不安じゃな。」


じいちゃんが言うには、精神的な緊張やストレスがかかると、無意識に安心感を得ようとして胎児型の寝相になりやすいらしい。警戒心や自己防衛の心理を表してたりして、睡眠環境や自律神経の乱れを治すことで改善するのだという。



「憧れだったOLさんなら、きっとこんなことにはならないはずなのに。」


そうこぼすお客さんは、理想と現実のギャップに苦しみ、何もできない自分を責めるように顔を歪ませた。



「どんな人間も、始めたばかりはそんなもんじゃ。最初から完璧に出来る人間などそうそういやしないからのう。」


じいちゃんはお客さんの目を真剣に見つめてそう言った。その言葉で涙腺のストッパーが外れたのか、しばらく我慢していたであろうお客さんの涙が大粒で溢れ出した。

僕はストック箱からハンカチを持ってきてお客さんに渡した。僕にはこれくらいしかできないけど──


涙も落ち着いたところで、僕はじいちゃんに言われてクッションを持ってきた。

改善方法として、体勢の工夫をすることも大事なことなんだそうだ。じいちゃんがクッションの活用方法や、寝室の改善点、ストレスを軽減させる方法を伝えると、お客さんは深々とお辞儀をして館を出て行った。


じいちゃんは誇らしげな顔と労いの顔が混ざったような表情をしていた。あの言葉は、

きっとじいちゃんだから言えることなんだろうと思った。そんなじいちゃんの背中を後ろから見つめる僕に、この「寝相治療館」に訪れる人達のために何ができるだろう。


次の日も、また次の日も様々な表情で入館してくるお客さんが、もう一度スッキリして生きていけるように、じいちゃんと僕は開館の準備をする。



───数日後───

太陽の光がビルの窓に反射し、夏の暑さをより一層感じる頃。僕は街であのお客さんを見かけた。

先輩らしきOLさんと、備品の買い出しをしていた。前より荷物も多く、歩く姿勢も変わっていたけれど、その時見えた横顔は、来館した時よりもずっと明るく澄み切っていた。

読んでいただきありがとうございました!こんな感じで試行錯誤しながら思いついた時に次話を書こうと思います。

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