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truth〜6人とある少女の秘密の記録〜  作者: 尋木大樹


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14/20

 明日までにやる事を済ませお風呂も終えた私は、ひとり、部屋で就寝の準備をしていた。


 兄に頼み事はしたし、サプライズの件はこれで一先(ひとま)ず大丈夫だろう。

 それにしても、アイディアを出すだけじゃなくて卒業生への連絡まで頼まれることになるとは……。

 まぁ、自分の考えた企画だから仕方がないとは思うが。

 

 新橋先生へのメッセージも、クラスのみんなへの印象もとっくに書き終わっている。

 普段思っている事を素直に書くだけだから、何も苦労することはなかった。

 みんな、個性がある。ひとりひとり、それぞれに良いところがある。それを言葉に表すだけ。

 たとえ親しくなくたって、それは全く問題にならない。








 

 兄が自分のことを心配しているのはわかっている。

 でもそれは、私自身どうしたら良いかわからないのだ。

 何か人と違う事をしようだとか、目立つ事をしようだなんて、思った事もない。むしろ苦手だ。

 できるだけ「普通」に。それが私。

 でも……。







 

 小三の時、隣の男の子と仲がよかった。

 別に「好き」とかという感情は一切なく、ただ話が合う。それだけの関係。しかし、周りの女子はそう見なかった。

 

 ある日、移動教室のため急いで渡り廊下を歩いていると、数人の同じクラスの女子に呼び止められた。そのまま人があまり来ない特別校舎の端の方に連れていかれた。

 そして皆で私を囲みこんだ。


「もしかして、ふたりって付き合ってるの?」

「彼、あんま女子と話さないのにさー、仲良いよね」

「ねぇ。どうなの?」


 おそらく、彼女達はただ単に気になっただけ。隣の席の子はクラスでも人気がある方だったから、異性と仲良くしているのが珍しくて私との仲を疑ったに過ぎない。

 実際そんな事実はなく、私はすぐに否定した。

 気になる異性には訊けないから、確かめるなら同性に……。

 そんなのは簡単に想像ができた。


 それでも、そんなに話したことのないクラスメイトに囲まれて問いただされるのは恐怖でしかなかった。

 彼女達に悪気がないのはわかっていてもだ。

 だからそれ以来、隣の席の子にはこちらから話しかけることは絶対にしなかったし、他の女子の目を気にして他の男子にも不用意に近づかないようにした。

 

 その後、同じようなことがもう一度あった。


 その時の相手の男子はクラスの中ではいじられキャラで、女子の人気は高くない子だった。

 そんな子がある時忘れ物をして困っていたから、それを私は助けたに過ぎない。たまたまふたつ持っていたノリを貸しただけだ。

 しかしその様子を見ていた女子達に、またもや呼び出されてしまった。


「アイツに優しくしてたよねー?」

「もしかして、好きなの?」

「え、あんなのがタイプ?」


 「困っていたからから、助けただけ」だと言ったところで、彼女達はすぐには引かない。

 気づかれないように心の中で大きな溜め息をつく。早くこんなくだらないことに飽きて、他の話題に夢中になってくれるのを願った。


 目の前に困っている人がいた時、助けることに何の抵抗もなかった。気づいているのに何もしないなんて、できるわけがない。

 だが、こんなことが起こると、助けた相手にも迷惑をかけてしまうのではと考えてしまう。

 

 それから私は、前よりももっと周りを見るようになった。


 なるべく人との関わりを最小限に。それが厄介ごとに巻き込まれないコツだと思った私は、できるだけ「普通」でいた。

 

 しかし、それは五年生の時ーー。

 放課後、数人の女子と担任の先生がおしゃべりをしていて、私も「普通の人」として邪魔にならないようにその輪の中に加わっていた時だった。

 

 担任の先生はとてもフレンドリーな人で、こうして放課後に児童達と他愛もないおしゃべりをすることがよくあった。

 みんな、今ハマっていることだとか習い事のこと等を話していて、私はそれをただ聞くだけ。

 すると、クラスの中でもリーダー的なポジションのひとりの女子が、私に向かって突然話しかけてきた。


「なんかさ……アレ……だよね」


 「アレ」……?

 どういうことだろう?


「あー、うん」

「……そうだね」


 見ると、他の子達も同意している。

 すると、担任の先生が急に慌て出した。


「えっ、ちょっ、待って! そういうのは……そういうことは言っちゃダメでしょ!」


 その様子を見て理解した。

 つまり私は「変わっている」のだと。「アレ」とはそういう意味なのだと。

 先生は必死にフォローしようとしてくれたが、その行動そのものが、彼女の言葉を肯定していた。


 今までやってきたことは、何にもプラスになっていなかった。

 私は何も特別ではない。他の人と何も変わらない。

 でも、周りから見たらそれは違っていたのだ。まるで腫れ物に触るような扱いは、気のせいではなかった。

 

 それから、私はこの扱いを受け入れた。だって「違う」と反論したところで、そう言う人には通じないのだから。

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