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truth〜6人とある少女の秘密の記録〜  作者: 尋木大樹


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11/20

◯出席番号25番 ②

 アイツの上履きを隠してやった。

 

 ダンス部の練習後、こっそり下駄箱から持ち出して体育館近くの女子トイレのタンクの中に入れた。

 校舎の中のトイレに比べたら人があまり来ない場所だから、隠しているところは誰にも見つからなかった。

 

 アイツが困ればいい……。ただそれだけだ。






 


 次の日の昼休み、見たくないものを見てしまった。

 カズヤくんがアイツを呼び止めていたのだ。そしてふたりで教室を出て行くので、アタシは気づかれないようにこっそり跡を追う。








 

 屋上前の階段までやってきたふたり。

 鍵がかかっているので屋上へは出られない。ここは人気がないから、カップルがよく落ち合う場所として知られているスポットだ。

 今は他のカップルが丁度いないようだが、何でそんな所にやってきたのだろう?

 益々アイツが憎く感じる。

 

 アタシはバレないように息を潜めて会話を盗み聞く。するとカズヤくんの怒った声が聞こえた。


「誰にやられたんだよ! これ初めて? もしかして心当たりあんの? 教えろ。俺が取り返すから!」


 彼がこんなに声を荒げるのを聞いたことがない。

 だっていつもクールな人だから。


「何で黙ってんだよ! なあ、……俺、頼りない?」

「違っ! ……そうじゃない。……カズは関係ない」

「はぁ? 関係ないとか、何だそれ? 俺はお前が……お前のことが……」

「……手、離して」

「……」

「……離して」

「……やだ」

「本当に大丈夫だから」

「嘘つくなよ。手、震えてんじゃん」

「……これはカズのせいだよ。早く離してくれれば治る」

「何でだよ。意味わかんねぇ。……俺、放課後探すから」

「必要ない」

「俺の勝手だろ」

「今日はハンド部、校外練習なんでしょ? ……練習サボる気? そんなの絶対ダメ」

「……じゃあ、明日探す」

「だからいいってば。もう戻らないとだから、いい加減離して」

「……」


 階段を駆け足で降りる音が聞こえきた。アタシは急いで下の階へ行き、他の生徒がいる廊下へと出る。






 


 カズヤくんはアイツの上履きが無くなったことに気づいたんだ。

 犯人に対してあんなに怒って。

 それがアタシだって知られたらどうしよう。嫌われたくない!

 明日探すって言ってたからどうにかしなくちゃ。






 


 掃除の時間、アタシはゴミ袋を持って体育館近くの女子トイレにやってきた。

 今月のここの担当の先輩が、掃除を適当にサボって早めに切り上げるのは知っていた。だからスムーズにアタシも隠していた上履きを回収することができた。

 そしてそれを土の上で踏みつけてやる。

 濡れていたのもあってすぐに汚くなったそれを持って、ゴミ捨て場にゴミ袋と一緒に投げ捨てる。

 あんだけ汚れていれば、ちゃんと処分してくれるだろう。これで大丈夫。






 


 しかし、次の日アイツは上履きを履いていた。

 何であれが? あそこから探し出したの? しぶといなぁ。

 次はどうしてやろうか。


 だがそれ以降アイツの周りではあの眼鏡が常に警戒していて、それは難しくなった。

 そういえばアイツの代わりに上履き探してたなぁ。

 怪しまれないようにあの時はあえて目撃者として協力してあげたけど、眼鏡も邪魔だな。

 

 おまけにカズヤくんが以前よりアイツの近くにいるような気がする。

 今まで教室でも遠い距離にいて、あまり接点がないはずだったのに。

 こんな危険な状態で、アイツに手を出すわけにはいかない。何でアイツが守られてんのよ!

 ただでさえ最近態度が悪いと部活で注意されているのに、またイライラしてきた。

 カズヤくんとどういう関係なの?






 


 あの紙に「おとなしそうに見えて意外と男たらし」とか「邪魔。むかつく」とか書いてやりたい。「一生黙ってろ」でもいい。

 でも担任も見るようだからそれはできない。

 じゃあ、何て書こうか。






 


『無口』

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