母としてのグロリア
“その通りに行くかのう?まぁ最悪わしが導くけどのう。”
『悪堕ちした聖者にどれ程の力が有ると言うのでしょう?しかも今魔素弁の水栓鍵になってると言うのに。』
“エインヘリヤル……お主に人の情は無いんかの?”
『うむ、微粒子レベルで存在が確認されているらしいが詳細は不明だ。』
「とは言うものの最初に黒骨の行動がおかしいって言い出したの嬢ちゃんだったろ?」
『そりゃ本来それだけの力が有るエルダーリッチならコーダイの街と王都滅ぼして来ただろうからね。だからあのダンジョンで身体を滅ぼしたのを後悔した……生かしておいて後悔させた方がより効果的だったかと……』
“待て待て、お主本当にエインヘリヤルか?悪魔の遣いとかでなくて?”
“いや……お主も戦ったなら判るじゃろう?一応神族の魂持っとるぞ?”
『その神族の魂を騙して転生させたおでん様!』
“人聞きの悪い言い方選んどるじゃろ?”
“オーディーン様……この子これがデフォルトですかのう?”
“うむ……天孫族の一柱、田力男の魂を有しておる。”
“でなくて、騙して転生させたとか。”
“元々そこでなんか飲んどるフレイヤがマニュアル完全無視してニーズヘッグに勝てる英霊召喚したら田力男がひょこひょこ召喚に乗ったのが始まりじゃ。”
『そう言えばおいらの元々の身体ってどうなってるの?』
“ぶほっ!ごほごほ。”
“まさか……おいフレイヤ!”
“マスヤマは過労による脳溢血が死因です。”
『あ~、やっぱり死んでたか。』
“あっさりしてますね?”
『まぁ死んでるとは思ってたし、で、何飲んでるの?』
“我が巫女の淹れた紅茶ですが?”
[もうすぐケーキが焼けますからね~。]
『リッチ洞はケーキ屋として再出発した方がいいような……』
「祈りとケーキのリッチ洞か……」
「まぁそれはそれで子供達が喜びそうだな。」
『グロリア……お前子供が喜びゃ何でもいいんだろ?』
「当たり前だ!子供の笑顔に勝る芸術作品はねぇ!」
“あれがオーガに暴れん坊と恐れられたオークとは……”
『んで子供の生首をネックレスにして乳丸出しで斧持って踊ると……』
「あ?何させようとしてるんだ爺の娘?」
『絵に描くとこう……』
増山が描き上げたのはカーリー神であった。
「……悪魔じゃねぇか……」
“いや、これはインド神話のカーリーじゃ。”
『正確にはカーリー・マーね、グロリアに良く似てる。』
「オデはこんなに手はねぇし恐くねぇ!」
“確か破壊と殺戮の神でしたっけ。”
『実はパールヴァティー神と同一だから女性を助けお産を手伝ういい神様なんだが……そうかグロリアは気に入らんか……』
「待て待て!言われてみればそこはかとなく優しそうな雰囲気が……」
『いやいや無理はしないでいいから。』
「と言うかおめぇが良く言ってる鬼子母ブタってのはどんなんだ?」
『あれも元々破壊と殺戮の神だぞ?人間の子供取って食ってたし。』
「おめぇとんでもない目で見てやがったな?」
『しかし鬼子母は自分の子供も多かった。暴れて子供を拐う鬼子母の子を最高神が隠すんだ。狂った様に子供を探す鬼子母、最高神は子供を抱きながら
お前が今まで拐って食った子の母親の苦しみが解ったか?解らぬならこの子を……
鬼子母は泣いて謝り心から反省した。そしてお産と子供を守る女神となる。』
「ほう……」
『で、この鬼子母神、モデルはカーリー・マーだったりするんだなこれが。』
「何が言いたい?」
『お前を鬼子母ブタと呼んだ時からおいらの中じゃお前の立ち位置は子供と女性の守り神だ。敵には恐れられても子供は守る、そういう目で見ていたんだが?』
「なんだよ、解ってんじゃねーか。」
“グロリアよ、マスヤマの眼は神眼じゃ。全てを見通す眼でお主をその様に判断したんじゃよ。”
『それでもう一回カーリーの絵見てみな?悪魔に見えるか?』
「いや、なかなか深い絵に見えてきたぜ……」
[ケーキ出来ましたよ!あら?軍神の絵ですか?]
「へへ、ジャンヌ様、これマスヤマが描いたオデの絵なんだよ。」
[まぁまぁ!で、踏んでるのは?]
『ああそれはその神話の最高神にして踊ってる奴のダンナ。怒りに任せて地団駄踏んだら地面が割れそうになったんで身体をクッションにしたんだよ。踊ってる奴が舌出してるのはダンナ踏んじゃったてへペロって感じで。』
「しかしマスヤマさんは良く宗教画を描いてくれますが……」
『覚えている範囲内ですよ?』
「アサ~、ハナ~、骨のお姉ちゃんがケーキ作ってくれたぞ~。ニーズちゃんもおいで~!」
『その行動のどこが暴れん坊だよ。』
「しかしグロリアさんが子供達を見てくれてる安心感は有りますね。」
「あ!おっさんにも一つ……」
「ムサっさんは手を洗ってから!子供らが真似して食中毒にでもなったらどうするんだい。」
『アサ、ハナ、ニーズ!ちゃんと手を洗ったか?大人が真似するから洗わなきゃダメだぞ?』
「マスヤマも洗って来い。」
『清浄!ほれ。』
「お前もオデの娘だからな!」
『おいらは違うだろうが!』
「ぱぱ、ままにはかてにゃい。」
「ままはぱーてぃーのままだから。」
「よし!グロリア、おっさんと子作りしよ……」
「子供達の前で何言ってるんだバカ野郎!」
[あはははは!本当に楽しい人達……]
『ところでジャンヌさん、外観の偽装ってできますか?』
[はい、変化!]
15歳位のベリーショートになるジャンヌ。
[こんな感じで?]
『悪くは無いが服着てくれ!』
[あらあら、でも下着は要りませんね?]
「まぁオデも下着は着てないし……」
『グロリア~?子供達が真似したらどうするんだ~?』
「ジャンヌ!コーダイの街に着いたら露切りで下着買うぞ!」
[急にどうしたんです~?]
「オデたちは子供の模範にならなきゃいけねぇんだ!」
[あらあら~わかりました~。]
「他のみんなは下着着けてるだろうな?」
「「「「「「『着けてないのはお前だけじゃ!』」」」」」」
20分遅れ……申し訳ありません。
{何で遅刻するかな?}
ギリギリまでネタが出ない。
{一遍時計進めといたろか?}




