リッチ洞にて
「ではわたしが作りましょう。これでも生家はケーキ屋でしたから。作ってる間に祈りを済ませてくださいね。」
『ジャンヌさん……いいんですか?……と言うかあのゾンビ共は……』
「魔族のフレッシュゾンビ3体はリッチ洞の施設管理員としてコキ使……もとい奉仕させようと思ってます。」
『あいつらに今の状態が判ればいいんですけどねぇ……』
「解ってますよ?ニーズさんに殺されてリッチの秘術でゾンビにされたと思ってる筈です。で、フレッシュであろうがメルテッドであろうがゾンビならここの住人であれば誰でも使役できるんですよ。あ!フランシスコ!今日からあなたがここのリーダーです。ミツクニ公爵の祈りの補助をお願いします。」
『あ!次のリッチ洞のリーダーにはあのバトンとこのマントをプレゼントしようと思ってたんですが……今のリーダージャンヌさんなんですか?』
「はい、何かご不審な点が?」
『いや、オーガからリーダーは金色だと聞いてたので……』
「あら?わたし今何色ですか?」
『白いですよ?』
「あ……エインヘリヤル様すいません、ジャンヌ様はパンやケーキ作るのが好きで小麦粉付けたまま外に出るんですよ。ジャンヌ様!いつも顔洗えと言ってるでしょう?」
「フランシスコ、骸骨が青筋立てないで下さい。」
「誰が立てさせてるんですか!」
「「「「「「あ……これエインヘリヤルと同じ性格してる……」」」」」」
『でもニコライ黒かったよね?』
「あの方はおしゃれで黒に塗ってなさったのです。だいたい白だとスケルトンと同じじゃないですか!」
『ではフランシスコさんにはこのマントとバトンを持って高笑いを……』
「嬢ちゃん、なんでそれに拘るんだ?」
『おいらの世界じゃ黄金バットって正義のヒーローが……だいたいここの洞窟聖者ばかりだから少々のお遊びは許されるだろう?ニコライもこのセット着けて闇バットとして……』
“待てエインヘリヤル!わしにもさせる気じゃったのか?”
『自分だけしないでいいと何で思った?』
{あ~、黒い骨のおっちゃん、親方本気でさせる気だぞこれ……}
『まぁニコライは体無いから仕方ないけどな……リッチと言えばノーライフキング。多少の王の威厳は必要だろう。ところで誰か馬車に連絡した?』
あ……カトちゃんが飛び出して行った……
「魔族3人相手にどれだけ早いんですか?」
『いや~、ニーズの魂喰らいが炸裂して……』
「マスヤマさん、あたしの聖骨杖は?」
“あと5分ほどで魔力満タンになるからちょっと待ってて欲しいんじゃ。”
「あら?どこかで聞いた声?」
“その節は迷惑かけたのう。わしゃ黒い骨じゃ。”
「ああ、あの時の……呪いは解けた?」
“エインヘリヤルと弓の兄さんが体ごと滅呪してくれたんじゃ。本当に済まんかったのう。”
「あのエルダーリッチって……」
“わしゃ今バトンの中の魔石じゃよ。魔族に聖邪反転の呪いをかけられてのう……こうするしか手は無かったんじゃ。ああ、聖邪反転はこの洞窟内ではもう無効化しておるんで心配は無用じゃが……シンとアーニャ、わしを許せんなら魔石を砕くがいい。”
「ん~?生き返ったからいいよ~。」
「アーニャはそう言うがペナルティーは受けてもらう。このダンジョンを守る事だ。少なくとも魔族と平和条約が結ばれるまで成仏するんじゃ無いぞ?」
“おう……なかなかきつい縛りじゃのう。了解した。このニコライ、ここにシン・カールスバーグに誓おう。このダンジョンは人類を護るダンジョンとなることを!”
『と言うかここ単にリッチが集まって生活してるただの洞窟っぽいけどな。あ、公爵祈りに行きましょう。』
「それはここだけじゃなくこの七洞窟全てそうですけどね。ところであの魔石何でシンさんのファミリーネーム知ってたんでしょう?」
「世界を見通す賢者ニコライ様だったからですよ公爵。」
『ほう?そんなにニコライ様ってのは偉いのかい?』
「聖魔戦争の折りに魔族の軍勢を一人残らず察知し人類を勝利に導いた聖人ですよ。小さな戦はジャンヌだが大きな戦はニコライに限るって言われてます。」
“嬉しいねぇスシを食いねぇスシを。”
『何で浪曲知ってるんだよ?』
“わしのスキルじゃ。何でも世界展望とか言うらしいがのう。”
“そのスキルはアマテラスの巫女も持ってますよ。”
『克っしゃんの護ってる子かな?』
“はい、ただ帝国英雄はそのスキルを使わせない様にしています。あれは寿命を削りますので。”
『いや……それはサラッと言う事ですか?』
“今はアマテラス様の加護も有りますしそうそう早死にはしません。”
“ではわしが89歳で死んだのは……”
“普通に長生きの範囲かと思いますが?”
「あの……お話中すいませんがそろそろ祈ってもらえるとありがたいんですが……」
『フランシスコさん、もっと主張しないとキャラ食われますよ?濃い連中に。』
「一番濃いのが付いて行くとか言ってますが?」
『ジャンヌさんですか?』
“フッフッフ、聖骨杖とシルバーバトンにリッチ洞の竜脈を介してパスが通った。わしも聖骨杖として付いて行こう。”
『思ったよりムチャな機能付いてるんだな。』
“伊達に聖者として没しとらんわ。あ、ここの洞窟もシルバーバトンとして守護するんでシンとの契約は違えておらんぞ?”
「過去トップに濃いのも付いて行くとか……聖女パーティーは呪われてるのか?」
“フランシスコ!後で便所掃除じゃ!”
『もう少し聖人らしい話はできないのか?』
“お?エインヘリヤルよ、祈りが通じたぞ?これで残りはドラゴンの洞だけじゃ。”
『あそこ魔族に落とされたんじゃないの?』
“なんじゃ?ぬしらは魔族が怖いのかの?”
『いや……前のダンジョンマスターの仇討ちしたいおっさん連中が居るんでな。少々暴れたいだけだ。』
“その通りに行くかのう?まぁ最悪わしが導くけどのう。”
5分遅れました
申し訳ありません




