リッチ洞からのメッセンジャー
『ほ~らこの辺焼けてるぞ~!ニーズ、生で野菜食うなよ……』
「あさがおにくとった~!」
「はながたべないからだよ~。」
「ほらほらママの肉あげるからケンカすんな。しっかり食うんだぞ?でないとあんな風に痩せ……おおっ?スケルトンか?」
“レッサーリッチですね。たぶんリッチ洞の住人でしょう。”
「フラフラだが太陽の下歩いてるぜ?おっさんあんなリッチ見たことねぇよ?」
「敬虔な信徒がリッチになった場合……太陽光線が平気なデイウォーカーになると言われてますが……」
「オスカー!おぬし敬虔な信徒じゃったな?ムサシ!実験じゃ!」
「「興味本意で人殺そうとすんな!」」
「意外と役に立たないおっさん共だな。」
『いやグロリアが早すぎるんだよ?子供なら骨でもいいのか?』
[わたしは子供ではありません。とはいえ日陰は助かりました……リッチ洞は魔族に占領されてしまいました。わたしはエインヘリヤルにここは危険だと伝えるのに来たのです。早く聖女パーティーに会わないと……]
「リッチさん、わたくしたちが聖女パーティーですよ?わたくしはリンジーと申します。」
[わたしは生前ジャンヌと呼ばれていました。]
「聖女ジャンヌ……では敬虔な信徒がリッチになった場合デイウォーカーになるという伝説は本当だったのですか。」
[フフ……その前におぞましい不死の呪いを受けなきゃなりませんけどね。そう言えばニコライはどうなりました?追放された黒い……]
『すいません、黒いエルダーリッチならそこのアーニャを殺めたんで処分しました。アーニャの聖骨杖がその証拠になります。』
[ニコライが殺人を……そうですか……彼もデイウォーカーだったのに何故……]
『闘った者として言わせてもらえればもう彼には聖者としての記憶は無かったように思います。最期は怨霊浄化をエンチャントした棒で頭蓋骨を砕きましたので。』
[そうですか……怨霊浄化が効いたのであればもうただのアンデッドに戻っていたのですね……って殺めたと仰いましたか?]
『はい、おいらは蘇生が使えますので。』
[では……あなた様は神に準じる魂を持っているのですね。]
“彼女はエインヘリヤル、高天ヶ原の神の一柱でも有ります。”
[フレイヤ様、魔族はニコライに魂を反転させる呪いを与えました。聖を邪に塗り替える呪いを……]
『んじゃこれ間違いでもないのか。ジャンヌさん、このシルバーバトンはニコライの魔石を使って作ってあります。聖骨杖は少し使わせていただきたいので竜脈の魔素開放弁の鍵として作りました。』
[まぁ……かなり魔法チャンネルが多い気がしますが?]
「正副合わせて50チャンネルじゃのう。なんに使うのかとも思うたが……」
『やっぱりあと20ほど空きチャンネル欲しかったかな。』
“マスヤマもマグナスも……自重とか限度という物をですね……”
『弁操作は5チャンネル有ったら足りる?』
[1チャンネルで充分ですよ。]
『ところで……魔族は何人居ますか?』
[3人です。ダンジョンコアを人質に取って居ます。]
『ダンジョンコア物理防御と魔法防御。レベル500で……よし、ジャンヌさん、チャンネル2と3にダンジョンコア防御を入れました。魔素充填中に2、3と言えば発動します。本当は不懐も入れたかったんですがこれはダンジョンが要塞になってしまいますので……まぁ4チャンネルに入れとこう。不懐は魔素充填が半分以上にならないと発動しません。気を付けてくださいね。』
[いや、気を付けてくださいねって……普通に錬金魔法付与してません?]
「はっはっは、そのお嬢ちゃんの一応親父は不本意ながら最高の錬金術師だからな。」
「モヤシは他人褒めるの下手じゃのう。」
「おっさんだって褒めたきゃねぇんだよ!」
『バトンを弁に突っ込んだら先の球が赤く灯ります。そうなれば2、3と言えばコアは護られます。半分になると緑色に光るんでこの時以降4と言えばコア不懐が発動します。チャンネル5が非常事態終了、コアの防衛システムが休眠します。動力ならびにコアへの魔素流入は遮られる事はないのでご安心下さい。』
「今2とか3とか言えばいいんじゃねぇか?」
『おっちゃん、リモコンが電池切れ状態なんだよ。指令出しても動かないよ。まずはバトンに魔素貯めないと。』
“聖骨杖より高性能になりましたね……”
『多分ニコライの遺産だよ。2、3、4、5はバトンの魔石が指示してきた。でなきゃ見たこともないダンジョンのコアの防御なんかできないよ。さて、ジャンヌさん、おいら達はちょっと遅れてリッチ洞に入る。ダンジョンコアが不懐になってないと暴れられないからね。それまではこのバトンだけでどうかするしかない。魔族にはニコライが作ったスペアキーを探しに言ってたと言えばいいんじゃないかな。とりあえずは魔素噴出の防止とダンジョンコアへの魔素流入再開しなきゃいけないからね。無理はしない様にね。』
[不思議な人ですね?魔物に落ちたわたしを信じてくれて……]
“高天ヶ原の神はこういう神々なのですよ。その代わり怒らせると邪神の王でも殴りに行きますので……”
『それは克っしゃんでしょう?』
“あなたも参加してたと聞きますが?”
「とんでもねぇな高天ヶ原のチームは……」
「ムサシさん達と同じだったでしょうね。」
「シン……他のはともかくおっさんは一般人だぜ?」
{おっちゃんが一般人なら我も一般竜だけど?}
「どこの世界にニーズヘッグと張り合う一般人が居ますか……一般人と言うなら私の様な……」
「司祭殿も一般人と呼ぶには逞しすぎるでござるよ。」
「ではわしじゃな。」
「「「「絶対違う!」」」」
[なんてパーティー……わたしも参加したかった……]
「リッチの姐さん、オデはどう見える?オデはオーク洞のランページだぜ?あんたも来れるなら来たらいいんじゃねぇか?少なくとも魔物だ人間だで差別する奴はここにゃ居ねぇからよ。」
{あと40分だぞ?何でもっと早く書かん?}
やまブクダイアリー書いてた……
{こいつは……んでリッチのジャンヌやけど……}
ジャンヌ・ダルクから、ニコライはセントニコライな。
{サンタクロースかよ!}
大魔王サンタ様!
{そりゃサタンじゃ!}




