リッチ撃破とお説教
「うわあああぁぁぁぁ!」
ボス部屋の入り口から慟哭が上がる。ってかもう救助して入り口まで行ってたのか……
「アーニャの仇だあぁ!」
乗せた魔力が暴走して丸太みたいな矢が飛んでくる。
リッチはさすがに鬱陶しいのか弓使いの方に向かう……
『ん?』
矢に当たったリッチの黒い骨が一瞬白く変わる。
『弓使いさん!何の魔法載せてんの?』
「死霊退散ですっ!」
『では……どうした黒骸骨!聖職者は怖いかこの三下!』
あ、こっち向いた。わー吼えながら鎌構えて襲って来る……怨霊浄化をヌンチャクにエンチャント。打撃じゃダメだ、ゆっくり衝撃を加えないと……
大降りする鎌を避けつつ目を狙ってヌンチャクを刺し入れる。リッチが叫んでるが無視してヌンチャクをこじる。ぱきっという軽い音と共にリッチの頭蓋骨が砕け……現れた黒い霧はダンジョンに吸い込まれた。
『弓使いさん!大丈夫ですか?』
「聖女様……アーニャが……アーニャが……」
全裸の女性冒険者は事切れていた……だが頭の中に呪文が浮かぶ。
『我が前に力尽き、横たわりしこの者に今一度の鼓動を与えん……復活!』
女性冒険者の身体がぼうっと光った後、黒い霧に……ならない!胸に耳を当てると鼓動が聞こえる!
『……成功です!』
「?……アーニャ?……アーニャ!」
『弓使いさん、これを着せてあげて下さい。』
おいらはローブを脱ぎ弓使いに渡す。
「俺はシンと言います。是非聖女様のお供を賜りたく……」
「ありがとうございます。わたくしの力になっていただけますか?」
……この軽四は……美味しい所だけ持って行きやがった……
『このあとわたくし達には大切な使命が有ります。ドロップを拾うんだぁ!』
「オッス!」
リッチの魔石と死出の鎌、餓骨杖……いや聖骨杖だな、それにイエローダイヤ3か……
『魔石とイエローダイヤ1つは戴きます。イエローダイヤ2つと鎌と杖はお持ち下さい。』
「あの……全て聖女様の物なんですが……」
『杖と鎌はわたくしには使えませんしダイヤは1つはアーニャさんの怖かった分、1つはシンさんの苦労された分ですよ。』
「ちょっとちょっと!もう少しもらっても罰は当たらないわよ!」
『騒いでただけの奴は黙ってぇ!』
などと頭の中で口喧嘩しながら転移魔方陣に飛び込むのであった。
「リッチ……ですか……アンデッドキングと呼ばれるかなり強力なモンスターのはずですが……」
さすがのオスカー司祭も絶句してる。
「運が悪きゃ即死呪文唱えて来ますよ?」
『ああ、おいらとシンさんに魔法反射かけてから突っ込んだので。』
「良く捕まった人生きてましたね。」
『死んでましたよ?』
「え?」
「司祭、マスヤマが復活かけたんです。」
「ゾンビになる可能性が有るんですよ?」
『死後1時間以内で身体に損傷が無い場合99%蘇生するみたいですよ。帝国勇者は20年前に弑された皇帝を蘇らせたとフレイヤ様が言ってました。』
「もしゾンビ化した場合、怨みは全てリンジーに向きますよ?あなたは再び動き始めた仲間を消滅させた人物として怨まれます。」
「失礼します!聖女様は居られますか?」
『は~い軽四で~す。』
「あんたちょっとは考えて返事しなさいよ。」
「はっはっは、聖女リンジーは混乱していましてな。」
ヌンチャクで殴るぞディノスのおっさん。
「すいません、アーニャが目を覚ましたのでご挨拶に。」
「魔導師アーニャと申します。この度はありがとうございました。」
聖女はアーニャの手を取り……
『無事で良かった。』
と涙を一粒流す。
周囲で見ていた者はリンジーの慈悲が流した涙だと思うだろう。
増山は説教聞かなくて済んだ安堵の涙だったのであるが……
『アーニャさん、新しい杖は如何ですか?』
「あれは少しレベル高すぎて……」
『そうですね……あの杖はS装備、あなたが次のレベルになれば使いやすくなるでしょう。心配しなくとも呪われていませんよ。』
「しかしいただいたのはいいんですがなにか怖くて……」
『面白い魔族の話をしましょう。その魔族の鍛冶師は天使の骨を模した杖を作った。強力な呪いを付与し、最凶の呪われた杖にするために。ただ残念ながらその鍛冶師の腕が良すぎた。本物の天使の骨のように呪いを全て弾く見た目は怖いが聖なる杖、聖骨杖。噂では持ち主が成長すると美しい天使の姿になるとかならないとか……』
「そんな謂れが……」
『有りませんよ?今適当に考えた話です。』
「いや……リンジーその伝説は実在するんだよ。」
『本気ですか?オスカー司祭?』
「むしろ何故知っているのかと……女神フレイヤ様に聞いたのかと思ってたが……」
『え?嘘でしょう?』
「残念ながら本当なんだ。」
『そう言えば呪文が頭の中に流れて来たり……』
“もっと称えても良いのですよ?”
『ああフレイヤ様の御業でしたか。』
リンジー以外全員が頭を垂れる。
“うふふ、我が巫女とエインヘリヤル・マスヤマ、お見事でした。アーニャ、その杖は必ずやあなたの力になるでしょう。我が巫女に助力をお願いしますね? さらにシン、あなたにも相応しい弓が必ず手に入ります。あなたがたの旅を見守っていますよ。オスカー、ディノス、彼らの補佐をお願いいたします。”
「「ははっ、命に代えましても!」」
「あの……聖女様?今フレイヤ様が言われたエインヘリヤル様はいずこに?」
「あの……それは……」
「リンジー、彼らには良いでしょう。シン、アーニャ、エインヘリヤル・マスヤマはリンジーの身体に同居しています。」
『騙したみたいになって済まなかったな。』
「いや……むしろあの戦い方はエインヘリヤルだと言われた方がしっくり来ますよ。」
「シン……そんなに凄かったの?」
「右に左にリッチの攻撃をかわしながら必殺の特殊杖がリッチにダメージ与えるんだよ。」
「リンジー……?」
『オスカー様、何も青筋立てんでもいいやん?ねぇ?』
「聖女を何だと思ってるんですかあなたは!あなたの耐久力は一般女性と変わらないんですよ!次回から私もダンジョンに入ります!よ・ろ・し・い・で・す・ね?」
『……はい。』
{……あ、ホンマにやまぐちブックストア書いとる……}
これはこれで結構楽しい。
{書くのは同じなんだから一本に絞れば良さそうに思うが?}
例えばどこかに行くとする。手段は車か2輪あるいは原付、どれが楽しいかってのと同じ。
{変態以外に解るように言え。}
車はまあ楽だし面白い。2輪は車に近いが自然の移り変わりが楽しめる。原付は土地の人と触れあいながら行けるってことで楽しみ方が全く違う。
{言われてみればそうかも……}
あとブックストアのあとがきにお前の出番無いから。
{ファ?}
あれ作者がケモブキじゃなく着ぐるみ人形あきだから。
{おっさんやんか。}
リンジーと増山の関係みたいなもんだ。