オーガの洞窟
“そうですね、彼のチームは彼を中心に纏まっています。今回の戦闘は自分のエゴで怪我したり死んだりが嫌ならここで待ってろと言っても艦を下りたクルーは居ませんでした。”
『すげぇあいつらしい言い方……』
“あと帝国の迷宮探索者達とも仲良くやってますよ。クラン・ミーン・マシーンはすぐさま有名になるでしょう。”
「ミーン・マシーンですと?女神様!それが帝国勇者のクランなのですか?でもチーム・ミーン・マシーンってダイヤモンドジャケットのオウルベア狩ったりかなり有名ですが似た名前って付けられるんですね?」
“ソウド、チーム・ミーン・マシーンがクランに格上げされたのです。皇帝子女や公爵公子までメンバーなチームですから当然と言えば当然ですが。ただ傘下チームはミーン・マシーン、ドロンボー、ワーナーブラザーズの3チームだけですが。”
『初耳だけど強いんだろうね?』
「ワーナーブラザーズと言えばダンジョンエクスプローラー3兄弟のA級チームですか?確かブラックドラゴンと遭遇して長男のドラッチが再起不能、末弟のゴンザレスが無くなり次男のワイリーだけが冒険者を続けているとか……」
“ソウド、ドラッチはヒュードロボの名前でドボコンに出てますよ。それにゴンザレスですが帝国勇者には蘇生魔法が有ります。共和国の悪魔の機械人形に転生してますよ。”
『ところでそろそろオーガの洞窟について教えてもらえませんか?』
「あ、そりゃ大丈夫だ。オデが知ってるよ。」
『そう言えばグロリアはオーガにランページって呼ばせてたらしいな。』
「いやそれはあいつらが勝手に呼んでたんだが……老夜叉って爺の孫の滝夜叉と姫夜叉なら知ってるんで戦闘にはならねぇと思うぜ?」
『んじゃ明日は一安心だな。』
『……そう思ってた事がおいらにも有りました。』
「なんだよてめえら!オデの顔を忘れたのか?」
「お前の言うランページはお前のような人間ではない!」
「グロリアよ、まほろばの鏡をもう一度使ってみぃ。」
筋骨隆々な褐色女戦士がオークに変身する……
「え?」「マジで?」「おい本当にランページじゃないか?」「あいつ……メスだったのか?」
「だから本人だつっとろうが!」
「お前がランページなら何故女を連れている?」
「彼女は我々に力を貸してくれているのです。」
「あの……そこの聖女様?わしらは祈りのパーティーは歓迎しますが、そいつは人食いの豚鬼なんですよ?」
『そうだな、こいつは今グロリアと名前を変えて聖女パーティーに参加している。神はそれを許した。では納得できないか?』
「エルフのちびちゃん、それはちょっと信じられないかな。」
{では我がニーズヘッグだと言ったら信じる?}
「いやいやおちびちゃん、それこそ……」
どろん!体長50メートルの邪聖竜降臨。
「先程申し上げた様にこの子はニーズヘッグ。かつての罪を雪ぐ為我々の旅に同行しています。グロリアも同じです。」
「ではその邪悪そうなエルフの子供も……?」
『誰が邪悪だこの野郎!』
「止めないか!失礼致しましたエインヘリヤル様。」
「老夜叉の爺さん!滝と姫は元気かい?」
「ランページよ……お主女じゃったのか?姫夜叉が悲しむのう。」
「何でよ?姫も一緒に旅するか?」
「いや……姫夜叉は……ちょっと付いてきてくれ。」
洞窟の奥の祠で寝かされている鬼人の少女……姫夜叉だ!
「姫!おい姫!どうしたんだよ?」
{グロ姉離れて!この毒わからない!}
心眼鑑定……
カエデ(姫夜叉)13歳♀ オーガ
状態異常 アミグダリン過剰摂取
『あ~、ニーズもグロリアも気にしなくていい、多分梅かアンズか枇杷の食いすぎだ……毒素中和!で、梅かアンズまたは枇杷を大量に食わせた奴が……』
「姫……枇杷とアンズ持ってきたぞ……早く良くなってくれ……」
『犯人はお前じゃぁ~!』
『いいか?梅とアンズと枇杷にはアミグダリンって毒が少量含まれてる。例えば1日そればかり食ってたら死ぬ程度の毒だ。』
「滝、良く聞いとけ。このチビちゃんエインヘリヤルにして錬金術も操るからな。」
「ってかランページ、来るなら言ってくれ。迎えたものを……」
「オデは今グロリアだ。鏡よ!……な?人間みたいだろ?」
「グロリア……俺の嫁に来い。」
「アホかぁ~!姫が治るのが先だろうが!」
「う……うん……」
「姫!アンズと枇杷だ!」
『止めっちゅうとんじゃそれを!ってか公爵祈らせてもらえない?』
「あんたがたは恩人だ!オーガは受けた恩は忘れない。」
「あら?ランページお姉さま!お久しぶりです!」
「よお姫夜叉御前、元気になってホッとしたぜ。」
『ってか公爵祈らせてやって……』
「姫、お前ランページが女って知ってたのか?」
「知ってたも何も一目で判るでしょうに?」
『ニーズちゃん、オーガの魂召し上がる?』
{みんな!親方が切れかけてる!早く公爵祈らせて!}
2分後、公爵の祈りは恙無く終わった。
「すまない……妹の事で気が動転してて……」
『まぁそれは仕方ないとは思うが……』
「しかしアンズや枇杷に毒が有るとはねぇ……」
『普通に食う分には体に影響が出る前に体内で分解されるんだが……妹さんの好物でいっぱい食わせたんだろう?』
「ああ、面目ねぇ。」
『いっそ酒に浸けたら毒は消えるんだぜ?樹液や蜂蜜に浸けても毒は消えるし干物にしてもいい。樹液は水で薄めて飲んでもいい。ちょっと加工すりゃ何でも食えるもんだ。』
「酒を詳しく教えてくれないか?」
『洗ってヘタ取ってアンズの1/3の重量の砂糖入れてひたひたよりちょっと余分に味の弱い強い酒入れて90日以上経ったら飲める。酒もアンズも美味いぞ。』
「あ~、甜菜糖でもいけるか?」
『上等上等、甘くて美味い酒になるぞ。おいらの国じゃ青梅の実で梅酒作ったりしてたな。さっきのアンズを梅に代えればできる。』
「本当に錬金術師なんだな……」
『いやいやこの酒は普通に家庭で浸けてたんだよ、錬金術関係ねぇよ?』
「梅酒じゃねーよ!毒の知識とかそっち方面だ!」
わはははは~2時間前!
{それが普通なんやそれが!ところでカエデ(姫夜叉)って何?}
姫夜叉の真名。これ下手に言うと姫夜叉が嫁入り道具持って飛んで来るか血刀振り回して襲って来るかの2択。
{またおかしな設定を……}




