旧友からの返事
「失礼します。マスヤマ様宛に手紙が帝国冒険者ギルドより参っております。」
『ありがとう店員さん。というか凄いねソウドさん……違う国なのに。』
「私は冒険者が好きでしてな、帝国冒険者ギルドとのパイプを持っておりますが……これだけ早いのはおそらくSSS級冒険者相手だからかと。」
『あ、やっぱりそう言うの在るんだ。』
「はい、特に今の帝国勇者は皇帝を甦らせて侯爵並の地位を与えられていると聞きます。それより手紙を……」
『あ!そうですね……「こちらワタナベタツオ、カワグチミドリ、イケダカヅコでお邪魔する、現在トライサブ領平定中。ニーズヘッグとの邂逅楽しみだ。オゴウカツミ。」……みろりちゃん来てるのか!ナベちゃんも……おまけに池田佳寿子って……小合佳寿子だろうに。会えたんだな克っしゃん……』
増山は知らぬ間に涙を流していた……
「どうなされました?」
『ああ、あいつが苦しむほど思いこがれた奥さんと会えたと書いて有ったんですよ。良かった……本当に良かった……』
「え?帝国勇者の奥さんですか?あの人は金属人形だったと思いますが……」
『いえ、あいつは元の世界で奥さんを亡くしたんです。でかい地震で腹に居た子供もろとも……あいつの落ち込みは凄かったですよ。なんか元気に革命とかしてるんでもしかしたらと思ってましたが……そうか……』
“彼の子供も元気ですよ。ユキハルと言うそうです。”
『幸治……男の子だったんですね!ってかフレイヤ様、なんで言わなかったんですか?』
“オリハルコンのヌンチャク渡した時(お説教はエンドレス)にユキハルの事も伝えましたよ?”
『あ……ごめん、おいらが聞いて無かったんだな。そう言えばあの時に友人の克っしゃんだって確信したんだった……』
「おいゴールディー、泣いてるとこ悪いが何か食ってくれ。真似できん。」
『あ、悪い。まずこうやって切ってこう……』
「なるほど……この刃物はナマクラだな。」
『それはナマクラでいいんだよ。鋭くすると自分の口切るアホウが出るからな。』
「で?帝国勇者のところのミドリってのが名前付ける時に言ってた女か?」
『ああ、二度と会えないはずの友人達だ。』
「しかし相手が判るのかのう?」
『え?』
「ゴールディーは姿形が変わってしまっとるじゃろ?相手も姿変わってたらどうするんじゃ?」
“ああ、ナベチャンはゴブリンカイザー、リョクことカワグチミドリは緑星竜ですよ?”
{聖龍姫?そんなの仲間にしてんの帝国勇者って?}
「知ってるんですかニーズちゃん?」
{闇の竜に対抗していた光の竜のナンバー2……我殺されちゃう……}
『大丈夫だ、お前はリンジー食ってないし今はおいらの仲間だ。克っしゃんも川口もお前を傷付けないよ。ニーズヘッグに会えるの楽しみにしてるとか書いてあるんだから。』
「フレイヤ様、スライムは仲間ではありませんか?」
『リンジー、いきなり食い付くな。確か暴食神鉄スライムってのを仲間にしてたはずだぞ?』
“その子供の神鋼ベビースライムも居ますよ?”
「何それ……そのスライムが喋ったらプラムボーイじゃない……」
“オリハルコンスライムのクリムもヒヒイロカネスライムのマインも普通に喋りますよ?クリムちゃんはエリクサーの合成もできる錬金術師でも有ります。”
「わし弟子にしてもらおうかのう。」
“頼めば普通に作り方教えてくれると思いますよ?”
「ああ……プラムボーイが魔族を滅ぼしに来てくれる……」
『だいたいそのプラムボーイってなんじゃい?』
「プラムの木で作られたウッドゴーレム、プラムボーイ。魔族が暴れているのを知ったプラムボーイは飢え死に寸前のドラゴンに腰に生ったスモモを与えて仲間にするの。同じ様にスライムとゴブリンを仲間にして暴れていた魔族を退治する……連邦の古いお伽噺……ノワール姉様……」
『おいらの地域の桃太郎だな。まぁあっちは人間でお供が犬・猿・雉だけど。』
“ノワールも帝国勇者と一緒に居ますよ。昆虫型戦闘機の非道さを見て怒ったみたいです。一つの艦隊を戦闘機2機と戦艦の大砲で壊滅させたみたいですね。”
『んでリンジー、ノワールさんって誰?』
「兄の……ディクリウス・アルトラパン・メイプルリーファーの番になるべき黒きエルフ。」
『エルフとダークエルフって仲悪いんでは?』
「また不思議な事を……」
“マスヤマ?黒人のエルフはダークエルフではありませんよ?ダークエルフとは人間で言う魔族です。角が生えてます。”
『ああそりゃ分りやすい……黄色人のエルフとかも居るの?』
“リンジーとかですね。白人種はハイエルフと呼ばれて居ます。”
『質問、ダークエルフでも平和主義なら放置していい?』
「もちろん、ダークエルフでも魔族でも実際に平和主義者が大半よ。殲滅させろなんて言わないわよ。」
『あれ?リンジー、メイプルリーファーの血に目覚めた?』
「ん~、なんかミラリオスって呼ばれてたの思い出したんだけどね。」
『戦乱の時は来たのか?』
「なんでよ?」
『今まで自分を狙う人間やエルフに狙われてたんだ。復讐に燃えてもおかしくない。』
「もしかしてわたくしをとんでもないろくでなしだと思ってない?」
『今は思ってない、わたくしと言うのは聖女リンジーだからな。あたしと言い出したら全く信用できんが。』
{親方、今はママだから大丈夫だよ。}
『解ってるよ。平和を愛するミラリオス王女。』
「わしら何を見せられてるんかのう。」
「あ~、この爺はいいところで……」
「マグナス、もうちょっと考えて口挟みなさい。」
「お二人は続きをどうぞ。」
『できるかぁ~!』
「でもよ、聖女様笑ってるぜ?」
「本当にわたくしの仲間は最高です。」
「リンジー、聖女パーティーとはこういうものなのですよ?今までがおかしすぎたのです。」
「エインヘリヤルを疎ましがる聖女、聖女に反感を持つエインヘリヤル……正直このパーティーは失敗だと思いやしたからねぇ……」
『雨降って地固まるって話が有る。今までバラバラだったパーティーがやっと固まって来たんだな……克っしゃんところもこんな感じかい?』
{まぁ小ぢんまりとして……}
おかしいな……オーガの洞窟入る予定だったのに。
{あとはオーガ、リッチ、ドラゴンか。}
どこで小合と会わせよう?
{知るか!}




