ニーズヘッグ 金を生む
「で、地球の悪魔や魔神って誰?」
“大抵あなた方が一度ならず張り倒した連中ですが……”
「女神様少々お待ちを!ゴールディ、この飴どうやって作った?」
『砂糖を煮ながら美味しくなれ美味しくなれと……』
「よし解った。」
『やってもできないからね?後で教えるからちょっと待ってて。サタンとかデーモンとかあの辺り?』
“有名なのはあなた方の名前聞いて帰りましたよ?”
『ヨナルデパズトーリとかサシペレレとか?』
“急にマイナーになりましたね?と言うかサシペレレって妖精だったのでは?”
『ああ悪魔くんの12使徒は必ずしも悪魔じゃなかったのか。んで総大将誰か判ります?』
“サマエルです。”
『赤ヘビかよ?』
{何?我?}
『いやニーズじゃなくて、ユダヤ教の火の大悪魔、元熾天使だったりエデンの蛇だったり何せ正体が掴めない…最後に会った時は某魔法学校で准教授してたしな。』
「なにその訳のわからない人…」
「ほほう…かなりの強敵ですか?」
『多分おいら独りじゃ勝てませんよ……本物ならね。』
「違うのですか?」
『まず彼が勝てないのが先の魔法学校の校長であり全知全能の「主」とそこの用務員ハプシエル。後はオーディーン様達主神クラス、この辺りは出るだけで逃走します。それに今は聖母の教育に一生懸命で来ないと思われますね。』
“なら誰が?”
『わからない事は調べましょう。それが一番手っ取り早いです。』
「魔神と戦う事になるのですか?」
『そんなのはおいらの出番だ。リンジーは聖女として出来ることをすればいい。』
{我は?}
『ニーズも当面はリンジーの手伝い、ちゃんとシンさんやカトちゃんの言うこと聞くんだぞ?』
「そろそろいいかのう?」
『何だっけ?』
「飴の話じゃ!本当にこれどうやって作ったんじゃ?」
『砂糖にスライムの魔石粉末にして混ぜた。スライムの魔石はヤスリで削る事、粉が荒ければ舌触りが悪くなる。砂糖100グラムに魔石1グラムの割合、香料はお好みで。魔法はヒール以上はかからない。』
「不思議な事やるのう……」
『数年経つと魔石の有る人間が生まれたりして。』
「おいおい……」
『今死ぬか数年後に魔石が出来るかならどっちがいい?』
「まぁそうか……」
『それに人体に害は無いしもしかしたら排泄されるかも知れない。元の世界に無かったマテリアルなんでどうなるかはわからないけど。』
{親方魔族倒したでしょ?あれ魔石持ちの人間。}
『え?あんなんになるのか?』
{具体的にどうとは言えないけど魂の味は似たり寄ったりで魔力が濃いから胸焼けする。}
『んじゃさしたる違いはないかな。』
「……おぬしらは……」
『と言う訳で魔族退治に行きます。』
「何が「と言う訳」なのやら……」
「ではとりあえず西に向かってくだされ。西に馬車で4日行った所に有る町に魔族が住み着いて居るらしいのじゃ。」
『王様、敵対行為せず人間と仲良くしてたら退治しなくていい?』
「そりゃもちろん!王国臣民になってくれるなら殺す必要等ないしのう。」
『あと犯罪奴隷はともかくもし違法奴隷売買が有ったら刺青か焼きゴテ入れて犯罪奴隷に落としてね?買った奴も売った奴も。』
「刺青か焼きゴテは良い案じゃの。早速触れを出そう。」
『最後に孤児院は国で面倒見て貰えると助かります。公爵様は個人的に面倒見てるみたいだけど。』
「あっ!こらしー!」
「ミツクニよ、しーとはなんじゃ?」
「あれ?公爵様マッコール孤児院は王様からの指示だと……ヨシムネ?」
「いや今まで孤児院は頭から抜けておりました。」
「と言うことは……ミツクニ公爵が自発的に?子供お好きなんですね?」
『父ちゃん、イケメンの金持ちは良い様に思われるねぇ。父ちゃんがやったらロリコン扱いなのに。』
「おぬしは要らん事言うと言われなかったか?」
『前世では通信簿に必ず書かれてた。』
「その通信簿と言うのが良く判らんが正しいのう。」
{親方!脱皮する!}
『公爵!部屋貸して下さい!』
「隣の広間使って下さい!」
人間態のニーズを広間に連れて行くと推定5メートルの竜になり……皮が一瞬で剥がれた。しっかり爪や牙も再生している。
{親方、ヒゲここに置くね。}
『ああありがとう。さぁ人間に戻って服着ようか。』
{我親方みたいなひらひらの服着てみたい。}
『父ちゃん!ニーズに合うメイド服有る~?』
「おぬしのサイズしか無いわい!」
「あの……うちの使用人の子供用なら有りますよ?」
『公爵、すいません。出世払いで譲って下さい。
今ニーズすっぽんぽんです。』
「え?さっきまで着てた黒いジャケットは?」
『あれ皮膚だったみたいです。今破れて散りました。』
「ゴールディ!皮集めといてくれ!」
『匂いはしないぞ?』
「嗅ぐか!錬金試料じゃ!」
そして子供用メイド服を持ってきたミツクニに……
『お代官様、こちらをお持ち下さいませ。』
「ゴールディちゃん、何ですかこれ?」
『ニーズヘッグの爪と牙でございます。』
「お主も悪よのう……」
{親方も公爵様も何言ってるんですか?}
『お前の服の代金にだな……』
「これ片方でもその服100枚以上の値打ちですよ?」
『んじゃ借金完済で、余りは昨日からの迷惑料です。剣でも作って下さい。』
{あ~!できればミスリル以上で作ってね。切った相手に毒与えるから。}
『んで父ちゃんマジックバッグ持って来てくれ~!』
「なんじゃい?」
『皮が多いんじゃい!あと王様、これ王宮の修理費でニーズヘッグの爪と牙です。』
「国宝にします!」
『なんかミスリル以上でないと腐るらしいですよ?カトちゃんこれでクナイと手裏剣作ろうね。シンさんにはヒゲ。これでリンジー以外の武器は揃った。』
「作るのに1週間ほどかかると思い申すが?」
『野宿は嫌いかい?』
「何ですぐ野宿しようとするんですか?」
『金が無いので。』
「だから公爵邸に居れば良いじゃないですか。っていうかニーズヘッグの爪と牙ならすぐに売れますよ。」
『おいらギルド員じゃないので。』
「マスヤマさん……俺ら忘れてますか?」
『いいえ?チーム聖女パーティーには牙も爪も2つずつ……』
「俺らギルド員ですよ?」
『あ……』
{……武器一気に……}
まぁシンの弓とカトーのクナイだから……
{ミスリルで作ったとしてカトー投げられるか?}
紐付けて縄標にするとか?




