ダイアナの真実
{親方!胃もたれする!}
『ほれ口直しのマロングラッセ。』
{わ~い!}
「あれ絶対子煩悩になり申すよ。」
「エインヘリヤル様が男なら姫を結婚相手にして……」
「見た目は幼女じゃが中身は男ですぞ?」
王と錬金術師が悩んでるなか、立候補者が出る。
「ではゴールディさんは私が……」
「却下だミツクニ公爵。お前にはヒロコという許嫁が居るじゃろう!」
『ミツエモンさん。妖怪の嫁が欲しいのか?』
「可愛きゃ妖怪悪鬼であろうと……」
『ニーズヘッグであろうと?』
「ふむ……ニーズちゃん、おっさんの嫁になる?」
{我はこの国を護る使命が有るので。}
『さっきまで滅ぼそうとしてた奴が言うな!』
“はっはっは!ニーズヘッグよ、心からマスヤマの使い魔になった様じゃのう。”
{ん~?まだ人や世界樹食べたいけど親方が嫌がるから。}
“ではマスヤマが居なくなれば食うか?”
{ケーキの方がいい。}
“ヨシムネよ、ニーズヘッグは守護竜に目覚めた様じゃぞ。”
「はい……ありがたい事です。」
『守護竜ってそんなんでなるの?』
“屈服と代償でなるんじゃよ。殴り倒した後にケーキ与えたからのう。”
『ヒュドラとかファフニールとかヤマタノオロチも殴り倒したけど守護竜にならなかったのはケーキやらなかったからか?』
“いや……別にケーキでなくても。”
“自分の血を与えて守護竜にした英雄も居ますよ?”
『あ、フレイヤ様ケーキ食い終わった?』
“あなた最近わたくしを食いしん坊と認識してませんか?”
『本当はその枠はリンジーの予定だったのにな。』
「食べ物を分け与えるのは美しい事です。」
{食い物を くれる事こそ 愛なりき。}
「わ~、ニーズちゃん賢いのね。」
「今聖女様とニーズ逆の事言って無かったか?」
「拙者もそう思う。」
『奇遇だな、おいらもだ。』
「おいオスカー、聖女様は完全にニーズヘッグの精神支配から抜けたんじゃ無いかのう?」
「その様ですね。これで改めて修行旅を始められます。」
『オスカー司祭、その旅の目的地は有るのかな?』
「いえ、特に目的地は有りませんが?」
『なら魔族狩りはどうだい?別に魔族領まで行かなくてもこっちに出てきた魔族の討伐でいいんだから。王様はその間に魔族領をどうするか考えてもらえばいい。軍を集めるのもいいし和平を望むのもおいらは意見しないよ。』
「わかった、チーム聖女はチーム魔族狩りとして動いてもらおう。エインヘリヤル・マスヤマ殿、どうかお力をお貸し下され。」
『え?おいらも?ニーズヘッグの養育が有るんで休みたいなと……』
{親方、痔を見てせざるは勇無きなりだぞ?}
『義だ、痔を見せるんじゃない!』
「纏まりましたね?」
『シスター・ダイアナ?居たんなら食べに来れば良かったのに。』
「あなたがニーズヘッグを倒した後リンジーを殺すと言われたので……」
『言ったっけ?まぁニーズも死んで無いならリンジー殺す事も無いでしょ。』
{くんくんくん……親方、この人王様と同じ匂いがする。あとエルフの匂いもする。}
「ニーズヘッグはお見通しなんですね……」
自ら頭巾を外し耳を露出させる……紛れもなくエルフだ。
「姉上、久し振りに耳を見せたね。」
「この方はリンジー……いや、ミラリオス、アルトラパンの恩人ですから。わたくしは先王と奴隷の間に生まれたハーフエルフです。先王はわたくしを生け贄としてニーズヘッグを召喚するつもりでした。」
{結構ヤバい事になってたんだね。}
当事者がのほほんと呟く。
{我ら竜は生け贄を持って召喚されたら理性が飛ぶのよ。もしかして先王ってこの国滅ぼしたかったんじゃない?}
「それについては魔族が暗躍していた証拠が上がっているんじゃ。余を捕らえてた奴らじゃが、あ奴らは先王の時代からの腹心だったのじゃよ。」
『うん、ところで魔族って何?おいら人形の強い魔物位のイメージだったんだが。』
あ……全員転けた。
“マスヤマ!わたくしの説明を聞いて無かったんですか?”
『その前に説明した記憶は有りますか?』
“ん~?……あら?”
『基本的においら気が付いたらリンジーの中に居たんですが?』
“おほん、では説明します。まずこの世界に神は居ません。”
『自分を否定しますか?』
“土着の神が居ないと言う意味です!この世界では2億年程前に神魔戦争と言うのが有りまして、それで土着の神も魔神も居なくなったのです。”
『ふんふん。』
“それでも人類は生き残ってました。そこで地球の神々に因る統治を計画して今に至るのですが、どうも地球の邪神や悪魔がついてきた様で……”
『うんまぁ……地球が邪神や悪魔で溢れても嫌だしなぁ。』
“そこで地球の激神達に来てもらおうと言うことになって高天ヶ原からアマテラス様を召喚、そしてアマテラス様と相談してあなたや帝国英雄が喚ばれました。”
『嫌でも戦えとは言わないの?』
“旧神の王すら殴り倒す荒神にですか?”
『おいら達は野獣ではありません。リングを降りたら紳士です。』
“だからこそ喚んだんですよ。裸苦転血なら平和裏に解決してくれると。”
『つまり自分達が平和を保つからお前ら暴れて来いと?』
“ぶっちゃけてしまえばそうです。”
『地球産の邪神達と戦争になっても?』
“なりませんよ。チーム裸苦転血が地球最強のはぐれ神チームだったんですから。ねぇニーズヘッグ?”
{まぁ我でも知ってる名前だったし。}
「おいマグナス、お前の娘はどっかの世界の最強のはぐれ神だったらしいぞ?」
「それがどうした?元神でも悪魔でも今はわしの可愛い娘じゃ。」
「でもあの子もエルフだよな?」
「たぶんのう……わしが見つけた時は頭と身体だけじゃったよ。3日程前か?急に培養液の中から魔法撃ってのう……」
「何で嬉しそうなんだお前は?」
「蘇らんと思ってた命が蘇ったんじゃぞ?嬉しくて何が悪い?」
「やっぱりお前わたしより博愛主義者だろう?」
「ふん、わしゃただの変人爺じゃ。」
「マグナス様、こちらの飴を造る事は可能でしょうか?」
「できるが……飴なぞ作ってどうするつもりじゃな?」
「これはマスヤマが作った身体が光る飴です。ダンジョン内で遭難した冒険者が持っていれば助かる可能性が上がります。」
珍しく遅れなかった。
{自分で言うな!っていうかあと15分やないか。}
一応俺が宇宙の戦闘機?も含めたこの世界の説明でございます。
{土着の神殺しよった……}




