今度は魔王か……
「ところでマスヤマ。この子はどなたです?」
『生き別れのあんたの娘だが?』
{ママ~!}
「いやそうでなくて……さっきニーズヘッグとか何とか……」
『聞こえてたんじゃないか。』
{もふもふの蛇の方がいい?}
「ニーズちゃん、蛇形態はお腹汚れますよ。」
{アーニャは我が怖くないの?}
「怖いよりかわいいが勝ってるかな。はい、今度はマロンタルトよ。」
{わ~い!もきゅもきゅ……あ!これ世界樹の根っこに似てる!こっちの方が美味しいけど。}
『ユグドラシルは栗の味……』
「マスヤマ?何メモしてるんです?」
『いや……何かに役立つかと。』
「ニーズヘッグ、いらっしゃい。ママと世界を回りましょう。」
『なんかリンジー変わった?』
「マスヤマさん、あれが聖女本来の佇まいなのです。」
『母ちゃんおっぱい。』
「マスヤマ、あなたはお姉ちゃんなんだから我慢してください。」
『オスカー司祭!あのリンジーは偽物だ!』
“こらこら……まぁそう思うのも無理は無いですが。”
『あんなお淑やかなのがニーズヘッグ抑えられるはずもない。』
“別に殴って押さえ付けてたのではありませんよ?”
『え?ちゃうの?』
{我は神力で身体の自由が効かなかったので高位聖職者の魂で動けるようになりたかった。}
『今は動けるのか?』
{親方の使い魔になったから。ただ本調子には一回脱皮しないと無理。}
「おお?お主脱皮するのかの?」
{爺ちゃん、我も竜のはしくれ、脱皮位するよ。}
「その時の皮くれんかの?」
『父ちゃん位の年齢なら小さい子供に興味持つなとは言わんがロリコンはできるだけ我慢して欲しい。』
「待たんかゴールディ、何を想像しとる?竜の脱皮皮には魔力が残ってていい錬金試料になるんじゃぞ?」
{ああ、それならあげる。今回角や爪も生え替わると思うからそれもあげるよ?}
『ニーズ、ヒゲは無理か?』
{我らのヒゲは中に肉入ってるから……あ、弓とか鞭とか作るんなら自切しようか?それなら痛くないし。}
『ああ、シンさんの弓作りたくてな。』
{気持ち込めて射ると魂痺れて動けなくなるので良ければ。ただ弓が普通に引けるかどうか……}
『それなら問題無い。済まんが頼むよ。』
「竜のヒゲの弓とか鉄で作っても弓が壊れ申すよ?」
『これで作れない?』
「アチョー棒……いやオリハルコンか、なら耐えられるじゃろうが……」
『それでこう言う形にするんだ。』
サラサラと増山が描いた物はコンパウンド・ボウだった。
「ほう……滑車で力を集中させるのか。」
『おいら達の世界の剛弓だよ。名付けて神弓ニーズヘッグ。恐らくこの世界一の弓になる。後はカトちゃんの忍者刀やクナイも作らなきゃな。』
「面白い物をポンポン作っとるな。」
『陛下!身体はもういいの?』
「エインヘリヤル様、オリハルコン刀なら城にある。役立ててもらえないかな?」
『と言うかこの世界刀在るんだね。』
「その昔この世界に迷い混んだササキ・コジローと言うマレビトが残したのだよ。彼が持っていた物は長かったらしいが城に有るのは50センチ足らずで反ってないものだが……」
『……本当に忍者刀じゃないか!陛下、すいませんがその刀このフェニックス・カトーに下賜お願いできませんか?』
「お持ちください。それとミラリオス・アルトラパン・メイプルリーファー、エルブヘイムの王として謝罪します。魔族を倒したら再びメイプルリーファーを復興させてください。今度こそ手を取り合って国を治めましょう。」
「それだけはわたくしの一存ではどうする事もできません。しばらく考えさせて頂けるとありがたいです。」
『やっぱりあいつ偽物じゃない?』
「う~ん……私も否定できなくなってきた……」
「オスカー、お主は昔から変わっとらんのう。例え中身が180度変わったとしてもその娘はお主の育てた聖女じゃろうが?お主が信じんでどうするんじゃ。」
「マグナス……お前は今も真っ直ぐなんだな。」
『伊達に騎士爵名乗ってなかったか。』
「いや、正直騎士爵の名前なんぞわしゃ要らんぞ?」
『侘び住まいでも錬金釜さえあれば?』
「男のロマンはそこに有るのう。」
『陛下、あれかなりマッド入ってますよ?』
「でも一応は我が国最高の頭脳なんだよ……」
『おいら達の世界じゃ普段賢いけどやることはアホって人間が居ましてな。』
「ニーズちゃん、あなたのお父さん人になんだかんだ言う割に自分は王様と普通に話してるわよ?」
{結局一番図太いのは親方なのよ。}
「いや……神様王様邪竜様が入り乱れてる中で邪竜様と話してるアーニャもなかなかでござるよ?」
『この中で自分が一番小市民だと思う人~!』
全員が手を上げていた。
「ほほう?平和だねぇ。」
さっき逃がしたはずの女魔族が帰ってきていた。
『あれ?姉ちゃんさっき飛んで行かなかった?』
「お宝取り忘れて帰って来たんだよゥ。ついでに魔王四天王が一人幻惑のソルミラージュも連れにねェ。」
『あいつそんな名前だったのか。』
「お嬢ちゃん、自分より強い人間をあいつ呼ばわりはするもんじゃ無いねェ。」
『ニーズ、遊んであげなさい。』
ゴワァオ!ニーズヘッグが咆哮と共に元の形、大きさに戻る。
「まさか……ニーズヘッグ?どうやって復活させた?」
『しばき倒して仲間にした。』
「お嬢ちゃん、冗談は時と場所を選ぶもんだよゥ。」
『ニーズ、あの魔族の魂食える?』
{余裕だぞ親方。}
『さぁ、召し上がれ。』
ニーズヘッグの魂喰いが炸裂し、女魔族が食堂に倒れている。
「ま……さか……ニーズ……ヘッグを……部下にするとは……魔王様……敵は……強い……」
『いや今更ンなこと言われても……』
ニーズヘッグは人間態に戻り腹をさすっている。
「マスヤマさんの言葉を信じなかった時点であの姉ちゃんの命運は尽きてたんだな。」
『こうなった以上帰す訳にもいかないしな。』
「うんうんわかる、良いよねあの子。おっぱい大きかったもんね。」
『リンジーさん、ご機嫌斜めですね?』
「誰の所為デスか?」
『少なくともおいらじゃないと思います。』
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残業が辛い……