彼の元へ...
複数話に分割する関係で話数が再度左右します。
また、その際一部内容を加筆いたします。
読んでいてくださる方には再びご迷惑おかけして申し訳ございません。
分割する話は
○刄のSK①
↓
・刄の義姉③
・刄のSK①
です。
また、今までの話について一部文章の表現を変えていっている最中です。話の内容および流れは基本的に変わらないのですが、もしよかったら一度目を通してみてください。
ちなみに今現在
・刄のSK①
まで修正済みです。
俺たちが用件を伝えると、一瞬だけ雰囲気が変化した後、相変わらずの無機質な顔で鼻が曲がりそうな程の異臭を放ちながら、どこかへ誘導しようとする。
俺は靴を脱ごうとする動作をとらずに男へ視線を向ける。
「玄関先で申し訳ございませんが、こちらに奥さんを連れてきていただけないでしょうか?」
「申し訳ございませんが、妻は身体が弱っており、歩くことができずにいるため連れて来れないんですよ。」
男はあくまで口調は申し訳なさそうに言うものの、その声音はとても警戒していた。俺たちは周囲への警戒をより高める。
「じゃあ、そこに隠れている人たちをどこか遠くへ行かせてくれませんか?」
俺が隠れている武装した男女について指摘した直後、隠れていた場所から男女のうち2人が飛び出し、包丁やナイフなどを刺してこようと突っ込んできた。
俺と荒波さんはそれぞれ1人ずつを軽くいなす。その隙に後ろからやって来た残りの人たちに対して、悠馬が強く戸を閉めることで対抗する。
「ちょっ、刄、優衣。あんま持たねーから、早くしてくれ!」
「オッケー。
任せときなさい!」
必死な声色で助力する悠馬のためにも、荒波さんは分身を一気に4体追加し、室内を経由して外の男女を囲み込んで各々手に持つ拳銃で制圧していっているのか銃声が鳴り響く。
目の前の男はその隙に、2階からやってきた男と最初に襲いかかってきた男女2人に足止めをさせながら2階へと駆け上っていく。
「待てっ!」
俺が大声を上げて追いかけていこうとするも、目の前の3人に行く手を阻まれ、思うように進めずにいる。
しかし、荒波さんが拳銃による強行手段を取り、室内の3人を制圧したことで、俺たちは少し間を開けてから2階へと逃げていった男を追いかけていった。
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私が必死で愛しいあの人を呼び寄せていると、僅かな空間の揺らぎの後、私の目の前には望みの、全身を黒いコートで覆った人物がいた。
「ご連絡した通りです。
申し訳ございませんが、私と彼をこの場から逃すのにご助力いただけますか?」
「了承した。」
私が彼に支えられながらあの方へ歩み寄ると、あの方はノイズのかかった高いのか低いのかわからないような声で端的に私の助力に応じることだけ告げる。
私はホッと胸を投げ下ろし、彼に支えられながらあの方に左肩を触られた。同時に彼は右肩を触れられている。あの方がボソッと漏らした言葉に対し、聞き間違いかと思い聞き直そうとした瞬間、私の視界に映る光景は陰気な部屋から変化した。
ミニチュアのように映る街の風景へと。
私は予想外の光景に思考停止したまま、その身1つのままのスカイダイビングを行っていた。
しばらく何が起こったのかわからなかったが、自身の身に何が起きているのか理解した後、そばに彼がいることを確認すると胸の中が満足感で一杯になった。だって、もうすでに死んでいるはずの彼と一緒に逝けるのだから。
彼が死んでしまい生きる活力を失いつつも何とか実行した復讐。それすらも終わってしまった今、私には生きる意味を見出せなかった。もしかしたら、こうなることを望んであの方へ連絡を取ったのかもしれない。だって、あの方は私たちを遥か上空へ飛ばす直前、こう言っていたのだから。
「今までお疲れ様。」
と。
あぁ、1つだけ心残りがあるとすれば、あの子に謝れなかったことかしら。親友の娘である、私の娘でもあるようなあの子へ...。
「ごめんなさい。」
私の喉から漏れた微かな謝罪はその後の1人と1体の墜落音にかき消された。その2体のヒトだったものは口元に笑みを浮かべていた。




