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サイキック・ワールド  作者: みっどないと
第2章 邂逅と能力判明
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昨日の出来事

 俺の能力については明日改めて話をするってことになった後、俺は一目散に病院へ向かった。

 ただ1つ、雪の回復を願いながら...



 仕事中も常に俺の頭の片隅に雪のことがぎっていた。


 建物を出た途端、走り出したのだが、どうやって病院へ辿り着いたのかわからないくらいひたすら雪のことしか考えていなかった。


 電車に乗っている間にかおりとの携帯でのやり取りで雪の無事はわかっているのだが、どうしても雪の姿を一目見ないと安心できない。



 ピンポーン


 エレベーターが雪の病室のあるフロアに到着する。エレベーターから少しでも早く降りようとしたため、乗ろうとしてた見舞い客らしき人たちが戸惑っているように見えたが、俺はそれを無視して雪の病室へと向かう。


 緊張で心拍数が高まり、心臓が高スピードで血液を送り出す。



 雪...


 雪...


 どうか無事元気な姿の雪を見せてください、神様...



 心の中で雪の無事を何回も何回も必死に願う。不安から指先を少し震わしながら病室の扉に指先を引っかける。



「あ、パパ!」



 病室に入ると、ベッドで寝転ぶ雪が頭に包帯を巻いたまま、身体を起こしてこちらを見る。

 どうやら元気な様子から、今のところ特に後遺症はなさそうだ。



「雪!

 もう身体は大丈夫なのか?」



 俺はカバンを肩にかけたまま雪を優しく抱きしめる。



「おかえり、パパッ!!


 おしごとおつかれさま!」



 抱きしめられた雪は、破顔させながら楽しそうな声を上げる。



「お仕事お疲れ様、刄。

 昨日はありがとう。」



 見舞い客用らしきパイプの丸椅子に座っていたかおりも、朝見た時とは違って、気持ちがほとんど落ち着いた様子のまま、俺たちの方へ歩み寄ってくる



「ただいま、かおり。

 今日も雪のこと見ててくれてありがとうな。」



 俺は歩み寄ってきたかおりを左腕で、雪をそのまま右腕で、しっかりと、だが、痛くないように力加減に気をつけながら抱きしめる。



 雪が味気ない病院食を嫌々食べ終え、俺が雪を寝かしつけた後、面会時間がやってきたため、かおりと共に家へ帰宅した。



 家へ帰ってくると、片付ける時間がなかったため、今朝俺が綺麗にした、雪の頭の上に落ちた血濡れのフライパンと血塗れの床以外そのままであった。


 雪の怪我の後をそのままにしておくと、かおりが帰ってきた時に思い出してしまうと思い、帰ってきた時に咄嗟に綺麗に洗ったのだった。



 かおりがキッチンに目をやり、俺が綺麗にしたことに気づくと、感謝の意を俺に伝えてから、昨日のことの詳細を話してくれた。



「実は、昨日、料理をしてたら頭がボーッとしてきて...

 風邪かと思って薬を飲もうと目を離した隙にフライパンが雪の頭に落ちてきて...

 わっ、私が...もっ、もっとゆっ、雪のこと、気にかけてたら...」



 最初はポツポツと話していたのだが、改めて後悔の念が強く出てしまったのか、最後の方には泣きそうなくらいの声を出しながら、かおりが説明してくれた。



 かおりの話から推測すると、かおりが目を離した隙に、たまたまキッチンの近くにいた雪の頭に、コンロの上からバランスを崩したのか、料理中のフライパンがゴンと落ちてきたらしい。


 当たりどころが悪かった結果、昨日のような事態になったようだ。



 俺はかおりの背中をさすって、



「とにかく雪は無事だったんだから、次から気を付けたら大丈夫だよ。

 だから、そんなに気を病むな。明るくしてないと、雪が心配するぞ!」



 話していくうちに、再び暗さが戻って来ていたかおりは顔に明るさを少し取り戻して、



「う、うん...ありがとう、刄...」



 か細い声でそう言いながら俺に倒れるようにもたれかかった。

 俺は倒れ込むかおりを支えながらゆっくりとソファーに座らせた。

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