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一つの物語  作者: 世界の一つ
一つの物語〜奇跡編〜
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奇跡編2

逃げられた……でも目的が同じならまた会うことになるはず。レッカと……あの人は誰かしら?確か再びレギュレーションが現れた時にいた、セツナと呼ばれていた人よね?あの人も時空間魔法を使えるみたいだけど。


『こちら本部、ミツキ様聞こえますか?』


「こちらミツキ、感度良好よ。どうしたの?」


『先程のイレギュラーレベル10の通知はもうご存知ですよね、マスターからのご指示があり至急そちらに向かってほしいとの事です。援護部隊としてサツキ様、ユマリ様、アカリ様、ソウヤ様、カイ様、ハク様、キラ様、ミラー様が任命されました、後ほど合流しイレギュラーの粛正にあたって下さい。幸運を』


「了解、直ちに現場に向かうわ」


本部のカレンとの通信を終え、私は車へと歩き出す。このメンツなら例えレベル10のイレギュラー相手でも太刀打ちできるはず、でもちょっと心配なのが三等粛正官の二人がいる事。ハイレベルのイレギュラー相手にあの子達がどれだけ戦えるかが少し気にかかるところね。


「ミツキ様、こちらの収容は完了致しました。どうぞお気をつけてお行きください、幸運を!」


「ありがとう、後のことは頼むわ。そっちも油断しないでね」


「はっ!」と言って敬礼する私の部隊達に敬礼をし返し、私は車の中へと入る。


……イレギュラーレベル10、という事はもしかしたらリュウガと繋がりがあるかもしれない。だからマスターは私たちをご指名されたのだろう、ご厚意に応えなくちゃ!待ってなさい、イレギュラー!リュウガ!






ーー数十分後、カンナの洞窟前ーー



「皆んな揃ってるわね、じゃあ洞窟の中へ入りましょう。イレギュラーはこの奥にいるとの情報よ。アカリちゃん、キド君は後方に回って援護お願い、キラとミラーは彼女達の前で先導して残りは私と。さあ、行くわよ」


一同は了解と言って行動を開始した。


「これは多分の話だけど、この先に紅がいる可能性があるわ」


「紅が!?あいつら今度こそ……!」


「確かに捕縛命令が出てるけど、優先すべきはイレギュラーの粛正よ、サツキ。先ずはイレギュラーレベル10の粛正を優先してその後に紅をどうするか考えましょう……少し気は進まないけど、紅と共闘する事も視野に入れておきなさいね」


興奮するサツキを抑えて私は冷静に指示を出した。それを聞いて皆んなは少し暗い雰囲気になったけど、仕方ない……リュウガと繋がっていた紅と共闘するなんて誰だって納得行くはずが無い。

それでもあの時はレッカたちと共闘する事を選んだ、少なくても私と何人かは少し慣れているはず……私の勘違いかもしれないけど。


「また奴らと共闘か……まあ状況によっては仕方ない事だよな。あいつの……リュウイチの願いでもあったんだ、遺志をくんでやるのも弔いになるはずだ、気合い入れようぜみんな」


「うん、そうだね!みんなでイレギュラーを粛正しよう!」


ありがとう、カイ、ハク。


「そうね、兄さんの願いを叶えるのも私達にしかできない事ですもの、共闘する事に異論は無いわ」


ユマリも


「むぅ!あ〜もう分かったよぉ!」


「私も異論は無いわ、キラも勿論良いわよね?」


「え?あぁ、うん僕も大丈夫だよ」


サツキも渋々了承してくれた、ミラーとキラも分かってくれた様だ。


「俺は正直気が進まないが、兄貴のやりたかった事を代わりにやり遂げてみせますぜ!」


「私も……その……リュ……あの人の遺志を尊重します」


キド君とアカリちゃんも納得してくれたみたいね、ありがとう皆んな。


……アカリちゃんとはあの時メディカルルームで話して以来あまり話した事が無いけど、リュウイチに対する考え方が変わっているのかもしれない。良かった……でも彼がいない以上、仲直りする事もできない。この子も相当辛いのかもしれない……私達が支えてあげなくちゃね。


「!!気をつけてあんた達、生体反応はすぐそこよ!」


っ!!ミラーにそう言われると僅かだが戦闘の様な鈍重な音が響いてきている。まさかレッカたちが!?


「急ぎましょう!」


私達は駆け足で音の方角へ向かうと、少しすると開けた場所に出た。奥の方でイレギュラー……あれは槍のイレギュラーのディラン?が紅と戦闘していた。


「レッカ!大丈夫!?私達も加勢するわ……でも勘違いしないでね、あなたは後で捕縛します!」


「フッ……時間切れか、仕方ないお前たちの戦力に期待するぞ」


「うわ、捕縛の事は無視!ホントにイヤな奴!」


私の感じた嫌悪感をサツキも感じたらしい、確かに気に入らないけど、ここはもう一度共闘するしかない。


「キラ、キド君は後方支援に徹底して!私とサツキとカイとユマリで前に出るわ、ハクとミラーとアカリちゃんは中衛で援護をお願い!さあ、行くわよ!」


一同の了解を聞き、私はイレギュラーのディランへと駆け寄る。もちろん攻撃しながらだ、しかし奴はそれを難無く受け止め反撃してきた。


「ザコが、またお前らか!何人集まろうが敵ではない!」


「好きに言ってろよ、ハゲ頭!と言うかなんでお前が復活してやがるんだ?それもリュウガと関係あんのか?」


「その通り、リュウガ様の素晴らしいお力で私は再び蘇生されたのだ!それよりどうした?あの方……リュウイチ様がいない様だが?あぁ、そうかレギュレーションで消し炭になったのであったな!はっはっはっ!!」


こいつ!!


バシュッ!ドカーン!!


「あら、ごめんあそばせ、大口開けていらっしゃるのでつーい」


ディランの顔面にミラーの魔法バズーカが直撃した。さすがミラーね、やる事が派手だわ……でもナイスよ!


「ぬ……ふふふ!この程度では効かんわ!リュウガ様に頂いたこの再生能力……流石私のリュウガ様だ!」


顔面が半壊した状態なのにみるみる内に再生して行く……!?リュウガめ余計な能力を!こんな事もできるなんて反則じゃない!


「レッカ、もしかしてあなたもこの力で苦戦しているの?」


「そうだ、こちらがいくら攻撃してもすぐさま回復してしまう厄介な能力で手こずっている……やはりセツナも連れてくるべきだったか」


セツナってさっきの仮面の人よね、そう言えば姿が見えないけど、一体どこに……


「不愉快ね……いえ、考えようによってはプラスな事かしら。気に食わない事を言えば何度でも切り刻めるもの」


「確かに!流石ユマりん♪」


ちょっと残酷だけどプラス思考ね、でもマイナスな考え方をしたら、いくら斬っても死なない不死身の体……物は考えようね


「レッカ、そのセツナとかいう人が来れば何とかなるの?あの人は今どこに?」


「あいつには別の任務を与えた、このイレギュラーがモンスターと部下たちを引き連れていたからそちらの殲滅に向かわせたんだ……あいつの実力は確かなんだが、今のあいつにできるかどうか……」


よほど信頼されてるみたいね、私達で例えるとリュウイチみたいな存在なのかもしれない……確かにリュウガが関係してるなら彼の力が有効なはず、せめてユリナがいてくれたら……


「呼んだかしら」


「きゃっ!?ゆ、ユリナ!?なんでここに??!」


び、びっくりした!


「未来を見たのよ、それより今は戦闘に集中しなさい、来るわよ」


「話し合いはすんだかね?行くぞ雑魚ども!!」


黒華の能力で未来を見て、ここまで時空間魔法で転移して来たのね。それにしても本当にびっくりした……でもこれでこいつの能力に対抗できる!


「(突然ごめんなさいね、驚かすつもりはなかったのよ?ふふふ……)」


う……読まれた……まあ良いわ、行くわよ!ユリナ!


「ええ、私がリュウガ因子の抑制を試みるわ。その内に奴をお願い!」


「おっしゃあ!やってやるぜぇ!!オラオラオラァ!」


「キド君、皆さんに当てない様に気をつけて!ミラー、君も気をつけてね!」


「あんたに言われなくても分かってるわよ!そっちこそせいぜい足を引っ張らないでよね!」


まったく元気な子たちなんだから……でも今はそれが心地良い、緊張を和らげてくれる。良い雰囲気ね


「無駄だ!無駄だ!!リュウガ様の御力を授かった私には勝てん!フンヌ!」


くっ!強烈な一振っ!風圧だけでこの威力……以前戦った時より更に強くなってるのがよく分かる!


「だからって、引き下がらない!月翔華!」


「フン!なまぬるいわ!かかって来るなら全員まとめて来い!」


「こいつ……ミツキ、遠慮なく全員でかかるぞ!一気に決める!」


レッカ……そうね、単体で負けてるなら全員でかかればきっと!彼女の提案に従う形になって少し気に入らないけど、今は仕方ない!


「皆んな!一斉攻撃よ!私とサツキで隙を作る、その刹那に一気に決めましょう!」


「OK!行くよみぃ姉!!」


はぁぁ!!


私とサツキは素早い攻撃で連打する、全て防がれているけど今はそれで良い。いつか隙ができるはず、それを見逃さないようにしなきゃ!


っ!!今だ!!サツキ!


「(うん!)」


ユリナのお陰で心と心で掛け合いができる、それを使って私とサツキは奴の槍を思いっきり力を込めて弾き返した。


「なにぃ!?しまっーー」


ズババ!ズガーーーン!!


剣圧、拳圧、魔銃、魔法バズーカ、すべての攻撃が一斉にディランに向かって放たれた。激しい土埃が舞い、ディランをあっという間に覆って姿が見えなくなる。


回復能力はユリナが抑えてくれてるはず、これならいくら防御力が高くても、素早さがあったとしても、回避も防ぐ事もできないはず!


はぁ……はぁ……


「はあ……はあ……今のは直撃だったはず……皆さん、やりましたね!」


アカリちゃんが息も絶え絶えにそう呼びかける、私とサツキはそれに笑顔で微笑み返す


やっーー


「(!?皆んな油断しないで、奴はまだ生きてーー)」


え?


バシュ!!


ズバッ!!


ゆ……ユリナがそう言い終える前に……私達は激痛と共に……空に……舞っていた……


なに……?


何をされたの……?


こ、攻撃……?


「フフフッ!だから言っただろう?雑魚が何人集まろうが私には勝てぬのだ!」


ぐっ!がはっ!!はあ……はあ……この出血量はヤバイ……回復魔法を……


「させるかぁ!!」


ズバシュウ!!


きゃあ!!


槍の剣圧で……こんなに威力があるなんて……


み、皆んな……皆んなはどうなったの?


キラとミラーは腹部付近を斬られてあお向けで倒れている……カイとユマリは肩口と横腹を斬られて倒れている……


はあ……はあ……他の子たちも重症を負っているのか僅かに息をしてる程度で全く動く気配がない……


そ、そんなどうして?攻撃は直撃したはずなのになぜ……?


「フン!黒華の女ぁ、貴様が私の力を抑止していたようだが甘かったな。貴様程度の力量じゃ、リュウガ様の因子を抑止できなかったようだ。徒労に終わって可哀想になぁ!ん?はっはっはっ!!あーはっはっはっは!」


「さっきまで力はちゃんと抑止できていた……それまで読めていた未来がなぜ改変されたの?……まさか、それもリュウガが!?」


「その通りだ、リュウガ様とは共鳴している。それゆえ貴様らがどう足掻こうがリュウガ様の因子は活性化し続けるのだ!惜しかったなぁ、ヤナミ・ユリナよ!くふふ!」


ユリナの強力な黒華の力さえ無力化できるなんて……そんな馬鹿な……反則じゃない……どんだけ強いのよ……リュウガは……!


「み、皆んな……くっ!絶対皆んなを死なせたりはしない……うっ!」


「クハハハ、いやぁリュウガ様と繋がるとこんなにも気持ちが良くなるものかぁ!なるほど、これは気分が良い!最高の気分だ!喜べ貴様ら、寂しくないように全員纏めてトドメを刺してやる、ありがたく思え!」


そ、そんな事させてたまるか……!

立つのよミツキ!立つのよ!!


「ほお、まだ立ち上がれる者がいたか……貴様は確かミツキ……だったな、良いだろう先ずは貴様からあの世へ送ってやる!」


ディランはそう言うと私の元まで歩きより首を手で握るように絞めて持ち上げた。


やられる……!やられる!何か方法は!?考えるのよミツキ!


「さあ……トドメだ」


もうダメなの?!リュウイチ!


「死ねぇ!!」


ガッ!!


……


……


……


え?


急に私の首を締めていた手に力が無くなり、閉じていた目を開けた……ディランは驚愕の表情を浮かべ、誰かを睨みつけている。


一体だれが……?















え?







そんな






まさか





うそ……!




「長い間待たせたな……みぃ姉」




私の前に立っている人がゆっくりそう答える……




風貌こそ違うけど、この声は間違いない……




彼しかいない!





「リュウイチ!」





レッカ

「一つの物語小話劇場。初めましてだな、レッカだ」


リュウイチ

「随分久しぶりだな、でもお前は初めてだから複雑か」


レッカ

「まあな……しかしなぜ私がこんな所へ?他の者に任せれば良いだろう、ミツキとかが適任じゃないのか?」


リュウイチ

「色々複雑なんだよ、お前がおもっているよりな」


レッカ

「まあいい、お前も色々と苦労しているんだな、同情するぞ」


リュウイチ

「そいつはどうも 次回一つの物語〜奇跡編3〜。次回は3月10日に掲載されるぞ、乞うご期待!」


レッカ

「私は少し億劫だ……」


リュウイチ

「え?」




次回掲載予定日3月10日、6時00分

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