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一つの物語  作者: 世界の一つ
一つの物語〜奇跡編〜
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奇跡編1

「セツナ、具合はどうだ?」


そう言ってオレの様子を伺ってきたレッカ、ちょい過保護な気がする時もあるけど、まあいいか


「もう大丈夫だって……と言ってもまだ思い出せない事もあるんだけどな」


「そうか……まあお前にとって思い出さなくても良い記憶かもしれん、そんなに気を落とすな」


「別に気にしてないさ、心配してくれてありがとな!記憶の無いオレをこの組織に入れてくれたり、他にも色々と気をつかってくれて感謝してるぜ」


オレの感謝の言葉を聞いたレッカは少し照れくさそうにしてそっぽを向いた。いつもは気が強そうな雰囲気を出してるけど、こういう時は結構可愛いところもある。


「こほん!だ、大丈夫なら問題無いな。しかし、紅の中にはまだお前に対して疑念を抱いている者もいる。また下手に出歩いたりするなよ」


「あーはいはい、分かってるって!でも何か時々大人しくしてられなくなるんだよなぁ」


本当に何でだろうな?


「お前もいい歳だろうに、少しは落ち着きをーー」

ピコーン!ピコーン!


お?イレギュラー出現の報せか、場所は何処だろう?


『南西第8地区ヴェルディエ付近にてイレギュラー目撃情報あり』


「南西か、セツナ行けるか?」


「ああ、行こうぜ」


"行きましょう!"


「うっ!」


なんだ今の……何かすごい懐かしい気が……


「どうしたセツナ!?また頭痛か?」


「あ、ああ……大丈夫だ。それより早く行こう、ホーリーヘヴンの奴らに見つかったらまたややこしくなるからな」


とりあえず今はイレギュラーの粛正が先だ、レッカにも心配かけてられない。立ち止まってても記憶は戻らない、なら動いてた方がましだ。


「無理をするなよ?お前を喪うなんて……その……考えたくないぞ」


「サンキュ、せいぜい死なないように気をつけるよ」


レッカの優しさに感謝しつつ、二人でベースキャンプを後にしてイレギュラー目撃地へ急いだ。







ーー数十分後、ヴェルディエーー



情報によるとこの辺だけど、どこだ?


「本部、目的地に……あれ?」


「……」


なんだ?オレはなんでこんな事を言ったんだ?何となくいつもの癖みたいに、自然と言葉が口からこぼれ出た感じだ。

咄嗟の事で呆気に取られていたオレをレッカがこちらを心配そうに見ている。


「セツナ、戦えるか?」


「あ、ああ、それは問題ないんだが……」


「なら行こう、街の者に聞き込みをしてイレギュラーの足取りを調査するぞ」


「了解」と、オレは返事をしてレッカと行動に出た。まだ近くに居れば良いんだけどな……にしても街がめちゃくちゃだ、どうやらイレギュラーはこの辺で暴れまわったらしい。絶対にオレが討伐してやる!


「イレギュラー?それならさっき西の方に向かって行ったよ!」


「そうか、礼を言う……行くぞ、セツナ」


通行人に情報を聞いてレッカは俺に目を送る。それに頷いて二人で西の方へ向かった。

そして数分移動した辺りでホーリーヘヴンの隊員達が数人いるのが目に入った。


「ち……どうやら少し遅かったみたいだな」


「ああ、流石ホーリーヘヴンと言ったところか、到着が早い。この分なら私達が出る幕はなさそうだな」


レッカの言う通り、ここは大人しく退散するか?下手に暴れたらオレたちまで目をつけられてややこしい事になりそうだし……


「ちきしょー!離せ!俺はもっと暴れるんだ!暴れ回っていずれリュウガ様と共に世界を!離せぇ!!」


イレギュラーがホーリーヘヴンの隊員達に取り押さえられ足掻きまくっている。こんな奴でさえリュウガの事を知っているのか……イレギュラー共が一斉暴動したらヤバイ


「リュウガの名前をここで聞く事になるとはな、情報が漏れつつあるみたいだ。まずいな」


「ああ、早くなんとかしないと……」


ピコーン!ピコーン!


っ!突如イレギュラー発見のビーコンが鳴り、自分のSPDに目をやる。

今度は南の方角でイレギュラーが……今度こそは!


「レッカ、急ごう。ここはホーリーヘヴンの連中に任せてオレ達はさっさと次のイレギュラー目撃地へ行こうぜ」


「そうだな、あいつに……ミツキたちに任せておけば安心だろう、先をーー」


ピーピー!


「あれは……」


「またイレギュラー通知が……あら?あなたは、レッカ!?どうしてこんな所に……そうか、イレギュラーの情報を得てここに来たのね」


「また会ったなミツキ、相変わらず良い腕のようだ。悪いが今回も戦うつもりはない、このまま退散させてもらうぞ」


この女……彼女は確か……分からない、でも見てると懐かしい気持ちになる。誰なんだ……?


「ま、待ちなさい!」


ミツキと呼ばれる叫びを無視し、オレはレッカに促されるまま時空間魔法を発動させ空間転移した。

あれは誰だったんだ?


ダメだ、分からない……オレの記憶と関係ある人なんだろうか?


「な、なあ……あれは誰なんだ?ミツキ……とか呼んでたけど、レッカの知り合いなのか?」


「……まあそんなところだ、それより大丈夫か?頭痛とかしないか?」


なんかやんわりはぐらかされた気がするが……まあ良いか、イレギュラーの方が先決だ


「大丈夫だ……けど、今度ちゃんと教えてくれよ?」


「フッ……気が向いたらな」


ずるい奴だな


さて、イレギュラーはっと……そう思いながらSPDを取り出し情報を確認する。一応、空間転移するときに南寄りにしてはみたから多少は距離が近くになったはず……ふむ、あっちの辺りか


情報によればイレギュラーレベル10になってるホーリーヘヴンの連中も結構大がかりでくるかもしれない、いくら転移できるからとは言っても、なるべく出くわさないように気をつけないとな。


「レッカ、レベル10の奴を相手にした事あるか?」


「私も一度だけあるくらいだ、その時はミツキ……さっきの女とその仲間たちと共闘したんだが、相当手強かった。だから気を抜くなよ」


「分かった」そう言って返事ををして歩き続けるオレとレッカ。相当な手練であるレッカでさえ手強かったと言うイレギュラーを相手にするんだ、相応の心の準備はしておかなきゃな……


"気をつけましょう"


……


"……さんなら大丈夫ですよ……私がついてますから"


まただ……誰なんだ?


思い出せない……でもどこか懐かしくて安心できる声


「オレは……誰なんだ?」




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