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一つの物語  作者: 世界の一つ
一つの物語〜疑惑編〜
55/112

〜疑惑編〜

「紅についての処遇はお前の言う通りにしよう、だがもう一つお前に訊きたい事がある」


「なんだ?」


「イレギュラー共のボスをお前にはある程度検討がついているのではないか?」


……さすがに鋭いな、他の奴らも気づいていたのかもしれないが


「それについても確証がない、あくまで僕の思い当たる人物を勝手に当てはめているだけだ」


考えたくもないし、有り得ない事だがな。


「どんな輩なんだ、その者は」


「……」


「言えぬ……か、つまりそれほどの極秘事項かお前自身の口で説明したくないほどの嫌悪感を感じている者なのか?」


両方だ。僕はそう短く答えてカップを手にし、コーヒーを口にする


……にっがい!!


「すまないが、ミルクか砂糖をくれないか?」


「コーヒーはこのままの方が美味い、我慢して飲め」


オススメと言うか、押し付けだな……あくまでそのままで飲めと言う事か……強引だな


「さあ、話を戻そう。答えろ、奴らのボスは誰だ……お前の過去と関係があるのか?」


こっちも強引か、頑固者が多いな僕のまわりには……しかも僕の経歴を調べたようだな。とすると、マスターも関係していそうだな


「……マスターから聞いたのか?」


「質問しているのは私だ、大人しく答えよ。リュウイチ」


「質問には答えよう、しかし内密にすると約束しろ」


良いだろう、フュー厶はそう言って鋭い目付き……最初にあった時のような殺気を感じさせるほどの目付きで僕を見つめる。


「……まだ詳しいことは言えない、しかしお前の予想している通りだと思うぞ。今まで以上に厳戒態勢をとるべきだ。ガラドを転送したということは、恐らく奴はまた現れる……」


「死人が蘇ると言うのか!?」


「有り得ない話ではない、奴ならそれくらい難なくこなして見せるだろう……しかし僕達が想像している黒幕は存在していない筈なんだ。全精力をあげて討伐したからな……」


自然とカップを握る手に力が入る。熱さなど関係ない……いや、感じないほど僕の中で疑惑と嫌悪感が溢れ出していた。


「……よかろう、今は深くまで追求すまい……しかし、時が来たら話てもらうぞ。リュウイチ」


当然だ……と、僕は自分の中でそう返答した。

もしも奴が絡んでいるなら、世界規模で対策をとる必要がある。


ピーピー!


「どうした?」


フュー厶のデスクの通知音が突如鳴り響いた、フュー厶は自分のデスクまで歩いて向かい、通話を開始した。


声の主はライザのようだ


『フュー厶様、紅が動き始めました!その方向にはイレギュラー反応があります。恐らく、そいつらを狩りに行くのかもしれません』


先日紅と接触した時に、ユマリとレイに発信機をしかけさせておいたのだ。それが反応した訳か

僕は自分のSPDを取り出し、イレギュラー反応情報を確認する……これは!


「今度はどこに向かっている?……そうか、分かった。御苦労だったな、ライザ」


ピッ


通話を終えたフュー厶は僕に向き直り、再び僕の真正面のソファに腰掛けた。


「どうやら紅たちは、サウス方面にあるネストへ向かったようだ。発信機とシティの警備隊たちの証言が一致している、間違いないだう」


ネスト、またしても国外に移動し始めたか。


「みたいだな、マスターには僕から連絡しておこう」


「ああ、頼む……それと、今回は我が同行しよう」


なに?


「おいおい、お前はここの女王陛下だろ?そんな簡単に国外移動しても良いのか?」


「支障はない、我がいなくても機能するようみっちり仕込んである。それとも我が同行するのが不服か?」


不服もなにも、僕らが向かうとは一言も言っていないのだが……


「とにかく、マスターに連絡をとってみる。少し待っていろ……こちらリュウイチ、マスター、聞こえますか?」


『ああ、聞こえるよ。ガラドというイレギュラーは粛正したと聞いたが、どうだい?その後の進行状況は』


「今回は紅と衝突せずに済みました。しかし、今度は別のイレギュラーを追ってネストへ移動しているようです。それで……今回はフュー厶が同行すると言っております」


『フュー厶殿自ら?随分アグレッシブな方だね、陛下としての職務は大丈夫なのだろうか?』


「マスター、こちらフュー厶です。王女としても支部長としての職務にも支障はきたしません。今回の件、我が目で確かめたい事もあるのです」


フュー厶が僕とマスターの通話に割って入って来た、本当に行動力のあるやつだな、こいつは……


「……だそうです、フュー厶が向かうのであれば私も同行致します。フュー厶は一国の王女、だとすれば相応の護衛が必要になるでしょう」


はぁ……


『はは、言ってることはマトモだが、言い方に気力が無いね』


当然だ、国外移動なんて一回で十分だし、ミナトをあまり待たせたくもない……


『良かろう、君達がそう言うならこの件は君たちに任せる。バックアップは……引き続き同じメンバーでよいかな?』


「やつらには私から伝えておきます……フュー厶、良いか、今回だけだぞ。それ以降は何があっても自国へ戻れ、良いな?」


「フン、よかろう。その条件をのんでやろう。その代わり、今回のミッションでは我が何をしても文句は言わせんぞ。」


僕の提案に腕組みしながらフュー厶はそう条件を付け加えるよう持ち出した。まあ、それくらいなら良いだろう。少々大変になるが、継続して緊迫するよりはマシだしな。


「分かった……という訳です。フュー厶を同行者に加え、引き続きミッションを続けます。」


『ああ、頼むよ。二人とも、気をつけて……幸運を』


マスターとの連絡を終えて、僕は続いて室内にいる皆んなを無線で連絡をし、ここへ集合するよう伝えた。

そしてしばらくしてみぃ姉達が到着した。


「どうしたの?話があるって」


「我から説明しよう。ネストにイレギュラー反応が出たらしい、それも並のイレギュラーではなく槍を用いたレベル8ほどのイレギュラーと、レベル9の時空間魔法使いのイレギュラーとの事だ」


「槍使いでレベル8のイレギュラーとレベル9の時空間魔法を使うイレギュラーって……まさか!」


キラがそこまで言ってユマリたちに視線を向ける一同……そう、恐らく僕たちのよく知っている奴らの事だ。


「……だがまだ時空間魔法を扱うからと言って、ジュンとは限らない。新たなイレギュラーかもしれない」


「そうだね、槍使いっていうのは十中八九アイツの事だろうけど、もう一人の方はまだ確証が無いもんね」


サツキがフォローに入る、やはりいざと言う時はいい女になるな、こいつは。


「……そのイレギュラーたちを追うため、我も同行する事になった。宜しくな」


一同

『はあ!?』


「で、僕がフュー厶の護衛役をかって出たので、僕もネストへ向かう、お前たちもそれに同行してもらう事になった」


「そ、それは良いけど……大丈夫なんですか?フュー厶様……」


みぃ姉がおずおずしながらフュー厶に問いかけると、本人は自信満々に胸を張って、もちろんだ、と言って返答した。


「それと、紅もネストへ向かって移動しているらしい、それはそこの二人なら知っているだろう?故に、奴らより先にイレギュラーたちを粛正する必要がある。通常の交通機関では先回りすることは不可能だろう、よって我がバーネル支部が用意した最新鋭の飛行艇で移動するぞ」


「まさか、その飛行艇とは、イクシラーの事ですか?」


レイがフュー厶に質問すると、その通りだ、と返答した。イクシラーって確か……新型の小型飛行艇だったような……


「あのイクシラーに乗れるのですか!?それは素晴らしい、またしても新型機に乗れるなんて、なんて幸運んだ!やったー!」


……キラ、お前ってそんなキャラだったか?


「フッ……我に感謝するんだな。準備するのに一日かかる、それまで身体を休めておけ」


フュー厶の発言に一同は返事をして各々の部屋へ向かって移動をする。


「もしも仮にジュン……さんだとしたら、僕は……その……」


「構いませんよ、最後にジュンと戦ったときのあの反応、もはやイレギュラーとしか言い様が無かった……恐らく僕たちより、キラさんの方に憎しみを向けているでしょう。キラさん、申し訳ございませんがお手伝いの方宜しくお願い致します」


「は、はい!お二人には申し訳ありませんが、全力でジュンを粛正します!」


頼みましたよ、とレイは爽やかな笑顔で返答した……まあ爽やかな笑顔はいつもの事なのだが、今の笑顔は仲間に対して心配をかけさせないようにする笑顔だ。


「……槍のイレギュラーか、確かあの時はリュウイチが圧倒したのよね」


「あぁ、あの女に対して腐った行為をしてた奴か、結局逃げたけどな」


仕置をしないとダメだな、あのバカは


「兄さんだけに任せておかないわ、私も一緒に戦う。あいつの兄さんに対する言動、不愉快だもの」


「私もよ、リュウイチの事何も知らないくせに、なんでも知ったような雰囲気出して……あーもうムカつく!!」


ユマリとみぃ姉が共闘する事を名乗り出た、二人ともかなりあいつの事嫌いみたいだ……二人に危険が及ばないようにしないとな。


「え〜じゃあ人数的にあたしはキラたちの方のメンバー??二人ともなんかずる〜い!」


「まあまあ、ジュンをすぐに粛正すればよい事ですから、そこまで悔しがらなくてもよいと思いますよ!☆」


よく分からない不満を述べるサツキをあやす様にレイが言うと、不機嫌な顔をしながらも多少は納得したようだ。



……と言うかレイ、お前何気に重い事をサラッと言わなかったか……?


「……まあ良い、じゃあ各自ゆっくり休めよ。またな」


「え、あ……ええ、おやすみなさい……」


みぃ姉が何か言いたそうにしていたが、自室の前に着いた僕は手早く中へ入って行った、その場で少しいたらあれやこれやと、色々面倒そうだからな……


はぁ……次はネストか……

僕はふかふかのベッドに背中から倒れて、天井を見上げる。


「(次にあの紅とかいう人達と対峙したらどうするの?)」


「あぁ、ユリナか……そうだなぁ、イレギュラーと戦っていたのを目撃したら、現行犯逮捕かもしれないな。僕自身、奴らの言いたいことが分からない訳ではないから、少々気が引ける……のかもしれない」


「(……お兄ちゃん、戦える……?)」


「……戦うさ、同感できるからって、それ以上見過ごす訳にはいかない。ユリコちゃん、ユリナ、手伝ってくれるか?」


「(何を今更、私たちはいつでも貴方の味方だし、協力は惜しまないわ)」


「(……ユリコもお兄ちゃんの味方だよ……)」


……そうか、二人とも、ありがとな。


「……?鍵なら空いてるぞ、レイ」


コンコン……ガチャ


「失礼致します……いえ、失礼致しました……でしょうか?ヤナミ姉妹とお話中に申し訳ございません」


「別に良いさ、それよりどうしたんだ?何か話でもあるのか?」


ニッコリと笑いながらゆっくり部屋へ入ってくるレイに僕は質問した。レイはベッドの近くで立ち止まり、こちらを向いた。


「ジュンの事なんですが……改めてお詫び申し上げます。この度は我が弟がご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません……必ずやこの手で彼を粛正致します」


「……構わないさ、僕は昔から敵を作るのは上手い方だし、今回も僕が一因してるのやもしれん。だからお前たちが謝る必要はない」


頭を下げていたレイに僕はフォローするでもなく、話しかける。レイはそれを聞いて、顔をあげる。


「キリザト家を代表して申し上げますが、我々はリュウイチ様を敵視している訳ではありません……」


……


「ジュンのやった事は決して許されない。彼の兄として、そしてキリザト家代表として彼を粛正する所存であります」


「お前だけがジュンを粛正しようとしてる訳ではないだろ?お前たち兄妹を除いて、僕たちの中ではキラが一番あいつの粛正を執行しようとしている……昔の友として、な」


そうですね……と、レイは返事をして少し真顔になった。そうだ、あいつも相当な覚悟と責任感みたいなものを感じているんだろう……あいつを豹変させたあの時の攻撃、それを境に本格的にイレギュラーとしての一面が出来上がってしまったのかもしれない。


それはきっとレイもユマリも全員が分かっている筈だ……


「キラさんにもお手を煩わせてしまいますね……」


「あいつの覚悟、分かってやってくれて感謝する」


「おや、リュウイチ様からお礼を頂くなんて珍しい」


フン……


ニヤニヤと少しイタズラめいた笑顔を浮かべるレイには先程の冷めた笑顔より感情が篭っているように感じる。


「リュウイチ様……ご自身の力を使って紅を説得させたり、排除しないのですか?」


あん?

唐突に紅の話になったので、少し混乱したがよくよく考えてみると、ここバーネルで対話が決裂した時に、紅たちを僕の力で対話を成功させようとしたり、壊滅させない事をレイはずっと疑問に思っていたのかもしれない。

そう考えると、こいつが唐突に紅の話になったのは頷ける。


「……力なんて使って説得しないし、攻撃をしかけてきたら、実力で壊滅できるさ……やろうと思えばな」


「しかし、お力を使えばもっと容易く……いえ、失言でしたね申し訳ございません」


……


「この力をどうするかはまだ悩んでるって感じだ、強大な力を僕は何に使うべきか、僕自身まだ決めかねている。だから力の話はするな……しばらくはな」


「……わかりました、リュウイチ様……申し訳ございませんでした」


そう言って再び頭を下げるレイに向かって歩み寄り、彼の肩をポンと触れた。


「もしもの時は、頼んだぞ……レイ、それに皆んなでな」


レイは少し黙りやがて爽やかな笑顔を浮かべ


「はい!」


と、元気よく返事をした。


「遅くにすみません、ごゆっくりおやすみ下さい、失礼致します」


いつもの笑顔を浮かばせながらレイは部屋を出ていった。



……力の使い方か……



僕はそう考えながらシャワールームへ向かい、一風呂浴びて就寝する事にした。


「(覗くなよ、ユリナ、ユリコちゃん)」


「(そ、そんな事する訳ないでしょ!!)」







































「はい、やはり今のところ力を行使しておりません……はい……分かりました……引き続きーーを致します……はい、失礼致します。」


大いーーーー……これだけは何としてでもーーしなくては……そうなった時は僕は……


























フュー厶

「一つの物語小話劇場……だったか?フュー厶だ、よろしくな」


リュウイチ

「まさかお前が来るとは思わなかった、こういうの嫌いそうに見えたんだが」


フュー厶

「嫌いではない、どうしても出てくれと部下たちに言われてな。それで参加してみたのだ」


リュウイチ

「なるほどな、部下思いのお前らしい理由だな」


フュー厶

「ところで何をするコーナーなんだ?」


リュウイチ

「……実は僕自身わからないんだ、皆んな好きな事を話すが……元は予告だったんだよ」


フュー厶

「ほお、好きな事を話せばよいのだな!我が好きなのはーー」


リュウイチ

「一つの物語〜疑惑編2〜、すまんな時間切れだ」


フュー厶

「そしてもう一つ好きなのはーー」


リュウイチ

「……僕のお話聞いてた?」




次回8月31日掲載

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