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一つの物語  作者: 世界の一つ
一つの物語〜それぞれの思想編〜
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一つの物語〜それぞれの思想編2〜

登場人物


・リュウイチ

特務執政官、リュウイチ・ナルミ部隊隊長で"自分のため"を信念に戦う成年。戦闘時は2本の剣と二丁の魔銃を使う戦闘スタイルだが、基本的に右手だけで剣を扱っている。冷静沈着で頭脳明快であり、戦場に行ってもその性格を活かし、的確な指示を出し的確な行動をとる。そのため部下や仲間達から厚い信頼を寄せられている。時たまにみせる優しさ故、ミツキ達を始め、多くの女性に想いを寄せられているが、本人はそれを全て躱しており相手にもその気は無い事を断言している。家族関係は兄が一人、弟と妹が一人ずついる。


・サツキ

リュウイチの幼馴染でミツキとは3歳離れた姉妹。一等粛正官サツキ部隊の隊長。並外れた怪力の持ち主で、それが災いして被害を拡大させてしまう事がしばしばある。本人は一応気をつけて行動したいるもののなかなかそれが実らない。

姉のミツキ同様リュウイチに好意を寄せているが、時にミツキ達を応援するそぶりを見せたり、リュウイチに迫ってからかったりする事が多く、何を考えているのが分からない時がある。姉に似て顔はかなり綺麗に整っていて、サラッとした茶髪のセミロングが特徴


・アカリ

サツキの後輩でトモカの妹、姉のトモカより先輩のサツキの方に懐いている、そのせいか言う事や話し方がサツキに似ており、リュウイチにため息いをつかせる事がほとんどである。

また、リュウイチやユキタカの事をお兄ちゃんと呼んで慕い、自分は未来の妹だと自信たっぷりに言って、トモカとユキタカを赤面させる。

ヘヴンの隊員研修生であり、戦闘スタイルはサツキと同じで怪力と格闘戦で対象を排除する。

「それでは研修第二部を始める。先程言った通り今度は演習だ。ここのシュミレーターを使って、仮想実戦を行ってもらう。ここまで予習してきた知識を活かし、空想してきた動きを自分の体に覚えさせろ。失敗しても構わん、誰かより劣っていても構わない、自分だけの動きを手に入れ、それを強化していけ」


『了解致しました!』


「よし、今回のシュミレーションは敵の殲滅だ。向かいくるモンスターやイレギュラーを全て排除しろ、人質や民間人は登場しない。先ずは敵に対する攻撃動作を体に馴染ませろ。ちなみに敵のどの部位に当てても良い、スコアはあくまで敵に当てた時に加算される。演習は二班に分かれて一人約5分間のシュミレーションで、各自計2回行い合計各自10分だ、先ずは全員一周し終えたら手本としてフジノの演習を見学。その後もう一度一人ずつ一周演習を行ってもらう。以上だ、何か質問はあるか?」


僕はテーブルにある、シュミレーション開始のホログラムボタンがある所まで歩きながらそう言うと、再び何名かが手を挙げているのを目にした。

僕は特に意識せず、手を挙げている者を指差す。


「使用する武器はなんでしょうか?」


「それはお前達が決めろ、こちらで指定しても構わないが、一番大事なのは自分に適正した動きをする事だ。今まで訓練してきた者はその時の武器を使っても構わないし、新たな武器を選んでも構わない。訓練していなかった者も、この期に自分で選んで行え。自分に合った武器を使うのも大事な事だ、忘れるなよ」


「はっ!!御回答ありがとうございます!!」


僕はもう一度研修生達に質問の有無を聞き、手を挙げていた者を無心で指した。


「恐れながら、リュウイチ様にお手本として御教授願いたいのですが、宜しいでしょうか!」


そう研修生の一人がそう言って、僕は答えようとしたその時、フジノが割って入り、口を開いた。


「貴様!無礼だぞ!特務執政官であるリュウイチ様の手本を求めるなど厚かましい!貴様らとは次元が違うに決まっているだろう!恥を知れ!」


怒号のような声を上げ、研修生を一喝したフジノ。どうやら少々熱い性格みたいだ。

しかし、そんなフジノの言う通り、確かに僕の動きはここにいる全員より遥かに上だろう。次元が違うのも明らかだ。

同じ特務執政官のやつらより実力は上だと自負しているしな。


「まあ、待てフジノ……今は僕の動きをお前達には見せる事はできない、今回の手本はフジノがする。それにこいつでもそれなりに実力はあるはずだ、だからこいつの動きをしっかり見て、そこから自分の動き方に更に磨きをかけろ。他人の全てをマネし完全なコピーとして振る舞うのではなく、自分の動き、自分型の強化をするんだ。理解したか?」


「はい!リュウイチ様、先程の御無礼、どうかお許しください!」


……こいつは、確か自販機の前で話した研修生か、なかなかの怖いもの知らずのようだな。アカリちゃんといい勝負かもしれない。


「図々しいとは思わんが、生意気なのは一理ある……故に、今後おかしな発言をさせない為、罰としてお前が一番先に仮想戦闘をしろ。準備が整い次第開始だ」


「うぅ……了解致しましたっ!


「では武器を選べ、決定はこのボタンだ」


あからさまに落ち込んだ表情をしながら返事をする研修生、僕はそんな事はお構い無しに武器選択のやり方を説明する。研修生も観念したように武器を選択し始める。武器は……ほお、カタールか、見た目の割になかなかセンスの良い武器を扱うんだな。


「準備は良いな?さあ、シュミレーション開始だ」


「了解致しました!リク・ヤマギシ、行きます!」


こうして研修生教育第二部、演習が始まった。

総勢10人、二回に分けて行うから合計約一時間……しかし僕はその時間が長いとは思わない。これまで何度か指導して来たが、初々しい新人達が各々の技術を行使しする姿がなかなかに興味深いからだ。

キレが良いやつもいれば悪いやつもいる、十人十色の技術と思想……悪くない。


「おぉ!すげぇ!あいつやるなぁ!」


そう思っていると、ルーム2の方が何やら騒がしくなっている……確か向こうにはアカリちゃんが居たな……まさか

僕は思い当たる元凶を予想しながら軽く振り返ると、そこには予想通りの人物が仮想戦闘をしていた。


アカリちゃんだ


アカリちゃんはサツキを慕っているだけあって素手で……厳密にはフォースグローブを付けた格闘を得意としているようだ。サツキ自身はそれを使わず、文字通り素手での格闘技を得意としている。フォースグローブは自身の魔力を手に集中する事で、威力が変化する優れものだ。そのお陰でサツキに負けずとも劣らない威力を出す事ができる……それを装備せずあれだけの威力を扱うサツキは確かに尋常ではない。


……あの威力の所以(ゆえん)は、ミツキと同じくバーサーカーによる力だろう。


そう考察している反面、僕は脳裏で朧月の渓谷での一件を思い出していた。本来なら怪力はサツキの得意とする分野だが、それをメインにしていないミツキがあれ程の威力を引き出せるのなら、サツキがバーサーカーになると……いや、もしかすると……


ビーー


っ!

シュミレーション終了のブザーが鳴り、僕はハッとし推察を中断した。僕はアカリちゃんの方から目を離し、自分が引き受けているルーム1に再び視線を戻す。スコアは……20点中15点、スコアは悪くない。しかし


「キド、武器の威力に依存し過ぎだ。周りをよく見ろ、その戦い方では被害を拡大させてしまう。注意しろ。」


「……俺はこの方が向いてるんだよ、あんたが言ったんだろ?自分の動きを極めろって」


「お前は猿か?仮にもヘヴンへの入隊を志してる者なら、一般人や周りの被害を最小限に収めるのは当然のルーツだろう。そんな当たり前な事をわざわざ僕が説明しないと分からないのか?」


「んだとぉ!あんたが敵に当てるだけでもいいっつったんだろうが!」


「今の僕の話を聞いてたか?被害を最小限にする事は僕たちホーリーヘヴンの隊員として当然の事だ。その理念を理解できず、しようとせず、敵を殲滅すれば良いと言って力を引け散らかすだけなら、それはイレギュラーと何ら変わりない」


僕が返答する度、キドは口調が荒くなっている。戦闘云々(うんぬん)より、先ず目上に対する言葉使いから教育しないとダメだなこいつは。


「な、なんだとてめぇ!!俺をイレギュラー扱いするんじゃねぇ!!」


「そう扱ってほしくないのなら、一から考え直すんだな、お前はなんの為にここに居るんだ?暴れ回りたいだけならここから出て行け、目障りだ」


僕はそう諭すと、ルーム2からフジノが割って入って来た。


「上官に対してなんて無礼な奴なんだ貴様は!私と一緒にルーム3に来い!一から教育し直してやる!!」


「うるせぇ!!俺を扱える奴は俺だけだ!てめぇ如きが指図すんじゃねぇ!!」


フジノがそう言うと、キドは目の前まで来たフジノの胸ぐらを鷲掴みにしようとした瞬間、僕は二人の間に瞬時に移動し、キドを床に叩きつけた。


「お前たち頭を冷やせ、ここはシュミレーションルームで喧嘩する場所ではない、まして今は研修中だ。他の者の邪魔をするんじゃない……それともまだ痛い目に遭いたいか?」


僕はそう言って二人を睨みつけると、二人は怯えた表情をし怯んだ(ひるんだ)そしてキドはすぐ立ち上がろうとしたが、立てずにその場で転ぶ。

当然だ、少々動けなくする為に頭を軽く打ち付けたのだから、そう簡単に動けるほどダメージは少なくない。


「な、なんだ!?……何しやがった……!?」


「典型的な揉み合いを仲裁する為の初歩的な技術だ。フジノ、お前の言い分は最もだ。対応もそんなに悪くはない。しかしお前は上司だろう、上に立つ者としてもう少し冷静に構えろ、熱くなりすぎるんじゃない」


そう忠告しながら、僕はフジノを軽く睨みつけた。


「も、申し訳ございません!」


フジノは頭を下げ謝罪の言葉を発し、僕はそれを聞いて軽く頷いて返す。

キドに向き直り、未だ立てずにふらついてはしゃがみ込むを繰り返している。

その一方、他の研修生たちはどよめいていた。


「すまないなお前たち、これも研修の一環として気持ちを入れ替えろ。こういう場面でどう対処すべきか、何となく分かっただろ?」


僕がそういうと、研修生たちはドギマギしながら頷く。しかし何故かアカリちゃんは目を輝かせながら僕を見つめている……と思っていたら、リク・ヤマギシがアカリちゃんと同じ様な視線を僕に向けている。何なんだこいつらは?


「フジノ、予定通り皆んなに手本を見せろ。お前達もルーム2に移動し、フジノの動きをよく見て再びシュミレーションを開始しろ」


『了解致しました!リュウイチ様!!』


うむ、切り替えと順応の良いやつらだ。

さて、こいつはどうすかな?

僕は研修生たちを見送り、再びキドに目を向けると、同時に僕の両手を握りしめて来た……気持ち悪い


「リュウイチ様……いや、リュウイチの兄貴!さっきはすんませんした!!」


「手を離せ、兄貴と呼ぶな、謝るならきちんとした謝罪をしろ」


僕は無理矢理手を払い除けると再び僕の両手を握りしめてきた……なんだ気持ち悪いっ!


「すいません、兄貴!けど俺感動しちまって!」


はあ?


「この俺を一瞬でダウンさせた上、兄貴の上に立つ者としての"粋"を見て俺マジで感動しやした!」


「感動"しました"だ、それになんだ粋って……と言うか手を離せ!」


とにかく先ず手を離そうと僕は力任せに手を振るい、キドの手を払い除ける。僕は一歩引きこいつから距離をとった。


「す、すいません兄貴!あの、良かったら今後兄貴と呼んでいいっすか?」


「もう呼んでるだろ、あとその敬語みたいな敬語じゃない言い方をなんとかしろ、そして兄貴と呼ぶな!」


「じゃ、じゃあリュウイチの兄貴と呼ばーー」

「呼ぶな!」


何なんだこいつは?態度を急変させやがって、何となく腹が立つ……しかしキドは未だに僕を尊敬の眼差しで見てくる。


「この程度でお前が僕を尊敬したとしたら、この先色んな奴を尊敬しなきゃいけなくなるぞ。そういう事は即決するんじゃない、馴れ馴れしい」


「俺、こう見えて色んなヤツらをぶっ倒して来たんす!俺を一瞬でダウンさせたのは兄貴が初めてなんすよ!!」


ダメだ、気持ち悪い……


「お願いしやす!!俺を兄貴の舎弟にしてくだせぇ!お願いしやす!!」


「お願い"します"だ!そして、して"ください"だ!リピートアフターミー」


「お願いします兄貴!俺を舎弟にして下さい!」


「よし、断る。さっさと研修に戻れ!」


僕はルーム2に向かって歩き出すと、キドは同じ事を繰り返し言いながらしつこく僕にまとわりついて来る。


「分かりました!兄貴の言う通りとりあえず研修には戻ります!兄貴、また後で!!」


そう言いながらキドはルーム2に入って行った、僕はキドの発言を無視した後ため息をつき、ルーム2の前でガラス張りになっている向こう側に目をやる。

フジノは言われた通り手本を見せており、研修生達はそれをしっかり見学している……一人を除けば


またアカリちゃんだ……一見すると真面目に見ている様だが、目線だけをこちらに向けて僕を見ていた。

今年の研修生はクセの強いやつが多いみたいだな。




ーー数十分後ーー



全員のシュミレーションが終わり、僕は研修生達に再び言葉をかける。


「よし、皆んなご苦労だったな。研修第二部はこれで終わりだ、次回ここへ来る時は人質や一般人がいる中での仮想戦闘をしてもらう。各自、今の感覚を忘れるんじゃないぞ、自主練をして自分のスタイルを体に順応させろ。もう一度言うが、ただ戦えば良い訳では無い、周りの状況を把握し、最善の行動をとれる様努めろ」


『了解致しました!リュウイチ様!』


「精進しろ。次は研修第三部に移行する、次は簡単に言えば各隊の見学だ、先程言った粛正官、市政官、執政官この三つの各隊の代表者が案内、説明をする。機密に関わる所は当然入れないがな。それでも良い見学になるのは間違いないだろう、各隊の働き方をしっかり学んでこい。以上だ」


「すみません!一つ質問させてもらって宜しいですか?」


研修生の一人……アカリちゃんが真っ直ぐ挙手をしている。僕はアカリちゃんの方を指さし、なんだ?と返事をする。


「この後の事は分かりましたが、リュウイチ様は同行しないのでしょうか?」


アカリちゃんがそう質問してくると、全員が僕に視線を向けた。


「ああ、僕からの指導は終了だ。後の事はこの後に来る各隊の代表者に説明などを任せる。全員階級は二等官だ、相応の知識は得られるだろう。メモなどをとりながら、貴重な時間を無駄にしないよう努めろ」


「……分かりました、ありがとうございます!」


そう言ったアカリちゃんの表情は少し暗い、しかしこれでめげるんじゃないぞ、これを機に周りとのコミュニティ能力を強化してたりしてもよし。大抵のハプニングにも冷静に対応できるよう、しっかり教わってくるんだぞ、アカリちゃん。


「さて、前述した通り僕の役目はここまでだ。お前達が無事ヘヴンに入隊できるよう願う……頑張れよ」


『了解致しました!リュウイチ様!ありがとうございました!!』


僕が訓練所を出ようと出入口に移動しようとした瞬間、ドアの先に人の気配を感じ、僕は開けるのを止めるとドアの向こう側にいる者が代わりにドアを開く。そこにはキラキラした目をしたやつがおりすぐさま僕に抱きついて来た


「あ〜!りゅうく〜ん〜!!こんな所で会うなんて何かの運命かも!きゃ〜!言っちゃったぁ!という訳だからりゅうくん、後でデートしようね♪」


何なんだそのテンション!意味の分からない事をベラベラとほざくな!

僕に抱きついて……いや、いつもの怪力で強引に僕を締め付けている……何とかサツキを突き放し僕は一喝する。


「放れろこのアホデビル!研修生達の前なんだぞ、少しは羞恥心というものを覚えろ!理解しろ!実践しろ!」


「は~い♪ じゃあみんなが居なくなったら抱きつくねぇ!」


「まず抱きつくという選択を抹消しろ!……良いかお前ら、こいつみたいに羞恥心が無いような行動はするんじゃないぞ!特務執政官リュウイチ隊長としての命令だ、分かったな!?」


『り、了解致しました!』


ちっ……完全に呆気にとられてるじゃないか、本当にこのアホデビルには困ったものだ。やはり一度本格的躾ないとダメか……?


「わぁ、さすがりゅうくん!嫉妬しちゃってる子が1、2、3……わぁ、5人もいるよぉ!?人気者は辛いねぇ、りゅうくん♪」


その嫉妬を憎しみに変えそうな元凶であるお前が言うな!まったく……と言うかこいつは何をしに来たんだ?


「そんな事よりなんでお前がここに居るんだ?」


「あ〜それなんだけど、今日の第三部研修を担当する一人が体調崩してダウンしちゃってさ、他の隊員も緊急のミッションの援護に入っちゃって、あたしが代わりに抜擢されたの!マスター直々の司令でね♪」


事情は把握したがなぜこいつなんだ?こいつよりまともなやつがもっといるだろうに……あぁなるほどそういう事か……僕はそこまで考えてたが、すぐにある一つの推測……いや、確信を得た。


「アカリちゃんがいるからか」


「大正解!♪ 見学させて説明するだけだし、研修生達の中で少しでも慣れてるあたしに担当させるのが適正だねってマスターが♪」


やはりそういう事か……まあ良い、僕はどうせこれで交代だし、サツキのハイテンションに振り回されずに済む。それに、フランクで話しやすそうなこいつの方が、緊張している研修生達には丁度いいかもしれないな。


さて、僕は自分の執務室に戻るか


「あれぇ、りゅうくん、どこいくのぉ?」


「僕の役目は終わった、だから執務室に戻るんだよ。お前は精々変な事を研修生達に吹き込んだりせず、大人しく先輩をやるんだぞ」


「えぇ〜!せっかく一緒に回れると思ったのにぃ……残念……お疲れ様、りゅうくん……はぁ……」


あからさまにテンションガタ落ちしたような表情をしながら僕に声をかけてきた。

僕はその意気消沈した声を背中で聞き、振り向かず手をひらひらさせながら、サツキが入って来た出入口に向かって再び歩み出す……と、背後からボソボソと研修生達が少々狼狽えている。



「お前たち、大丈夫だ。一見アホそうに見えるアホだが、コミュニティ能力はかなりのもので、話しやすいと思うぞ。遠慮なく質問したりするといい。じゃあ、またな」


そう研修生達に声をかけ、一安心させる。サツキは一変しキラキラした目で僕を見ているが無視を決め込む……少々褒め過ぎてしまったか?

まあ、純白の研修生がこいつに毒されないことを切に願おう

僕はそう思いながら部屋を後にした。




レイ

「一つの物語小話劇場!リュウイチ様、ご指導お疲れ様です!」


リュウイチ

「ああ、なんの問題も無く終わらせたかったんだが、やはり一人くらいは跳ねっ返りがいるもんだな」


レイ

「しかし、かなり慕われてたじゃないですか!一撃で相手を改心させるとは、さすがリュウイチ様ですね」


リュウイチ

「あんなやつに慕われても嬉しくない、と言うか迷惑だ」


レイ

「おや、これは手厳しい。ではあの方が女性だったらお優しくしてお喜びになるんですか?」


リュウイチ

「次回、一つの物語〜それぞれの思想編3〜……なんか言葉の端々に悪意を感じるんだが?」


レイ

「とんでもない、一般論ですよ☆」



次回掲載日6月24日



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