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一つの物語  作者: 世界の一つ
一つの物語〜悲劇編〜
26/112

一つの物語〜悲劇編3〜

登場人物


・ユマリ

リュウイチ直属の一等粛正官で彼の部下兼護衛を務めている。物静かであまり多くを語らない、幼馴染のリュウイチを兄と呼んで彼を慕っているが、その想いは兄以上の想いを寄せている。ミツキと同じく少々独占欲が強い。

兄のレイとジュンの事は名前で呼んでいる。彼女曰く、自分の兄はリュウイチだけとの事。

兄達に似て魔法も使えるが、基本的に短刀を使い、まるでニンジャのような動きをする。


・ミツキ

幼馴染のリュウイチと同じ特務執政官でミツキ・アサギリ部隊隊長。リュウイチに惚れており、彼の実の妹にすら嫉妬や警戒心を抱くほど彼を想っている。しっかりしてるがここぞと言う時に詰めが甘い時があり、私生活でもどこか抜けている。容姿端麗、頭脳明快、長く綺麗なポニーテイルが特徴。その容姿と優しさからヘヴンの隊員達には人気が高い、しかし当の本人はリュウイチにしか興味が無い。ちなみに妹であるサツキに劣らないくらいの怪力を有しているが、それを使う事はあまりない。


・サツキ

リュウイチの幼馴染でミツキとは3歳離れた姉妹。一等粛正官サツキ部隊の隊長。並外れた怪力の持ち主で、それが災いして被害を拡大させてしまう事がしばしばある。本人は一応気をつけて行動したいるもののなかなかそれが実らない。

姉のミツキ同様リュウイチに好意を寄せているが、時にミツキ達を応援するそぶりを見せたり、リュウイチに迫ってからかったりする事が多く、何を考えているのが分からない時がある。姉に似て顔はかなり綺麗に整っていて、サラッとした茶髪のセミロングが特徴


・カイ

リュウイチのガード兼親友であり、彼の護衛で彼の良き友でもある。リュウイチと同様剣の使い手で腕前は超一流であり、素早さに特化した戦闘スタイルである。極度の緊張症で女の事になると右往左往してしまい、言葉がたどたどしくなる。が、男女関係なく気さくな性格なので、女は勿論男にも人気がある。


・レイ

カイと同じくリュウイチのガード兼親友。いつも笑顔を崩さない明るい成年で妹にユマリ、弟にジュンがいる。魔法を得意としており、時空間魔法や上級魔法も短い詠唱で発動する事ができる所謂天才であり、本人はそれを誇示したりしない。たまにサツキと一緒になって悪ノリをしてリュウイチに叱られることがあるが、反省はしていない様子。


・キラ

リュウイチ部隊の一等粛清官であり、ユマリとサツキ達の同期。穏やかで優しい性格で、部下などにも分け隔てなく接する好青年。潜在能力が高く、単体で大物イレギュラーやギガントモンスターを粛清できるくらいの実力があるが、本人はそれを謙遜している。

モンスターよりイレギュラーの粛清を主に行っており、戦闘スタイルは魔銃を駆使して戦う。その射撃の腕前は極めて高く、狙撃も難なくこなす。


・ミソラ

特務執政官、キョウコ・ミソラ部隊隊長で短刀を二本使った素早い動きが基本的戦闘スタイル。乱戦になると味方の治癒も行う治癒術師でもあるため、尚且つ優しく人当たりも良く気さくな性格なので、部下や他の隊員にも人気が高い。噂ではミツキと同じくらいのファンクラブがいるとの事だが、本人はそれに少々困っている。


・ジュン

ホーリーヘヴンの三等市政官であったが、イレギュラー化してリュウイチ達に襲いかかる。レイに似て魔法を得意としており、時空間魔法を扱う。また手甲鉤での接近戦も得意としている。一度拘束されたが、リュウイチ曰く何者かの手引きによって逃走した

遠目で見ても分かるくらいリュウイチ隊長は疲弊しているようだ。

呼吸はしてらっしゃる様だけど、血の気がなくなっている。水のせいで体温が低下してきているのかもしれない。

早く行かなきゃ!


「リュウイチ隊長!くっ!早く行かなきゃ手遅れになってしまう……!」


「まあ、そう慌てずに……ゆっくり命の奪い合いを楽しみませんか?一等粛清官のキラ隊長……?」


くっ!本当にあのジュンなのか?完全に邪悪な面が表に出ている、こうも印象が変わるなんて……

君は一体どんな気持ちで僕たちといたんだ?

自分の家族たちですら殺す気でいるのか?


「君は本当に僕達を殺したいのか?君の仲間たち、そして君の家族たちを!君にとって彼らの存在をなんだと思ってるんだ!!」


湧き上がる思いを全て口に出してしまった、止められなかった……しかし何も言わずにはいられなかった!共に過ごして来た者たちを本当に殺すと言うのか!!?


「私にとっての家族や仲間ですか……確かに少々家族愛や仲間に対しての情はあります。しかし、それはすべて無意味な事なのです。私が崇拝し、重んじる者はあのお方のみ。今やそれ以外の存在は……全て障害でしかない」


っ!?

家族であるレイさん達すら障害?!そこまで崇拝している者の影……一体何者なんだ?どうしてこうも盲目になれるんだ?


分からない……なぜそんな大切なものを消す事ができるんだ?彼にとってみんなとの絆や思い出は本当に大したものではなかったのか?


僕は、心の奥底から何かが湧き上がるものを感じた。


愛する家族達をぞんざいに扱い、仲間達を殺す事を何とも思っていないあの異常性


……許さない、仲間を裏切り、家族をも蔑ろにするジュンを!僕は絶対に許さない!!


「一等粛清官キラ……イレギュラーを粛清します!!」


僕は素早く魔銃を構え、早撃ちで彼に向かって魔弾を撃ち放つ

この男を倒す!リュウイチ隊長を……みんなの存在と信頼を踏みにじったこの男を必ず倒す!


「キラさん!そのまま魔弾で弾幕を張りつつ前進してください、下手に屋敷を崩壊してしまうと後々面倒です!アイツを外へ叩き出しましょう!リュウイチ様に攻撃が当たらぬ様、僕がシールドを張ります!」


「分かりました!!」


僕はジュンを弾幕で牽制する

ジュンに向かって可能な限り速く撃ち続ける!


「くっ!この閉鎖空間ではみすみす的になってしまうか……流石ヘヴン内で随一のスナイプハンター……一切容赦が無い、このままでは危険ですねぇ……良いでしょう、兄上の望み通り外でお相手をして差し上げます……ふんっ!」


ジュンは壁をぶち破りリュウイチ隊長がいる外へ出た。すかさずレイさんがリュウイチ隊長に向けシールドを張る。

ジュンもさすがに素早い、こっちは三人がかりで攻撃しても全て避けられてしまうっ!

先ずはあいつの回避力を何とかしないと……


「レイ、お前は下級魔法と中級魔法でひきつけてくれ、俺とキラでなんとかあいつの足を止める!」


「手加減はしませんよ、巻き添いくらわないようにご注意下さい」


そうだ、手加減なんてしない!でも僕達の動きはほとんど見切られているだろう、何とかして動きを止めないと……やるしかない!


「ふふ、派手にやってるわね。私達もそろそろ始める?早くあなた達を殺したくてうずうずしているんだけど」


「うわぁ奇遇だね!あたしもキョウコをぶん殴りたくて仕方ないんだぁ♪……よくもみぃ姉を利用してくれたね、ワンパンじゃ済まさないんだから……!」


サツキさん達も睨み合いから戦闘に発展しそうだ、できれば援護したいけど……そんな余裕はない。

……リュウイチ隊長なら平然とやってのけるだろうな、僕も頑張らないと!


思い出せ、リュウイチ隊長のアドバイスを



"いいかキラ、狙撃はもちろん通常戦闘の時でも敵の動きに翻弄されるな、神経を集中させろ"



集中して……



"空間を把握し、呼吸を整え、相手の動きをよく見て次の行動を先読みするんだ"



相手の動きをよく見ろ……



"外すなんて事は考えるな、自分を信じろ"



自分を



信じる!!



「ここだ!!!」


僕は一瞬の時を見出し、フルチャージを解き放った



「なっ……にっ!?」


渾身の攻撃がジュンの左足に命中し、その足は消し炭と化し、体制を維持できずその場に崩れ落ちた。


「ハー……」


「お見事!」


緊張の糸が切れた様に、僕は軽く深呼吸した。

そんな僕に近づいて付いて来たレイさんがどこか優しさを感じさせる笑顔で、僕の肩に手を置いた。

……僕はレイさんやユマリさんの事を考え、少々罪悪感が湧いてくる。それを押し殺し引きつった表情で、無理やり作った笑顔を返す。


……覚悟が足りなかった


「ぐあぁぁぁぁ!!足が!!私の足がぁぁぁぁ!!」


ジュンの苦痛に染まった絶叫を聞き、僕はハッとして思わずその場でのたうち回っているジュンに視線を戻した。


……ん?

なんだ……?


片足を失い断末魔を上げていたジュンが急に静かになり、口元で何か呟いているような姿が一瞬見えた


まさか、詠唱?


「許さない……許さない……私の足を……よくも私の足をおおおおおおおおっっ!!!」


半狂乱の如くジュンは怒号を叫び、僕たちに向かって魔法を放ってきた

あれほどの魔法が直撃したら僕だけではなく周りまで被害が!!ミツキさんやユリコちゃんがいる方まで被害が出てしまう!!


「そうはさせませんよ!アイスウォール!!」


蛇の様な火炎魔法を放ってきたジュンの攻撃が直撃する前に、レイさんが大きな氷壁を一瞬の内に具現化させた。おかげで被害はでなかったけど……

僕は後方にいるユリコちゃんたちに目を向ける


……子供もろとも殺そうとしたのか?なんて残酷なっ!


「女だけじゃなく、子供の命まで消そうとしやがって……!てめぇ、そこまで落ちたのか!?」


カイさんが怒りの言葉をジュンに浴びさせたが……当の本人は全く聞いていないようだった、先ほどから何かを呟いている様だけど……


「許さん……よくも私の足を!!よくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくも……ヨクモ!!!」


呪いの言葉のように繰り返して呟くジュン、その表情は完全な殺意に歪んでいる……いや、違う……笑っている……のか!?


こんな状況で……?!

精神が破壊してしまったのだろうか?恨み言を口にするジュンは邪悪に歪んだ笑みを浮かべている。


「あらら、ジュンが壊れてしまったみたいね。計画に支障をきたさなければ良いけど……あのお方に申し訳が立たないわ」


「因果応報ね、愉快だわ」


後方でミソラと戦闘していたユマリさんが、ジュンの奇怪な状態を目の当たりにしても、いつもの冷静な表情を崩さず、ミソラに皮肉を口にした。


それが不愉快だったのか、ミソラは一瞬ユマリさんを睨みつける。ユマリさんは至って冷静にミソラを見据える。


「まあ、例え私たちが死のうと、あのお方は顔色一つ変えないでしょうね。ご自身の大望の為に私たちを使っているに過ぎない、そして私達はあのお方に最後まで御使いする……死んでもね☆」


「あら、あなた達は使い捨てなのね?兄さんとは真反対の性格じゃない」


「うわ、使い捨てにされてかっわいそ〜♪やっぱりあんた達なんてりゅうくんと比べたら三下同ぜーー……っ!?」


最後まで言葉を聞かずミソラはユマリさんとサツキさんに斬りかかったが、二人ともそれを軽々と防御する。ミソラはいつも通り明るい顔をしているが、辺りが薄暗いせいか、その表情はどことなく不気味である。


「キラぁ!キラぁ!キラぁ!!!あなただけは絶対に私が殺して差し上げますからねぇ!!今ぁ!今行くぞぉぉ!!」


ジュンの憎しみに満ちた叫び声を聞き再び僕は振り返った。ジュンはなぜか切断された部分を殴りつけながら立ち上がろうとしている……本当に壊れてしまったのだろうか?狂気を感じる。


「ジュン、あなたの負けです。とどめを刺しますが、何か言い遺す事はありますか?」


そんな狂気じみたジュンを見下ろすレイさん、今から自分の肉親を粛清しようというのにあまりにも淡々としている……やはりずっと前から覚悟していたのだろうか?彼の表情から迷いが一切感じない。


「おやぁぁぁぁ???何を言っているんですかぁぁぁ?!負けてなどいない!!私はまだ生きてる!ターゲットを殺そうとしている!ふざけた事を言うなぁ!!」


立ち上がろうとして失敗するその度に、切断面を殴りつけては苦しみのたうちまわっている

なんて哀れなんだ……


「無様だな……それより早くリュウイチを……お、おい……!なんだ、あれ!?」


突如カイさんが驚愕しながら何かを指差している


……なっ!?

カイさんの向いている方向に目をやるとリュウイチ隊長の倒れている川から、顔のようなものが浮かび上がってきていた……!


「なに……あれ?あいつからすごく嫌な気配がする……!」


ユリコちゃんを守っていたミツキさんが怯えながら両手で口をふさぐ……ミツキさんの言う通り、今まで感じた事の無い程の悪寒を感じる……!


常人の二倍は軽く超えているだろう、その顔は恐怖というものを体現したような表情をし、瞳は白目を剥いたように濁り、乱れた長い黒髪が更に恐怖を仰いでいる……


「……お姉ちゃん……」


え?

お姉ちゃんって……あいつが?

"お姉ちゃん"と呼ばれる者は倒れているリュウイチ隊長をその大きな腕で軽々と掴み上げる。その光景を目の前にしたレイさんが驚愕の言葉を上げた。


「っ!?シールドが効いていない!?超級魔法でも1・2発は無効化するレベルなのに!」


「な、何すんのさ!!今すぐりゅうくんを放せぇ!!」


サツキさんの怒号が辺り一帯に響き渡る……耳をつんざくほどの大声で……いや、ほぼ絶叫に近い声量でリュウイチ隊長のそばにいる"お姉ちゃん"に向けて言い放つと同時にもの凄い速さで駆け寄って行く。


「貴様ぁ!!私の邪魔をするなぁぁぁ!!キラもこいつらも全員私が殺してやるんだ!!私の足を吹き飛ばしたあの男をぉぉ!!哀れな死霊如きが邪魔をするなぁぁぁ!消えろぉぉぉ!!」


なんだって?死霊?!ジュンが激情に駆られた叫びを放つ。


敵に向かって駆け寄っていたサツキさんは拳を握りしめ、雄叫びをあげながら渾身の一撃をくらわせようとするが、敵はそれを大きな腕で振り払う


「うわっ!!」


吹き飛ばされたサツキはすぐに空中回転をし体制を直しながら着地すると同時に、敵を鋭く睨みつけた。


「あーあ、リュウイチ君の能力と共鳴する力が強かったのかな?私達が思っていた以上にあの思念体の潜在能力が高いのかしら……」


「思念体!?共鳴!?一体何を言っているんだ!?」


僕の問いかけにミソラはウィンクしてそれはヒミツと囁く


「邪魔よ!」


ユマリさんはリュウイチ隊長を救い出すためか、通りがかりにミソラに攻撃を仕掛けたが、素早い動きでそれを回避し、転げ回っているジュンのそばまで移動した。


「待ちなさいユマリ!単身で向かっても返り討ちにあうだけです。それに、下手をすればリュウイチ様が危ない!」


レイさんの制止にユマリは急ブレーキをかけた様に立ち止まる、その表情は普段見せている冷静さを感じないほど怒りに満ちて唇を噛み締めている。


「ふふ、美しい絆ね。その誠意を賛賞して特別に一つだけいい事を教えてあげるわ、彼女は特殊な能力を持っている。しかも、その能力は極めて高い……あなた達に倒せるかしら?せいぜい大いに足掻いてね☆……ーーーー……」


ん?

今何か呟いてなかったか?僕の気のせいか……?


そう言うとジュンとミソラは姿を消した、また転移したのか!

……しかし、今のはジュンが発動させたものではない……まさか、他にも敵がこの辺りに居るのか??


「とにかく、今度はあの巨大モンスター……ですね」


「……あれ?ユリコちゃん??さっきまでここに居たのに、ユリコちゃん!?」


ミツキさんが不安の表情を浮かべながらついさっきまで居たはずのユリコちゃんを探すため、辺りを見回した。


「返事はもちろん、気配すら感じない……あの子は一体なんなんだ?」


「……ごめんなさい、ユリコちゃんも心配だけど……彼の方がもっと心配だわ……!リュウイチ!今行くから待ってて!!」


そう大声を上げながらミツキさんがリュウイチ隊長に向かって走り出す。



「りゅうくん!!」

「兄さん!!」


ミツキさんに続くようにサツキさんとユマリさんが駆け出す。

危険が大きすぎる、いくら三人がかりとは言え敵がどんな能力を持っているのかも分からない……!


……でも、僕も三人と同じ気持ちだ

ずっと自制していた不安が、糸が切れたように込み上げてくるのを感じると同時に、リュウイチ隊長を拘束している腕を狙って武器を構えた。


「リュウイチ隊長……!皆さん、危険は大きいですが僕があの腕を狙い撃ちします!!その隙にリュウイチ隊長を!!」


「へっ!だよな、もう我慢なんてしてられねぇ!分かったぜキラ!援護頼む!!」


そう言うとカイさんが素早い動きで駆け寄って行く。剣や魔銃が通用するかは分からないけど、とにかく攻撃をしないと!!


「やれやれ……満場一致ですか、仕方ありませんね。僕も自分の欲求を優先させてもらいます!魔法で援護致します!!」


「そう来なきゃ♪……あ、レイ君、時空間魔法でりゅうくんだけを転移させられないの?」


「この辺りの時空間が乱れているのか、時空間魔法を発動させられないのです……くっ……すみません」


レイさんは自分の力量を悔やんでいるようだ、時空間魔法を使えず自分を責めているようにも感じる。

しかしだとしたらあの二人はどうやって転移を?


……いや、今はリュウイチ隊長の救出が優先だ!



「リュウイチを返して!!さもないと、お前を粛清するわよ!!」


「兄さんに何かしてみなさい、絶対に粛清するわ。あんたが死んでも……殺す!」


リュウイチ隊長を救出するべく、ミツキさん達は攻撃態勢に入るが、相手は不敵な笑みを浮かべる。


「……この者の能力」


なに……!?


「……大したものだ。私をーー……能力を持ってーー……」


喋った!?


いやいや、それよりも……

ミソラも言っていたけど、リュウイチ隊長の能力とあの化け物の能力が同一のもの?どういう事なんだ?


「……もしかして、兄さんの苦痛の原因ってこいつが原因なのかしら?」


確かに、ミソラたちも共鳴がどうとか言っていた。

その可能性は極めて高い


「だったら尚更、こいつをぶっ潰してりゅうくんを助け出す!」


「無駄な事を……」


……!?


「ぐあっ!!」


なにが起こった……んだ……?


「キラ!……うわっ!!」


カイさんを始め、みんなが一斉に攻撃されその場で倒れ込んでしまった


ミ、ミラーウォール……を張られたのか?

僕が射撃する瞬間、目の前にそれを発動させられて自爆をさせられた……


「い、今のはバーストドライブ……?上級魔法を詠唱無しで発動させるなんて……!」


「リ……リュウイチ……ま、まだまだ!」


「に、兄さんを……離せ……!」


ミツキさんとユマリさんがフラつきながら立ち上がろうとした瞬間、再び敵の魔法が発動され二人とも地面に叩きつけられるように倒れた


あ、あれはグラビティ……?また上級魔法を素早く発動させたのか?


「一撃が重い……しかも、俺たちが行動しようとしたタイミングに合わせて攻撃を……俺の動きが見切られてるってのか……!?」


カイさんの言う通りだ、僕も射撃する直前にミラーを張られた……一体、どうやって……!


「愚かな……貴様たちも我の贄に成るがいい……」


敵がそう言うと、僕たちを覆う程大きく禍々しい円形の魔法のような物が出現した


「ぐあぁぁぁぁ!」

「あぁっ!」

「うわぁぁ!」


ち、力が抜けて行く……!?


「ぐぅ!!あいつに生命エネルギーを吸収されている……!こ、これは……」


まずい、このままじゃ……!!


「り、りゅう……く……負けて……たまるかぁ……!」


「その脆弱なる希望……我がつゆと消してやろう……」


くっ!!



さっきより……強力に……!!







だ、ダメだ……






意識……








が……















「さあ、混沌の闇へ消えゆーー……」

























「……調子……に……」









??!!






この……





声は……!








「!?」








「調子に……乗るな!!」













全く、世話のやける奴らだ

これじゃどっちが助けに来たのか分からんな



次回、一つの物語〜悲劇編4〜



さあ、行くぞ!!

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