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一つの物語  作者: 世界の一つ
一つの物語〜不穏〜
21/112

一つの物語〜不穏編3〜

登場人物


・リュウイチ

特務執政官、リュウイチ・ナルミ部隊隊長で"自分のため"を信念に戦う成年。戦闘時は2本の剣と二丁の魔銃を使う戦闘スタイルだが、基本的に右手だけで剣を扱っている。冷静沈着で頭脳明快であり、戦場に行ってもその性格を活かし、的確な指示を出し的確な行動をとる。そのため部下や仲間達からあつい信頼を寄せられている。ミツキ達を始め、多くの女性に想いを寄せられているが、本人はそれを躱しており本人達にもその気は無い事を断言している。家族関係は兄が一人、弟と妹が一人ずついる。


・ユマリ

リュウイチ直属の一等粛正官で彼の部下兼護衛を務めている。物静かであまり多くを語らない、幼馴染のリュウイチを兄と呼んで彼を慕っているが、その想いは兄としてではなく、一人の男として彼に好意を抱いている。ミツキと同じく少々独占欲が強い。

兄のレイとジュンの事は名前で呼んでいる。彼女曰く、自分の兄はリュウイチだけとの事。

兄に似て魔法も使えるが、基本的に短刀を使い、まるでニンジャのような動きをする。


・ミツキ

幼馴染のリュウイチと同じ特務執政官でミツキ・アサギリ部隊隊長である。リュウイチに惚れており、彼の実の妹にすら嫉妬や警戒心を抱くほど彼を想っている。しっかりしてるがここぞと言う時に詰めが甘い時があり、私生活でもどこか抜けている。容姿端麗、頭脳明快、長く綺麗なポニーテイルが特徴。その容姿と優しさからヘヴンの隊員達には人気が高い、しかし当の本人はリュウイチにしか興味が無い。ちなみに妹であるサツキに劣らないくらいの怪力を有しているが、それを使う事はあまりない。


・サツキ

リュウイチの幼馴染でミツキとは3歳離れた姉妹。一等粛正官サツキ部隊の隊長。並外れた怪力の持ち主で、それが災いして被害を拡大させてしまう事がしばしばある。本人は一応気をつけて行動したいるもののなかなかそれが実らない。

姉のミツキ同様リュウイチに好意を寄せているが、時にミツキ達を応援するそぶりを見せたり、リュウイチに迫ってからかったりする事が多く、何を考えているのが分からない時がある。姉に似て顔はかなり綺麗に整っていて、サラッとした茶髪のセミロングが特徴


・カイ

リュウイチのガード兼親友であり、彼の護衛で彼の良き友でもある。リュウイチと同様剣の使い手で腕前は超一流であり、素早さに特化した戦闘スタイルである。極度の緊張症で女の事になると右往左往してしまい、言葉がたどたどしくなる。が、男女関係なく気さくな性格なので、女は勿論男にも人気がある。


・レイ

カイと同じくリュウイチのガード兼親友。いつも笑顔を崩さない明るい成年で妹にユマリ、弟にジュンがいる。魔法を得意としており、時空間魔法や上級魔法も短い詠唱で発動する事ができる所謂天才であり、本人はそれを誇示したりしない。たまにサツキと一緒になって悪ノリをしてリュウイチに叱られることがあるが、反省はしていない様子。


・ミソラ

特務執政官、キョウコ・ミソラ部隊隊長で短刀を二本使った素早い動きが基本的戦闘スタイル。乱戦になると味方の治癒も行う治癒術師でもあるため、尚且つ優しく人当たりも良く気さくな性格なので、部下や他の隊員にも人気が高い。噂ではミツキと同じくらいのファンクラブがいるとの事だが、本人はそれに少々困っている。


・キラ

リュウイチ部隊の一等粛清官であり、ユマリとサツキ達の同期。穏やかで優しい性格で、部下などにも分け隔てなく接する好青年。潜在能力が高く、単体で大物イレギュラーやギガントモンスターを粛清できるくらいの実力があるが、本人はそれを謙遜している。

モンスターよりイレギュラーの粛清を主に行っており、戦闘スタイルは魔銃を駆使して戦う。その射撃の腕前は極めて高く、狙撃も難なくこなす

みぃ姉達がいたポイントから北に進んで数十分、この間ずっと他の隊員達の姿は見られなかった。

先遣隊の言っていた"恐怖"と"赤い幽霊"とやらにも遭遇していなかった。


「あ、見てください!この道の先、森林の出口ではないですか?」


キラがそう言って指を指すと、その方向には木々が途切れて、長い吊り橋がかかった渓谷の入り口が確認できた。


「やれやれ、やっと出口かと思えば今度は渓谷の入り口ですか……先は長いですね」


レイが力なく発言する、確かにまだ夕方前なのに薄暗い場所に長い時間警戒しながらいると、いつもより時間が遅く感じる。


……!



「どうやら一息ついている場合ではないみたいだぞ……構えろ」


僕はそう言って森林奥に向かって銃口を構える。

それにならって総員が武器を構えた。


……



「もうかくれんぼは終わりだ、見つけたぞ……ジュン!」



僕は尚も出てこようとしない者たちに向かって声をかけて名前を呼んだ。

レイとキラの構える手に力が入るのを感じた。

それと同時に今まで感じていた頭痛と意識の暴風がより強くなるのも感じた。







「おやおや……見つかってしまいましたか、隠れるのは少々得意だったのですが……残念です」



そう言うと、茂みと木々の影からゆっくりと歩いてくる人影が見えてきた。

一人じゃない……もう一人いる。


あれは……


「この憎しみの嵐の中で、よく私たちの気配に気づく事ができましたね。さすがはリュウイチ様だ……」


「ジュン……さん!おとなしく投降してください!出来る事なら君を撃ちたくはないんだ!」


ゆっくり歩いて来た者達の正体は薄暗くてよく見えないが、確実にジュンだった。そのジュンに銃口を向けてキラが説得を試みた。


「投降する?それは無理なご要望です。私たちは崇高なる使命がありますから、あなた方とは生きる道が違うのですよ。まるで全然まったく違う……」


ジュンは鼻で笑いながらキラの要求に拒否を示した。彼の隣にはフードを被ったアンノウンがいる……正直、僕はジュンよりその隣にいるヤツに興味があった。


「投降する気は無い……だったら僕達はあなたを完全にイレギュラーと認定しこの場で粛清します。覚悟はできてるのでしょう?ジュン……!」


そう言ったレイの表情はいつもの笑顔が消え、真面目そのものであり、彼の鋭い目線は確実にジュンへと突き刺さっている。


「アンノウン……あんたも覚悟してよね、あの時の借りを何倍にもして返してあげるから!」


サツキは腕を鳴らしながらアンノウン威圧する、サツキの表情はニコッと笑っているが、その笑顔はいつもと違って気合いを感じ取る事ができた。


……サツキ


……


……やるしか無いな




「なぁアンノウン、その深々と被ったフードを脱いだらどうだ?お前が誰なのかは大体検討はついてる……少なくても、今目の前にいるお前は今まで戦闘してきた"二人"じゃないって事は分かってる」


僕がそういうと、カイ達が驚愕した様子で僕を見た。


「ど、どう言う事だ?!アンノウンはジュンとアイツが交互に扮装していただけなんじゃ!?」


カイがみんなの思った事を代弁するように動揺しながら発言する。だがそれは残念ながら間違いなんだ。


そう思った時、ユマリが林の中から姿を見せた。

傷は……大丈夫そうだな。


「え!?ユマりん??!どうしてここにいるのぉ?!みぃ姉達と一緒にいたんじゃ……」


サツキが驚きながらそう言うと、言い終える前にユマリはそれを無視して、僕に短く言葉を発した。


「……確認したわ」


「……了解、ご苦労だったな」


ユマリのその言葉を聞いて労いの言葉を返した。

……いよいよ、か



「確認した……?一体なにを??」


サツキが疑問を感じるのは当たり前か、とりあえず僕はみんなに説明してやる事にした。


「ユマリには、みぃ姉達の護衛ではなく"見張り"をさせていたんだ。そして二人にある行動を起こさせるために二人の前から姿を消し、そのある行動を確認した後、僕がここまでの道のに設置してきたチェックポインターを頼りにユマリはここへ来た。ある検証結果を伝えにな」


「……検証結果?それはそれはなかなか興味深い……では、なぜ私がヘヴンを裏切っていた事を知ったのかも纏めてお聞かせ下さいませんか?リュウイチ様」


レイとは少し違う、そして以前まで僕が見てきたのとも違う、不気味笑顔を僕に向けてジュンが質問してきた。



……



「いいだろう、まずお前の事だが。最初にランドル地帯でモンスターを転移召喚していたのは間違いなくお前だ。それは僕がお前と手合わせした時に分かった。昔何度もレイと模擬戦をしたのを思い出し、弟であるジュンの戦い方はそれに似ていた」


ほぉ……とジュンがニヤリと笑った


「最初にサツキと対峙した時、あの時は確実にサツキを殺しにかかっていた。しかし予想よりもサツキの実力が高く、モンスターを用いて戦闘を行った。その後僕と戦闘になりモンスターを転移するスキがなくなってしまった。更に、その時負った傷は相当なものだったはずだ、でも次にヘヴンでお前を見たときにはその外傷は見られなかった」


「この事で、その時はお前がアンノウンだったとは思わなかったよ……半分な」


「半分?」


ジュンはそう呟き僅かに疑問を抱いたようだ


「あとあとになって、僕はユウにある事を指示した。それはお前の市政官としてのデータ更新履歴と普段の行動を極秘に監視する事だ」


「おや……ユウ様まで絡んでいらっしゃったとは……迂闊でしたね……」


ジュンはため息混じりに苦笑した。


「ユウの協力を得て、お前のデータ更新にはある一定の時、空白の数十分がある事に気付いた。それはランドルの襲撃時と、セシル街道追跡戦の時、そしてランドル付近にあるグリム森林襲撃戦、以上この三回ともお前の普段滑らかで遅れの無いデータ更新が、数十分間ずつ遅れている事が分かった。そして同時に一つの確証に繋がった」


「しかしそれだけでは私だけが関与しているとは言えないでしょう、何か問題があって更新が遅くなってしまったのかもしれませんよ?」


ジュンの表情は不敵な笑みを浮かべている。

僕は更に続けた。


「そうなんだよ、確証はまだ一つだけ……だから今一歩踏み切る事ができなかった。でもな、その空白の数十分の間に、ある行動を仮定として組み込んで考えると、その仮定は"仮定"ではなく"断定"に変わった。そのある行動とは、最初に負った傷をある人物に回復を施してもらうという行動だ」


「ある人物……ってやっぱり」


カイの予想に答える様に僕は言葉を続けた。


「そう、それはギガントモンスターからの重傷レベルをもすぐに回復する事ができる高レベル治癒術士あり、僕と同じく特務執政官の隊長……ミソラだ」


「……」


ジュンはなにも言わずただ黙って僕の発言を聞いている。


「その行動はヘヴンでのマザーカメラに二人が密会している所を何度が写っていた。これで確証は二つ……もうお前がイレギュラーだと断定するには十分な証拠だ」


僕は一息ついて更に言葉を続ける


「これは余談だが、このマザーカメラは僕も何箇所あるのかまだ数え切れた事がないくらいびっしり設置されている……もちろん、お前のシークレットオフィスにもな」


僕がそう言うと、ジュンは顔色が少し変わってきた。笑みを浮かべてはいるが、眉毛がシュッとしている。


「その映像をマスターやユウと共に確認し、お前から嘘の証言を聞く事でそれは確たるものとなった……という訳だ。ミソラ、いい加減出てきたらどうだ?そんな所にいると虫に刺されるぞ」


僕は僕達の真後ろにある林に向かって銃を高速で構えてその中の内の一本の木に命中させた。




…………



ガサガサ





「……あーあ、バレちゃった☆どうしてこの憎しみの渦の中で私がいるって気付いたのかしら?」



……やはりこいつらはその事を知っているのか


「純粋な殺気には敏感でね、そんな晴れ晴れとした気持ちで殺意を向けられたら嫌でも気づいてしまうんだよ」


「……待って、キョウコがここに居るって事はみぃ姉は……!?」


……サツキ


「……大丈夫、殺されたり人質にされたりはしてないわ」


「ど、どうしてわかるのさ!!」


「サツキ、ユマリを責めるな。こいつは万が一の時はみぃ姉を救うつもりでもあったんだ。だからそんなに詰め寄るんじゃない」


僕がそう言って落ち着かせると、サツキはすぐに冷静を取り戻た。


「そ、そっか……うん、なら良かった……けど……みぃ姉は?何処にいるの?」


……


僕はジュンとアンノウンの方に向き直った。


「カイ、サツキ、ミソラから目を離すな」


「了解」

「了解……」


なるべく小声で二人にしか聞こえないくらいの小さな声で二人に指示を出す。



そして僕は、アンノウンを再度見つめなおして言葉を発し始めた


「最初、僕はジュンとミソラともう一人、規格外の魔力を持った誰かがアンノウンだと思っていた。でも違った……いや、そうだと思いたかった。でも現実は中々残酷だったよ」


「兄さん……」


僕が落胆したのを見て、ユマリが小さく呟いて僕を励ましてくれた。


「ユマリに確認させたのは、ミソラの動向だけじゃない……ミツキの動向も確認対象に入れた。僕らが3人を残して出た後、数分間見張らせた。そしてそのあと、ユマリには演技をしてもらいその場から消えてもらった。正確には二人の事がかろうじて見える場所まで移動させた。更に、念には念を入れて、ユマリお得意の幻術を使って自分が見えないようにさせた」


そう、ユマリの特技の一つに幻術がある。

指定した人物の視界に自分がいるように幻影を見させる。使った本人はその場から離れて、観察したり不意打ちを行なったりする時に使う、なかなか便利な技だ。


「なるほど、ユマリちゃんって幻術使うのね……それは盲点だったわ……」


「そうする事で、また一つ確証を得ることができた……」


……


「……ミソラの独断行動を黙認できて、なおかつ今ここに素の姿を見せていない人物、そして"赤い幽霊"と言われている人物、更に……もう一人のアンノウンの正体……それは」


僕は言葉を詰まらせ、ジュンのとなりにいる人物に声をかけた



……



「……ミツキ、お前なんだろ?」





サツキをはじめ、その場の全員が驚愕した。




「み、みぃ姉……?そんな事って……」




「ふふ、さすがリュウイチ様……大正解ですよ」



ジュンは不敵にニヤリと笑い、隣にいた者のフードをゆっくり外した



そこにいたのは



「……り、リュウイチ……」



その聞き覚えのある声は間違いなく



ミツキのものだった……



「そ、そんな……どうして、ミツキさんが……!」


キラが驚愕の声を漏らし、サツキはその場で座り込んでしまった


「あら、ダメじゃないサツキ。敵の目の前で隙を見せたら……」


そう言い終える前にミソラは素早い動きでその場から消えた


「首元を切り裂かれちゃうわよ……☆」


「……なっ!!しまった!!」


ミソラを警戒していたカイが急いでミソラの行動を阻止しようと駆け寄ったが間に合わず

一瞬でサツキに詰め寄ったミソラがサツキの首を狙って短刀をつきつける







……が、そうはいかない


僕はミソラの行動を先読みし、サツキを庇いつつミソラの短刀を僕は自分の剣の鞘で防いだ。


「……僕の目の前で女を傷つけさせない、何があってもな」


「そんな固いこと言ってると、いつか自分の命を落とすわよ?それとも死にたいのかしら?だったら望み通りにあなたから始末してあげるわよ?」


ミソラの表情は不気味なくらい柔らかかった、今まで何回かこいつと共闘してきたが、こんな表情は見た事がない。

僕はミソラを押し戻し、距離を置かせた


「生憎、死にたくても死なない強運を持ち合わせていてな、貴様じゃ僕をヤれないぞ」


「りゅ……りゅうくん……ごめん、あたし……」


僕の言葉を聞いてミソラはクスクスと笑う。

そして背後で座り込んでいるサツキが今にも消えそうな声で僕にそう囁いた


「あ、そうだ!どうして私がジュンと手を組んでいると分かったのに私だけ放置していたのかしら?それを訊く前にあなたを殺すところだったわ、危ないあぶない」


……


僕はミソラの戯言を受け流し、ミツキの方に目をやる。

……ミツキは目が虚ろで先ほどよりも殺気が膨らんで来ていた


「……いいだろう、手短に話してやる。カイ、サツキを頼む」


「すまんリュウイチ……サツキ、立てるか……?」


カイはそう言ってサツキに駆け寄り、手を差し出す


「貴様がアンノウンじゃないかと思ったのは街道での戦闘後だ。そしてあの時アンノウンに扮していたのはお前だろ、兄貴の一撃をくらってすぐに回復できるのは貴様か僕くらいだからな。だから貴様がギガントモンスターから負傷を負わされた時にその回復力を確認しにいったんだ」


「あの時は本当に痛かったわ……あなたと違って女にも容赦ないんだもの……少しイラッと来ちゃった。その上ギガントモンスターにまで攻撃されちゃって……だから思いっきり切り裂いてあげたの、ちょっとスッキリしたわ☆」


ミソラは不敵な笑みを浮かべてそう言った


「あの時貴様が使っていた魔銃、特殊な加工がされている珍しい物だった。その後グリム森林の時にもジュン達を追撃する時に同じ魔銃を使っていたな、最初は分かり易すぎてどういうつもりだったのか逆に分からなかった」


「あぁこれのコトね、あの時も言ったけどカッコイイと思わない?☆」


そう言いながらミソラは魔銃を取り出し、僕達に見せびらかせるようにヒラヒラと魔銃を扱う


「お前がその銃をあえて僕たちに見せつけたのは、僕たちの不信感を煽るためにやったんじゃなく、あえて僕たちの注目を貴様に向けさせるためにとった行動だったんだろ?……ミツキを隠し玉として確立させるために」


「正解☆あなたがユウにミツキの事を極秘に調べさせてるのを知った時はそれなりに慌てたのよ?あなた鋭すぎるのよ、なんでミツキを疑ったの?」


ミソラの疑問を聞きながら僕はミツキの気配に気を向けていた。……頭痛が激しくなってきているが、今は放っておこう


「僕たちがセシル街道に行ってる時、ほぼ同時刻にミツキが出撃していた。そしてその結果"なにもなかった"と言っていたが、おそらくそこには時空間魔法を発動させていた……なにをしていたかまではまだ分からないが、その企みから僕たちの目を背けるために、わざわざ貴様がセシル街道で衆目を集め、更に独特の形状をした銃を使い、貴様に注目させた」


「全部お前たちが仕組んだ事だったんだな……胸糞悪いぜ」


カイが不快感をあらわにして、ミソラを睨みつける


「最後に、貴様らを野放しにしていたのは確信を得るためだ。できれば僕自らが調べるなんて面倒な事をしないために、貴様ら自身でボロを出すよう仕向けた」


「なるほど、それでユマリちゃんに私たちの監視をさせたのね」


「でも、その前にもう一つの確信を得られた。お前は僕たちと別れる前に"赤い髪の幽霊"と言ったな。なぜ赤い髪だと分かった?お前は姿を見ていないと言っていたのに、的確に赤い髪と発言した。それに先遣隊たちの生き残りが言っていたのは"赤い幽霊"だ、赤い髪とは言っていない」


「……あーあ、ドジっちゃったなぁ……今度から気を付けないと、あの"お方"に怒られちゃう……」


……またそれか


「怒られるのが嫌なら今ここで粛清された方が良いんじゃないか?もうそんな心配をしなくて済むぞ」


「嫌よ、あのお方に怒られるのも私の喜びの一つだもの」


思っていたより歪んでるな、盲目な信仰ってやつか


「お話はここまでだ、ミツキを返してもらうぞ」


僕はミツキに目を向けて鞘に収まったままの剣を構える。


「あら、剣を抜かないの?それだと殺傷能力が低いし扱い辛いんじゃない?それともやっぱり死にたいのかしら?」


「女に剣や銃を向けないのが僕の信念の一つなんでね、それに僕はミツキを殺すつもりはない」


その時、ミツキが頭を抑えて苦しみだした


「うっうぅ……!!」


ミツキ……!?


「みぃ姉!一体どうしちゃったの?!なんでこいつらなんかと一緒にいるの?!お願いだから答えて!!」


「さ、サツキ……り、リュウ……イチ……!うぅ!うわああああ!!!」


サツキの悲痛な呼びかけに、ミツキは更に苦しみを増しているようだった。

……この反応と殺気、やはり


「バーサーカー……」
















キラ

「一つの物語小話劇場!はじめまして、キラと申します!どうぞよろしくお願い致します!」


リュウイチ

「レイに続いて、今回も律儀な奴か……楽できそうだな」


キラ

「何を言っているんですかリュウイチ隊長!こういう時でも礼儀を欠かさず、真剣に取り組む事が大切なんですよ!!」


リュウイチ

「僕は今回かなり真剣な発言をたくさんしたんだぞ?こういう時くらい楽させてくれよ」


キラ

「はっ!!そうだ、ミツキさんが大変な事になってるですよね!!なんとかしなくちゃ、リュウイチ隊長の大切な人だからなるべく攻撃をしないようにしないと……いや攻撃せずに止めるなんて事ができるんだろうか……いやいや、止めなくてはいけないんだ!そうだ、僕たちならやれる!じゃあどうやって行動しようかな?なるべくミツキさんを傷つけないように威嚇射撃をして、それから……」


リュウイチ

「次回、一つの物語〜不穏編4〜お楽しみに」


キラ

「よし!シュミレーションはできた!絶対に助けてみせるぞ!!ね!?リュウイチ隊長!!ねっ?!」


リュウイチ

「はいはい……」

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