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一つの物語  作者: 世界の一つ
一つの物語〜選挙編〜
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選挙編6


ーー数分後、ホーリーヘヴン・第二拘置所ーー




「リュウイチ様ご苦労様です!マスターよりお話しは伺っております、どうぞお入り下さい」


「ああ、お邪魔するぞ。早速だがレッカと面会をさせてくれ」


警備兵にそう言うと「了解しました」と、はきはきと返事をして奥に消えていった。

それにしても、ここは何回来ても慣れない独特な空気がある、そんな中で何日も過ごすと思うと気が滅入りそうだ。


お、来たきた


「……リュウイチか、何の用だ?」


「挨拶も無しか、少しは愛想良くしても良いんじゃないか?」


「こんな場所で気持ち良く挨拶なんてしてられん」


フッ、やっぱりそうだよな

防犯ガラスの向こうにいるレッカが気だるそうな雰囲気を出しながら答えた。


「では、終わりましたらお声をおかけ下さい」


「おう、ありがとな」


警備隊にカイが答える。


「大した用でもないんだが、僕は先日賢者選挙に立候補したんだ。一応報告しておいた方が良いと思ってな」


「そうか……ならば約束通り協力しよう。マスターに直接詳細データを渡した方が良いか?」


壁を背にして座りながらそっぽを向いていたレッカだが、僕が選挙の話をするとこちらに綺麗な顔を向けた。こんな場所じゃなければもっと輝いて見えたかもな。


「そうしてくれるのはありがたいんだが、本当に良いのか?たった一人のために何万何千もの個人データを渡すなんて……」


「相応の信頼を寄せているんだ問題は無い。仮にみんなが協力的じゃないとしても、私だけでもお前に協力する」


……


「償いか?」


「それもある、私があの時足でまといにならなければ、お前はあんな大怪我をする事はなかった……それに最後まで対話をしようとしていたお前を無視した結果があのザマだ。その罪を償えるなら私にできる事はなんでもしたい」


そんなに気にしてたのか、僕としては自分が考えられる最善の事をしただけで恨んではいないんだが……レッカにとっては罪悪感を感じているみたいだな


「僕はそんな事気にしていない、それにお前を責めるつもりもないぞ、しかも僕を匿ってくれたのはレッカじゃないか。お互い様だよ」


「……リュウイチ、お前は知らないだろうがあの時重症を負ったお前を死亡したと見せかける提案をしたのはアキト殿で、私はそんなリュウイチを運んだだけなのだ」


「アキト様が!?そりゃ初耳だぞ!なんでリュウガサイドのアキト様がそんな事を!?」


レッカの説明にカイが驚きのあまり警備員や他の奴らに聞こえない程度に声を上げた。


にしても確かにそれは初耳だ。


「アキト殿は何故かその時満身創痍の状態だった。理由を訊くと"ただの喧嘩だ"と言ってそれ以上答えず、バックパックの様なものの中から切断された右腕を出しその場に置いた。誰のなのかは言わなかったがな」


右腕


そう言えばイブキも右腕の裂傷がどうとか言っていたな、僕がいない間にそういう情報が流れていたみたいだ。でもなぜその右腕で僕だと断定されたんだ?兄貴が持ってたというのは一体……


「右腕と毛髪と血液の検査結果で僕らはリュウイチ様のものと断定したのですが、実際右腕は損傷していなかった……毛髪と血液はまだ理解できますが、どういう事なのでしょう?」


僕もレイと同じく思考を回転させている。するとレッカが声を潜めた


「あまり大きな声で言えないのだが、お前の頭部の怪我は相当なものだった。それこそ、本当に助からないと思うくらいの傷だったぞ。出血量も尋常ではなかったし……私を庇う様に倒れていた……その……すまなかった」


「言っただろ、気にしていないと。お前が思い詰める事じゃない」


「……あ、ありがとう……」


なんだ、案外素直だな。


「な、なんだ!?人の顔をじっと見て!変なことを言ったつもりはないぞ!」


なるほど、ツンデレってやつか


「気にするな、ちょっとしたギャップを感じただけだ。とりあえず兄貴の事に関してはこちらで引き続き調べておく。選挙の事については僕の方からマスターに報告をして、援護の云々を含めレッカや紅の今後を話し合う予定だ」


と、これだけは伝えないとな


「それと……お前たち紅の安全は僕が責任を持って対処にあたる。もう少しだけ待っててくれ」


「……信用しよう、待っているぞ」


見つめるレッカに軽く頷き、僕は警備兵に声をかけ部屋を後にした。


兄貴の動向が気になってはいたんだが、まさかここに来てその一端を知るとは思わなかった。あいつは今頃どこで何をしているんだろう?


リュウガに殺されていなければいいが……それともまた一戦やらかさなきゃいけないのか?


……


頼むからこれ以上悪い方向に進まないでくれ


僕は心の底からそう思った……


レッカ

「一つの物語小話劇場、レッカだ。邪魔する」


リャウイチ

「また意外なやつが出てきたな、お前がここに来るとは思っていなかった」


レッカ

「言ったろ、償いになるならなんでもすると。それにユキタカやレイが出ろ出ろとうるさかったしな」


リャウイチ

「なんだ、あいつらにも言われてたのかお気の毒に……でもこれが償いになるとは思わないんだがなぁ」


レッカ

「なんだ?お前はこれを望んでないのか?」


リャウイチ

「望んでないという訳ではないが……まあマトモなのが来てくれると嬉しいかな」


レッカ

「な、な?!何を馬鹿な事を!……そうか、喜んでくれるのか……」


リャウイチ

「ん?何か言ったか?」


レッカ

「なんでもない!!次回一つの物語〜みんなのおもい編〜 これで良いか?リャウイチ?」


リャウイチ

「あ、ああ、バッチリだ流石だな」


レッカ

「……っ///」

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