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私はこの村では浮いた存在だ。青みががった色素の薄い金髪に雪のように白い肌。そして金と赤の色違いの瞳。ちなみにオッドアイはこの世界では不吉だと言われている。
加えて、私はよそ者である。私が物心つく前に母は私を連れてこの村へ流れ着いた。人の出入りがほとんどなく自給自足で暮らしているこの村は排他的で、私のような異分子に敏感だ。
母は魔法を使えたのでそれを使って村を助けてきた。だが、その母が死んでからは私への風当たりが強くなった。
それに伴い今の前にいる、こういう面倒なやつらが出てきた。
ガキ大将とその二人の取り巻きたちが嫌な笑いを浮かべながらこちらに寄ってきた。彼らのことは興味もないし関わりたくもないので名前は知らない。
「おい」
ぐいっと髪が引っ張られる。
「なにぼけっとしてるんだよ」
痛っ。なんか前にも増して嫌がらせがエスカレートしている気がする。
そういえば昨日はいきなり後ろから頭にムカデを乗せられたし。
「あっ、そうだ。こんなに髪が長いと邪魔だろ。きってやるよ。」
そう言って小さいナイフを取り出した。
いやー、それはないだろー。
あっ、取り巻きたちに逃げ道を塞がれた。みんなが笑っている。
ナイフが振り上げられた。
「……っ!」
私はとっさに目を瞑り、無我夢中で手を振り回した。
すると、手から衝撃波が飛び、ガキ大将を吹き飛ばした。取り巻きたちが驚きで目を丸くして固まっている。
「へ?これはいったい……」
自分でもなにが起きたのかよくわからない。
「馬鹿だねぇ、アンタは。自分の魔力もコントロール出来ないのかい?」
突然しわがれた声が掛けられた。そこには、紺色のローブを羽織り、杖をついたこれぞ魔法使い、という格好をした老婆が立っていた。