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神の財産とファミリア〜あなたの家族でよかった〜  作者: 飾神 魅影
序章:日常を求めて
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賢者の石を狙う者

ちょびっとだけ心理戦っぽいことやります。

またまだ荒削りなもので、皆さんをハラハラさせるような心理戦はまだ書けませんが、いずれそんな文章を書けるようになってみせます。

時刻は14時20分。

コウとツバキは移動教室のために渡り廊下を歩いていた。

コウは転校して間もないので、ツバキが校内を案内しているのだ。

次の授業は化学で、化学教室に向かうところだ。


コウはツバキとお喋りをしながら歩いていた。

そのせいもあってか、前から1人の男子生徒が歩いてくるのに気がつかず、そのままぶつかってしまった。

「すみません。大丈夫ですか? 」

咄嗟にコウが謝る。

「こっちも不注意だったよ。悪かった」

そう言って男子生徒は立ち去ろうとした。

コウも本来なら、あまり気にせず男子生徒と別れて教室に向かうだろう。

しかし、コウがふと胸元に手をやると、賢者の石のペンダントがなくなっていた。

すぐに振り返り、先ほどぶつかった男子生徒の方を見る。

(まさか、スられた⁉︎ )


立ち止まったまま動かないコウを見て不思議に思ったツバキが声をかける。

「コウ? ……どうしたの? 」

(ツバキさんに相談するべきか? いや、そんな時間はない。すぐにでも取り返さなければ)

授業が始まるまであと5分。

それまでに取り返さなければ逃げられてしまう。

(どうする……問い詰めるか? だが、声をかけた瞬間に逃げられる可能性もある。まずは相手に逃げられないように、こちらの話に釘付けにする必要がある。そしてどうにかして振り向かせ、催眠術を)


そしてコウは男子生徒の背中へと問いかける。

「それが本物だという確証はあるのか? 」

いつもの丁寧な口調とは違う、少し威圧的な問いかけ。

瞬間、男子生徒はピタリと動きを止めた。

(ただ問い詰めるだけでは逃げられてしまう。相手の不安を煽ることで逃げられなくする。まずは第1段階クリアだ)


「ふんっ……ハッタリか? 」

(あっさりと盗んだことを認めたな。〈魔術痕の探知〉を使えばすぐに正体がバレるのだ、ここで嘘をつく必要がないからだろう)

「ハッタリだと思うのなら、逃げればいい。僕は追いはしない。偽物を掴まされたまま許してもらえるのならな」

後ろからでも、男が息を飲んだのがコウにはわかった。


しかし、振り返ろうとはしない。

コウの催眠術を警戒しているのだろう。


(否定せずに動揺したことから、こいつは単独で動いているのではなく、誰かに指示されて動いている。だとしたらこのまま逃げたりはしないな。きっと今、逃げたいという気持ちと、逃げてはいけないという気持ちのせめぎ合いにいる。これは奴にとってかなりのストレスだ)


男子生徒の肩が激しく上下している。

かなり動揺して、呼吸が浅くなっているのだろう。

だから、コウは更に追い討ちをかける。


男子生徒の真後ろまで近づき、肩に手を置いて耳元で言った。

「誰に指示されたんだ? 」


肩に手を置かれたことにより、呼吸を読まれないように肩で呼吸をするのをやめた。

しかし、それは逆に呼吸を浅くしてしまうため、余計に息苦しくなる。

そして、それをコウは狙っていた。

(きっと、相当なストレスの筈だ。息も苦しくて、すぐにでもこの場から逃げ出してしまいたいはず。だからなんとしても本物の賢者の石を手に入れようとするだろう)


コウはトドメの一撃を発する。

砂漠で遭難した人間が、オアシスだと思って近づいたら蜃気楼だった時のような絶望を。


「本物の賢者の石はここだ」

そう言って、コウは男の背後から顔の前へと賢者の石を見せた。

(また息を飲んだな)


「まさか、確かに盗んだはずなのに」

男子生徒は賢者の石に手を伸ばそうとするが、コウはすぐにそれを引っ込めた。

だが、男子生徒は賢者の石を取ろうとするのを止めない。

この時すでに、冷静な判断を下せる状況にはなかった。

だから、これが罠だとも気づかずに視線はずっと賢者の石を追っている。


結果的に男子生徒はコウの方へと振り返る形となった。

男子生徒はコウと目を合わせてしまった。

「〈催眠術イプノジス〉」

男子生徒は目を虚ろにして動かなくなる。

もはや抵抗はできない。


「はふぅー。危なかったー」

「もしかして、賢者の石を盗まれたの? 」

「はい、さっきぶつかった瞬間に盗ったみたいです。多分右のポケットに……」

そう言ってコウは男子生徒の制服のポケットを漁りだす。

「ありました」

予想通り、賢者の石は右のポケットに入っていた。


「それじゃあ、さっき見せてた賢者の石は偽物? 」

「はい、〈物質の複製〉で作ったコピーです。 ハッタリをかますにしても、実物を見せた方が効果的かと思いまして」

コウが手にしている本物と偽物の賢者の石は、見ただけではどちらが本物かわからなかった。

コウはその石をまた自らの首にかけ、制服の内側にしまった。


「確かにこれを見せられたら、盗みに失敗したのかと不安になってしまうわね」

「ですが、賢者の石に付与されている魔術まではコピーできません。賢者の石には特別な刻印で、魔術による干渉を妨げられているんです」


そこで男子生徒が意識を取り戻した。

男子生徒はポケットに賢者の石がないことに気づくと、全てを悟ったようだ。

「お前、さっきのはハッタリか」

「それよりも、聞きたいことがある。お前には精神操作系の魔術がかけられていた。その魔術は〈催眠術〉でお前の精神に干渉したときに解いておいたが、誰にかけられたのかわかるか? 」

コウはハッキリとした口調で尋ねる。

「誰がお前なんかに教えるか。お前みたいな賢者に魂を売った殺人鬼に」

「さ、殺人鬼? どういうこと? 」

男子生徒はツバキの問いに答える。

「なんだお前知らないのか。こいつはな、過去にある組織の人間と魔術師を何十人も殺して、壊滅させたことがあるんだ」


ツバキは自分の耳を疑った。

誰よりも優しいコウが、人殺しをするなんて考えられなかった。

「嘘……コウが」

「嘘じゃないさ。こいつは……」

「〈催眠術イプノジス〉」

刹那、男は動きを止めて黙り込んだ。

先ほどよりも強めに催眠術をかけたのだ。

「さっきの質問に答えろ。誰に操られた? 」

「……ドール教団」

「ッ! ドール教団だと」

コウはその名前に聞き覚えがあった。

狂気を司る邪神、ドールを信仰する集団。

「誰だ。ドール教団の誰に操られた? 」

「それは……うっ! 」

刹那、男子生徒の胸から鮮血が飛び散った。

渡り廊下ががペンキを返したように紅く染まる。

漂うは錆びた鉄の匂い。

男子生徒はまるで電源を切られたかのようにその場に倒れた。

「おい、どうした⁉︎ 」

コウが身体を揺すっても反応がない。

恐る恐る脈を測ってみる。

「死んでいる……」

「そんな……」

「〈魔術痕の探知アルスサーチ〉」



羽田 正志


魂の価値〈魔術師〉 属性〈飢餓〉

性別〈男〉 年齢〈16〉


HP 110 MP 200

STR 90 INT 130

DEX 130


スキル

魔術の基礎知識 LV2

魔術師の体術 LV2

ハングリー精神 LV3


魔術

鉄の錬成 LV3

魔術痕の探知 LV3


付与されている魔術

〈処刑人形〉4月29日 13時26分



「〈鉄の錬成〉……こいつが昨日の魔術師。名前は……羽田 正志。〈処刑人形〉の魔術がかけられている。かけられたのは4月の29日土曜日午後13時26分」

「処刑人形? 」

「その魔術を1度かけておけば、任意のタイミングで殺すことができます」

そしてコウは、死体の制服の上着を調べる。

すると、小さな機械が裏ポケット出てきた。

「これって……盗聴器? 」

「みたいですね。どうやら、口封じのために殺されたようです」








心理戦に関しては、デスノートとかライアーゲームとか、カイジとかを参考にしました。

やっぱり心理戦って書くの難しいですね。

よろしければコメントやレビュー、ブックマークなどしていただけると嬉しいです。

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