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母の轍を踏みたくない。

翔兵が三年生になり、いよいよ大学受験が近づいてきました。

三年生は特進クラスが文系理系それぞれ一クラスずつあるのですが、翔兵は理系の特進クラスになりました。よくここまで登ってこられたものだと、彼の努力や底力に感心しました。

特進クラスに入ることをステイタスのように考えている生徒もいるそうですが、翔兵曰く特進クラスに入ることが目標ではなく、志望校に合格することが目標だと。その先を見据えていることにも驚きました。成長したな。

さて、私は不登校時代から引き続き、余計なことを言わないように努めています。母と同じ轍を踏みたくないので。

確かに、塾の費用、受験料、学費などなど、お金を捻出することに関しては実に一生懸命やってくれたと思っていますが、受験のたびに無駄に嫌な思いをさせられたことは今でも忘れられないんです。

年子の兄が浪人していた為、ダブル受験になったことでかなりピリピリしていた母は、プレッシャーになる発言を連発し、私への条件は差別的に厳しく、家事手伝いも免除してくれることもなく、さらには必死なあまり、私が病気になったことすら気づいてもらえませんでしたから。一方、兄は手伝いのての字も与えられることなく時間はたっぷり与えてもらい、好きなだけオロオロしたり、泣いたり叫んだりしていました。

そんな状況だったからこそ、未だに素直に感謝できないどころか恨んでいる自分がいて、そんな自分のこともイヤなんです。

受験に専念して欲しい。心配も気がかりもありますが、それは私の問題なんです。

親ができることは、費用を捻出すること。心も身体も満足する食事を用意すること。そして何より、静かにすること。


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