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モンスターティーチャー ②

電話攻勢やら立ち話に悩まされていたある日、翔兵が言い出した。

「音楽の時間にわからないところを質問に言ったら“さっき説明したじゃん”って言って教えてくれなかった。」

この担任、音楽が専門なのだが、音楽の時間にわからなかったところを、一通り説明が終わってから質問に行ったらそう言って教えてもらえなかったんだとか。これはあんまりじゃないだろうか?何回も説明を受けて理解できなかったというのであれば仕方ないが、タイミングを見計らって質問に行った相手にこれはあまりに失礼というものじゃないだろうか?


そこで数日後、また学校で立ち話に付き合わされたときにこれを切り出したところ黙り込んでしまった。


こんなバカな教師にわが子を預けなくてはならないなんて。信じられない。学校で校長や教頭に相談しようにも、学校に顔を出せば、真っ先にコイツに見つかってしまうので相談ができない。せめて学年主任に相談したら?と思う人もいるかもしれないが、コイツが学年主任である。もう私はたまりかねて、教育委員会に電話をして助けを求めた。

そしてまた数日後のこと、璃子の用事で学校に行ったところを捕まってしまい、会議室に軟禁され、暴言をしこたま浴びせられた。教育委員会にチクられたことが面白くなかったとしか思えないヒステリックぶりである。

この日、偶然にも、私のバッグにはヴォイスレコーダーが忍ばせてあった。実家のすすめで、個人面談の時に持っていくために購入したものを、感度を確かめるために持ち歩いていたのだ。そこでこれはチャンスだと私はそれほど反論せずに言いたいことを言わせてみた。

そして暴言が炸裂していくうちに、音楽の時間の件も言われた。

「すぐに責める。先日も音楽の時間のことで責めましたよね?私は責められたと思っていますっ!」

と言い放ち、鼻をつんと上に上げた。

「何か言い出したら、小出しにでも良いから教えてくださいということだったのでお話ししただけですけど、いけませんか?」

そう言うと黙りこんだ。


そしてまた翌日には、再び教育委員会へ。今度はヴォイスレコーダーを持って出向いた。同日に議員さんとも連絡がついたので、議員さんにもこの暴言を聞いてもらった。

「こんな未熟な先生を担任にしてしまって申し訳ない。」

異口同音に言われた。


これでモンスターティーチャーはやっとおとなしくなり、電話もぴたりと止んだ。この後、教育委員会の公認のもと、年度末に異動するまでの間、シャットアウトをしていた。


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