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ストレスのタイプ。

「友達でリストカットをやっている奴がいる。」

そんなことを入院中からたびたび聞いていた。翔兵は気持ち悪がっていたが、実は私も中学生の頃に同じことをしていたので、その話を聞いても驚かなかった。しかし、その時は翔兵を刺激したくなかったので、私も同じことをしていたとは言わなかった。


そして最近、また言い出した。

「リストカットだけじゃなく、手の甲をボールペンで刺したり、髪の毛を引きちぎる奴がいる。」

聞けばその子の家庭は、やたら厳しくて体裁を気にする家庭だそうで、私が育った環境と似ている。自己肯定感が育ちにくい環境という印象を受けた。

「相当なストレスみたいだね。」

「だからってさあ、怖いよ。手の甲は刺した跡がたくさんあるし、髪の毛がちぎれてるんだよ。」

そりゃあ怖いわよね。

「ストレスの出方は人それぞれだと思うよ。翔兵は体調と引きこもりっていう形で現れたよね。」

「でも怖いじゃん。」

怖いのはわかる。しかし、家庭をはじめ、何かの要因でストレスがたまると、体調に出る場合だってある。人に暴力をふるう、いじめをするなどの暴れる形で出ることもあれば、リストカットなどの自傷行為や、翔兵のように不登校、ひきこもりという形で出る場合もある。非行に走る場合もある。

翔兵はたまたま暴力的な方向にでることは少なかったが、ラプンツェルと呼ぶほどに引きこもった。


私の中でもまだ、答えは出ていないし、専門家ではないので、このことについて憶測だけで色々と書くのは不適切だとは思う。

しかし、わかっていることは、いずれの場合も自分を認めてほしいという気持ちが根底にあるということ。「助けて」「ありのままの自分を見てほしい」と心や体が叫んでいること。相談を受ける側が負担に感じるほどに叫んでいること。本当は家族や親に認めてもらいたいと叫んでいるのだ。友人にも受け入れてほしいが、それよりも家族に受け入れてほしいのだろう。


「実は、ママも中学生の頃にリストカットやっていたのよ。色々とあってね。」

「どうして?」

以前は言わなかったが、今の翔兵なら大丈夫だろうとカミングアウトをしたら驚いていた。

あの頃の私も、常に叫んでいた。

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