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クリスマスケーキ。

いよいよ冬になった。一年生も後半の現在、今のところなんとか通えているし、成績としても進級の心配もなく、やれやれといったところである。

入学からずっと、部活や補習の都合に合わせて弁当作りに勤しんでいたら冬になったという感じである。

終業式まであと数日というタイミングでの三者面談も特に注意されることもなく、無事に済んだ。休日は好きなだけ眠って、平日は時間に起きて学校に行く。帰ってきたら仮眠をとることもあるが、食事もガッツリ食べる。元気になったな、とほっとしている。


そんなこんなで冬休みというのは名ばかりの「冬季講習期間」の時期を迎えた。さすがに年末年始は休みだが、補習もある。部活もある。塾もある。こちらとしても弁当作りをしなくてはいけないので、私も冬休みとは言いがたい。

クリスマスにしても、イブも当日も、翔兵は学校と塾。璃子は璃子で家庭教師の日もあるが、友達との予定が盛りだくさんあるので、クリスマスケーキを家族で囲むために、二人の予定と希望の種類を確認してからケーキを予約した。

めんどくさいな、と思いつつも、すっかり大人びてきてもまだケーキをそんな風に楽しみにするギャップにはなんだか可愛らしさを感じた。

「もうホールのケーキじゃなくてもいいよ。」

子供たちがそう言う日が来たら、却ってさみしく感じるかもしれない。そんなことを思いながらケーキを受け取りに行く。


しかしいざ受け取ってきたら、先ほどまでリビングにいた翔兵がいない。自室に行ってしまったようだ。たいていこういうときは仮眠の時間である。念のためにLINEでケーキの写真とともに「ケーキ食べようよ。」とメッセージを入れると「先に食べていいよ。寝る。」とだけ返信が来た。あんなにホールにこだわっていても、睡魔が優先である。まあ、先に食べていいと言ってくれるだけありがたいので、璃子も待ちきれないようだし、璃子の予定との兼ね合いもあるので、お言葉に甘えてケーキをカットした。翔兵は好きな時間に起きてきて食べるだろう。

「おいしいね。」

璃子と二人でキャンドルの火を吹き消してからケーキを頬張る。彼女も翔兵の睡魔には慣れっこなので、あまり気にしなくなった。私も気にしなくなった。翔兵が納得しているのだから、まあいいや、と。

決まりなんてないのだから。三人でケーキを囲みたかったという気持ちもあるが、これが我が家のリズムなんだから。



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