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ママは反対?

「塾に行きたい。それから、部活をやりたい。運動部。体力作りをしたい。」

「はあ…。運動部?」

この運動嫌いの翔兵からの意外な言葉に、間の抜けた返しをしてしまった。塾は、入学準備説明会のときのテストの結果が思わしくなかったので、こりゃイカンと思ったのだろう。しかし、運動部。体力的に大丈夫だろうか。中学だって文化部に所属していたのだ。

「ママは、反対?」

「反対じゃないよ。体力的なことを心配しているだけ。部活と塾の両方だとしんどいかもと思って。」

「ありがと。やってみる。」

「ところで、何部に入るつもりなの?」

誠に失礼ではあるが、運動音痴の運動嫌いの彼にできるスポーツがあるのだろうか?

「卓球。あそこだったら、朝練もないし、週3,4日だけだから。トオルも一緒なんだよ。」

トオルくんというのは、小学校からの同級生で家も近く、去年は同じクラスだった子だ。友達が一緒なら続けやすいかもしれない。

「そう。まあ、体の負担を感じるようだったらまた考えるってことでやってみたら?」

「うん。そうする。塾はどうしよう?」

「入部してからの体調を見てから決めたら?」

部活の活動日数としては大丈夫そうだが、部活の曜日と塾が毎回重なるようでは続けるのは厳しいだろう。それに部活と塾を同時にスタートさせるのは負担が大きいだろう。まず部活に入ってから友達に相談するなりして探しても遅くはない。

「そうしようかな。」


"普通"の親なら始めたことは少々無理をしてでも頑張れというところかもしれないが、私が"普通"であることの必要性がない。本人の元気が優先。

翔兵は体力が回復したとは言いがたいのだ。中三の間、ほとんど休まずに登校していたとはいえ、帰ってくるなり夕食も食べずに朝まで眠ってしまうことも度々だったのだ。今のところ元気に登校して、夕方には空になった弁当箱をキッチンで渡す毎日だ。せっかく元気になったのだから、ここで無理をするのは望ましくない。

負担にならない程度に生活できることを優先してほしいと伝えたところ、心配してくれているのはわかっているから大丈夫だという返事が返ってきた。

そして翌日には仮入部の手続きを済ませ、水筒のお茶を飲み干して帰ってくる生活が始まった。

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