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修学旅行やら制服やら。

翔兵は私立の合格通知を三校分すべて手にして、まだ公立の入試を卒業式後に控えているが、行き先があることで、卒業式には晴れ晴れとした気持ちで出席できるであろう。

直木学院はチャレンジ受験でもあったので本人としてもあきらめていた。「たぶん芥川高校に行くことになると思う。」とクラスメイトにも話していた。合格通知が届いたのはそんな矢先のことだった。公立は、面談で決めた通り甲南高校を受けるのだが、その前に忘れちゃいけない。私立の一時入学金の納入。直木に納入しようとしていた矢先に翔兵が言い出した。

「やっぱり芥川にしようかな~。」

「どうしたの?」

あんなに行きたがっていたのに。

「国際科に入ったら、修学旅行が海外二週間なんだもん。」

芥川には国際科があり、合格通知とともに国際科に入学したいと希望を出せる権利をもらっているのだ。その国際科の修学旅行というのが英語圏のどこだったかの国への語学研修なのだ。

「友達に相談していたら、近くにいた、相談していない女子まで揃いも揃って芥川にしろって言うんだよな。共学でリア充しろって。」

「ふーん。そうなんだ。」

モテ、非モテは男子校だろうが共学だろうが変わらないけど。

「それに、男子校に行ったらホモになるって言われたんだもん…。」

「はぁ…?」

思わず吹き出してしまった私。そんなことを言ったら男子校の男の子は全員そうだということになるでしょうが。

「大丈夫だよ。そんなことを言ったら従兄弟の卓也兄ちゃん、ホモってことになるじゃん。」

「あ…。そっか。でもさあ直木にするって言ったらアキラが『翔兵、ホモな。』って言ったんだもん。」

「それはまた別の要因からのことだから、共学でも男子校でも関係ないよ。」

頼りにしている友人の一言だけに真に受けたらしい。

色々とそのテの話題に事欠かないお年頃なのでそういう誤解をしていたのは意外だった。まあ、それはいずれ誤解が解けるだろう。

どちらの高校にしても、期限までに振り込みを済ませないといけない。それに、公立はダメ元なので、本当に通う可能性が高いわけだから、よく考えて決定させないと。

「便利なのは芥川だけど、あんなに行きたがっていたのは直木だよね?あと、進学率は直木の方が良いよ。」

「うーん。どうしよう。」

「制服は、どっちが好み?どんなのか知ってる?」

「知らない。」

制服について知らないまま受けさせた私も私だが、本人まで知らないとは恐れ入った。たかが制服かもしれないが、三年間ずっと着るものである。「無難」または「好き」なら良いが、あまりに好みに合わないのであれば考えものである。

ネットで調べてみると、直木は黒の学ラン、芥川はブレザーだが、好みが分かれそうなデザインだ。

私にしてみたら、ブレザー姿を見たい気もするが、芥川のこの制服を翔兵が着ている姿は想像がつかない。直木の黒い学ランならば、今と同じなので代わり映えはしない。私の個人的な見解は「どちらにも食指が動かない」というのが正直なところだ。とはいっても着るのは翔兵なので、本人が気に入るかどうかである。

「どう?」

「…直木にする。」

翔兵の好みにも合わなかったようだ。修学旅行を捨ててでもこの制服がイヤだったらしい。

そんなわけで、もともとの本命の直木に決定。


志望校を選ぶ時は制服のことも少しは考えておくべきだったと反省した私たちであった。


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