私立入試三日間。Ⅱ
翔兵が入試の三日間、私はいてもたっても居られない気分だった。
それで何をしていたかというと…。三日間のうちの仕事のない二日間は泣きながら歌っていた。どうしたら良いのか分からず、大きな声でも出せば気が紛れるだろうと一人でカラオケに行っていたのだ。
しかし気を紛らすつもりが気になって仕方ない。採点機能で得点が一曲でも自己ベストを更新できたら受かる!とジンクスだか願掛けだかわからないことを思い、一生懸命歌っていた。結果、何曲か更新でき、その度に「大丈夫、受かる!翔兵、受かるよ!」と泣きながら歌っていたのだ。私ってバカだなぁ、と呆れながらも涙を流しながら歌っていた。
翔兵が試験用紙に向かっている時にカラオケとはけしからん!とお叱りを受けそうだが、本当にいてもたっても居られなかったのだ。
その結果というわけではないが、翔兵は三校とも合格した。
最初に発表があった滑り止めの清真でさえ、合格通知を見たときはホロリと来た。全日制に受け入れてもらえることにホッとしたのだ。
他県の事情はわからないが、ここでは三年生の成績だけが高校入試に反映されることになってはいるが「そうは言っても実際はね…。」ということがあるのではないかと気がかりだったのだ。
入試の日にカラオケをしていたことはいまだに子供達には秘密。さすがに笑われるだろうから。




