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アウトコントロールですか?

「お前のそのアウトコントロールなところが気に入らないんだ!」

単身赴任中の夫に電話で言われた。

翔兵の志望校選びのことである。直木学院については賛成だった夫だが、自身の出身校である竜野学園を志望校に入れなかったことが不満だったのである。

竜野学園は難関中の難関で、例えば学校の先生が「大丈夫!受かる!」と太鼓判を押しても受からないことも珍しくない学校なのだ。翔兵は中学受験を目指していたときにはそこの中学部を志望校にしていたのだが、今回は本人に聞いたところ、もういいと言う事だったので志望校の用紙にも竜野学園の名前を書かなかった。

志望校との日程が重ならないのであれば受けておいたら?と打診もしたのだが、本人がもういいと言っているので、それをわざわざを受けさせる必要はないだろう。実際、この年の受験でも学年のトップクラスの同級生が何名か受験したが、大半が受からなかった。結果としては公立の難関校に合格した彼らだが、そんな彼らでさえ、合格を手にできたのはごく一部だったのだ。

打診をした上で受けないということを本人が選択したことを尊重したのにアウトコントロールと言われても、かなりの数の疑問符が私の頭を舞うばかり。自身の出身校を受けてほしいと思った夫の気持ちはわからなくもないが、そこまで言われては。単身赴任なだけに、側にいられないもどかしさもあるだろう。しかし、物の言い方というものがあるではないか。

「~~~~!」

私は怒鳴りたい衝動を飲み込んで黙り込んだ。腹は立つが、相手は酔っ払っている。たいてい日曜の夜に電話をしてくるので、お酒を飲みながら電話してくるのだ。するとさらに畳み掛けるようにいろいろと言い出すのが常だ。

「どうして受けさせないんだ!以前は目指していると言っていただろう?」

「本人に何回か確認したけど、もういいって言ってるのよ。無理に受けさせる必要がどこにあんのよ!」

「だからお前がなあ…!」

ああ。うっとうしい。このままガチャンと電話を切ってしまいたいくらいだ。しかし、子供たちにそのようなやりとりを聞かれたくない。このような時のために子供たちがいない場所で電話をするようにしているのだが、聞こえないとは限らない。

夫はこのところ、素面のときと酒が入ったときの差が激しく、そのときのことを覚えていないことが増えている。多分、翔兵に向かって言った暴言も、私に今言っていることも、今まで言ったことも覚えていないだろう。翔兵を刺激するまいと、本人に向かって言えないことを私に言っているような気もする。私に言っていることをすべて翔兵に言っていないようなので、それがせめてもの救いだが、かといって聞かされる私としてもかなりのストレスだ。

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