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志望校選び。

暑さがおさまり、秋らしい気候になって来ると、いよいよ公立も私立も志望校を決めていく時期だ。「高校なんてどこでも同じ。」などと言っていたが、高校によって進学の状況がかなり変わってくることを知って、偏差値別に高校名が書かれている紙とのにらめっこが始まった。県内とはいっても距離的に通いやすい学校ばかりではない。それに、通いやすい学校が良いと本人が希望しているのだ。そして公立は併願ができないので公立はなおさら慎重に選ばなければならない。

「この高校にしようかな。」

翔兵が模試の結果の偏差値を参考にどんどん名前を挙げていく。

「いいんじゃない?」

「あ。ここでもいいかも。」

「そこは遠いよ。やめときな。電車だけで一時間を超えるよ。」

どう考えても電車に乗る時間だけでも一時間を超える学校の名前を挙げたときには、さすがに反対した。基本、とやかく言う気はないが、まだまだ本調子じゃない上に、死ぬほど行きたい高校でもない限り、その距離は厳しい。

「そんなに遠いならイヤだな。どうやったら遠いかどうかわかるの?」

「気になる学校があったら所在地をスマホで調べてみて。」

「その手があったか。…あ。ここも遠いなー。」

スマホを片手に次々と調べ始めると、進学率の良い、通いやすい距離の高校はどんどんしぼられていく。しかも我が家の立地だと私立はかなり少なく、近いのは公立が大半を占めるのだ。さらに言うと電車に乗る時間が少々長くても駅から近いならまだしも、学校というのは、大半が駅から離れているのだ。


「でも、直木学院だけは遠くても行きたい。」

私立の男子校の名前を挙げた。唯一、体験入学に行った学校だった。体験入学に行く気がなかったので申し込まないつもりでいたが、担任教諭から一校くらいは行った方が良いと言われ、申し込み締め切りに間に合ったのがこの一校だけだったのだ。とても進学率の良い学校だし、偏差値の面からしても内申を見ないという面でも翔兵には良さそうだ。それに本人は体験入学に行った日に「気に入った。」と言っていた。電車に乗っている時間だけでも一時間近いし、乗り換えもあるが、駅からは近い。

「いいんじゃない?」

進学率にこだわった理由は、本人が大学に行きたいというのが復帰の理由だからだ。この直木学園なら、大学の内部推薦もあるし、推薦入試も一般入試もどちらでも対応できるだけのシステムが整っている。こうして私立の本命が決定した。

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