第3話
ボクの名前は袴田光一
17歳の高校生だ
成績優秀でスポーツ万能。おまけに顔もいい
いっちゃえばラノベの主人公みたいなヤツだ
「この世界をお助けください!」
き、きたあ~!!
すごくキレイな人が召還された人たちに向かって訴える
透き通るような白い肌、ストレートの銀髪...スタイルもすごくイイ!
格好的にはどこぞの王女...というよりは女騎士だろうか?
露出度高い甲冑を身につけている
そう、ボクはどうやら異世界に召還されたらしい
ボク以外にも召還された人は何人もいる。みんな不安そうだ
「...怖がらなくて大丈夫。なにがあっても君を守るから」
「はい...」
と言って不安そうにうつむくこのコはボクと同じように召還された人らしい
顔はなかなかの美人だ
ほかにも女の子は何人かいる
みんなボクがまもらなきゃ!
「この世界は現在四大魔王によって世界危機に陥ってます...誠に勝手ながらこの危機を打開すべく異世界より神に選ばれしあなたたちを召還させていただきました」
綺麗な女の人は悲痛そうにボクらに訴えかける
魔王?世界危機?完全にファンタジーの世界だ!
ボクは興奮を抑えきれない
「わかりました。この勇者コウイチ。謹んでお受け致します」
「え?」
一瞬、変な間が空間を支配する
?あれ、ちょっと適応早すぎたかな?
こういうのはラノベで何回も読んでいるからなれっこだ
主人公は異世界に召還されて、魔王を倒してその過程でハーレムをつくる
富も権力も女も全て手に入れてめでたしめでたし、だ
それがまさかボクの身におこるなんて!
あるラノベの主人公は300人くらいの女を囲ってたからな
ボクはそれを越えるつもりだ
ちなみにボクの職業は勇者。スキルは<<全攻撃無効>>だ
チートスキルでハーレム俺TUEEEの輝かしい第一歩だ!
「ふ、ふざけるなよお!ウチに帰してくれよおお」
チッ!
なんか汚そうな男の人が半泣きになりながら叫んだ
空気台無しだよ...モブはだまっててくれ
「そういうわけには参りません...あなた達が帰る方法は魔王を倒す、これだけなのです」
まわりの空気が重くなる中、キレイな人は続ける
「もちろん我が帝国が全面的にサポートさせていただきます。あなた方は魔王を倒し元の世界に還る。私達は世界を平和にしたい。お互い有益な関係を結べると思いますが?」
「勝手に召還しといてそんな言い分...こんなの間違ってる...」
モブのくせにでしゃばるからだ
どうせ冒険初日とかで死んじゃうんだろうに
「そんなことより」
ボクははやる気を抑えきれずにまくしたてた
「支度金はもらえるんですよね?それと後ろにいる偉そうなオッサンが王様?」
「仲間って自分で用意するんですか?ギルドは?」
パーティは全員女の子にする
なんだったらさっきの子も入れてあげてもいいかな?
守る、とかいっちゃったしね
「だいたい終わりましたな」
その時後ろにいたオッサンが声をあげる
格好もみるからに上等そうだし王様だろう
「すぐ使える者は2人・・というところですな...非常に少ない結果となりました」
「2人...これだけ召還できて2人ですか...厳しい数字ですね...」
なにやらオッサンとキレイな人が内密に話している
でもボクには聞こえる
かなりキレイな人に近い位置まで身を乗り出していたからね
「ちょっと無視しないでくださいよお~...要するにボクともう一人以外は産廃ってことですよね?」
「もう一人は女の子ですか?男の人だったらボクはちょっと違う人とでパーティ組みたいんですが」
「というかあそこにいる女の子と...あの茶髪の子!ボクとパーティ組めるようにしてくれません?」
ボクは小声でキレイな人に話しかける
「これは大丈夫ですか?」
「ええ。全く問題ありません。どうぞ」
ザシュ!!
「・・・え?」
何が起こった?
キレイな人が目にも見えないスピードで・・
気付けばボクのアレが!
貫かれてる!!
何で貫かれた!?痛い痛い痛い!!
スキルは?
いやそんなことより!
「だ、誰か!回復魔法を~!!」
「回復魔法?そんな古の伝説級魔法を言うかと思えば・・ギルドとか理解できない単語も言っていたな?そちらの世界の用語をまくしたてられること不愉快極まりない。ああパーティーがどうだ女がどうだとか...異世界者が来て早々お前のような素っ頓狂なことを言い出すヤツは例外なくこうしてるんだ
...えーと、お前はなんといったか」
「...説明する順番が逆になってしまったな」