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第19話 結晶化は

「目が覚めたかい?」

 

「ここはーーーハッ!」



 野外にて

 毛布にくるまれた一匹の猫

 そして1人の魔族の男

 真ん中には暖をとるための火


 外は朝日が出ようか、というところだ



「ケイローン.....! 女将軍の手先!」

「えっ?」



 毛布から身を乗り出した....切り傷だらけのキズついた猫

 目は憎しみに満ちている

 対して魔族の男は困惑した表情を浮かべる



「ええー? そうなるの? そうなっちゃうの? それないってー.....」

「ニャ....」

「ドラくんが『ブラック結晶』を抱いたまま手放さないから.....ぼくが来るのがちょっと遅れてたらルーンさんに殺されてたよ? 逆に感謝して欲しいなあ?」



 そういえば.....

 そうだったかニャ?

 

 女将軍が「いい加減離れろっ!」と言いながら....

 レイピアで何度もドラのことを.....



ハッ! ケンドーは!? どうなったかニャ!



「その.....残念だったね。ケンドーくんは。まさかあのルーンさんが殺してまで....」

「!!」

「クソッ! 『ブラック結晶』は、やはり人を惑わす.....」



 夢じゃない....

 現実

 ケンドー! ケンドー!



ニャオオオオン......



「とりあえず他の異世界者は無事だ。今はぼくの拠点で休んでもらっている。ドラくんも....くるだろ?」

「.......」



 脱出計画は成功.....

 なわけ絶対ないニャ


 ちょっと賢くなっただけでうかれた

 うかれたドラがケンドーを殺したも同然

 同然なんだニャ



ニャオオオオン......



「ドラくん? 君はどうしたいの?」


「......とりあえずニャ」



 『ブラック結晶』

 


 ケンドーが変化した結晶

 ドラの予測が正しければ.....


 ケイローンはなんともいえない表情で口を開けた



「この世界の平和が乱された元凶だよ」


「ニャ?」


「はるか昔からエルフ族、魔族、ドワーフ族といった『異族』の連合軍と帝国の『人間』は争ってきた。でもさ。均衡状態とでも言うのかな? 戦争の数は少なくそれなりに平和だったんだよ」



 ケイローンの話では

 『ある時』その均衡状態が激変したという

 それが......



「人間による『異世界者召還』かニャ?」

「んー半分正解。異世界者.....初めの頃は帝国も『勇者』と呼んでもてはやしていたけどね。結局ボクたち異族の脅威にはなりえなかった」



 話し方を聞くに

 ケイローンは....『異族側』なのかニャ?

 いや、『帝国側』としてドラ達にたしかに座学を教えていたニャ



「強かったけどね....ハハッ。ほら、僕らも強いからさ。均衡状態を崩すとまではいかなかった」



 結局

 我々異世界者に対するゴミのような待遇

 これは

 『勇者』の戦果の無さに対する帝国の当てつけ?

 

 ちょっと見えないニャ?



「ある時スキルのAランク保持者が死んで。状況が変わったんだ。異世界者だった」

「ニャッ......!?」


(Aランク.....さらに...えには...Sラン....が存在...)


「ドラくん!?」

「な、なんでもないニャ。続けて」


「....。死因は戦死、ではなく味方による刺殺。恨まれていたのかな? とにかく驚くことにその死体はその場で黒く『結晶化』したんだ」

「......」


(味方による.....の死...条件....異世界者特有の....救済措置....結晶化が....)


「その『結晶』がこんなに戦況を変える、なんてねー」



 ケイローンの話によると

 異世界者が『結晶化』した黒い結晶は死亡者のスキル等を1つ受け継ぐらしいニャ

 そしてその結晶は武具等に組み込まれ、戦力として転用される

 

 スキルが1つしかないこの世界において

 

 スキルが使える武具の存在

 女将軍のような元々のチートスキル持ちが装備しようものなら!

 太刀打ち出来るヤツは.....

 

 ニャるほど

 戦況を覆すにはたしかに.....?



「高ランク職業者は職業補正....そのままパッシブの武具に。高ランクスキル持ちはスキル武具に。そして高ランク魔法者はオーブに組み込まれて戦争に転用されたんだ」


 

 つまり帝国は

 異世界者を召喚しては利用し召喚しては利用し『ブラック結晶』を....

 ケンドーのように....殺して...


 ニャ?

 思い通りのスキルが出ない場合も....?



「どういうわけか。結晶化される際高ランクが優先されるらしいんだ。例えば高ランク職業に低ランク魔法持ちならまず高ランク職業の能力として結晶化される」

「ニャ.....」


「何より恐ろしい大前提として」

「ニャ?」


「『結晶化』は.....君達異世界者にしか起こらないんだ」

「ニャ!?」



 『結晶化』

 我々異世界者にのみ起こる事象

 帝国が召喚した真の目的は......



「Aランク以上となれば『結晶化』は8割安定する。逆に低ランクの異世界者は安定度も低い上に運良く『結晶化』してもグレイ結晶。つまり弱い結晶になるんだ」


「高ランク者は『実験場』。低ランク者は兵力として....奴隷かニャ」



 ケンドーは....

 そんな下らにゃい事のために

 殺されたのか

 

 痛かっただろうニャ?

 苦しかっただろうニャ?


 何も....

 悪い事してないのにニャ 

 

 

 でもニャ?


 

(異世界者特有....救済措置....結晶保存....Sランク...)



「ニャハ」


「....ドラくん?」



 ドラは不気味な笑みを浮かべ

 次の瞬間狂ったように笑い出した

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