第17話 主人公死す
「俺....こ、殺され...」
<<幻惑魔法>>が切れ
『スライム化』が解けたケンドーが意識が有るのか無いのか分からない程の表情をしてるニャ
いくらDTでも言っていい事と悪い事があるニャ!
許せない.....
ドラ様が真・覚醒モード極に入る瞬間だったニャ!
一撃5000枚ニャ
「ケンドーを殺せばドラはお前の手下になどならないニャ?」
「ド...ドラ!」
ケンドーがその涙目でドラに向かって必死に訴えてるニャ
ああ....ケンドー
胸が切なくなるニャ....まだDTなのに....
絶対殺させないニャ!
考えろ! 考えるニャ! ドラズブレイン!
不可能を可能にしてきた主人公タイプのドラニャ
考えれば活路はあるはずニャ!
そうだニャ! 閃いたニャ! ニャアアアア!
「ケンドーはスキル『贋作』持ちだニャ?」
ピク.....
「『贋作』のスキルの強力さはモチロンの事。職業と魔法も隠してるニャ?」
ピク.....
「ちなみに。どういった職業と魔法だ?」
「.....」
ニャ?
ケンドーが固まっているニャ?
そういえばケンドーの職業とか知らなかったニャ?
職業『DT』とかあり得そうで怖いニャ
「言わなければ....この場で殺す!」
「い、言います言います。職業は『剣聖』...」
「なにっ!?」
「魔法は『回復魔法』です.....」
「!!」
女将軍がなんか凍り付いてるニャ
そいえば『回復魔法』とか伝説級のチート魔法って聞いたニャ
ニャハハ。
ただのDTじゃなかったニャ
伝説級魔法を持ったDTだったかニャ
「本当か? 命逃れのウソ、もありうる」
「ほ、本当です! 最近使えるように....なったんです!」
そこまで言うとケンドーの手がポゥ...と光るニャ?
DTが30歳なったら成れる、ってアレかニャ
ケンドーならきっとなれるニャ
「まだ....初級ですけど」
「キズが....きえていく!?」
女将軍の顔がみるみる青ざめてくニャ
ちょっと震えているように見えるニャ
ニャハハ
どうニャ?
ケンドーはすごいDTなんだニャ!
「使えるの、だな?」
「は、はい!」
「よかったねケンドー。ワタシが下僕として使ってあげる」
マリューがなんか言ってるニャ
ムカつくけど今はこの命の危機が去った状況を素直に安堵したいニャ
きっとマリューもケンドーには死んで欲しくなかったハズニャ
「そうか.....使えるか」
女将軍が考えこんでるニャ
ドラのケンドーはすごいんだニャ!
ケンドーが居るならドラも女将軍のトコに居て元の世界に帰る方法を探す方針でも良いかニャ?
全くケンドーは手のかかるヤツニャ
ニャハハ
「お前が『剣聖』だけ、なら死なずに済んだのにな」
「は、はい?」
ザシュウッッ!!
「ニャ?」
なにが....
今目の前でなにが....
女将軍のレイピアがケンドーの心臓を! 心臓を!
貫いた....?
「グ.....ゲホッ....」
「ニャーーーーーー!!!!!」
一体何が起きているニャ!
ドラは慌ててケンドーにかけよるニャ!
「ケ、ケンドー? ケンドーニャ? 誰か! 救急車を! ニャオオオン!! ニャオオオオン!!」
「グ....な...ぜ..」
「なぜ?」
女将軍はさも当然のような顔をしているニャ!
いや、今はそんなことより!
「ケンドー? 落ち着いて聞くニャ? お前の『回復魔法』を今すぐ全力で自分に使うんだニャ!」
「ド....ドラ...」
ケンドーが死ぬ!?
ありえないニャ!
こんなDT転んでもすぐ死ぬわけないニャ!
一緒に笑いあって
一緒に泣きあって
きっと『回復魔法』を使えばすぐ元通りニャ!
「ムダだ。急所をついた。つまり即死だ即死。死ぬんだよコイツは」
「!! ケンドー? ケンドー! 早く『回復魔法』を! ニャオオオオン! ニャオオオオン!」
「ドラ...」
ケンドーは何か喋ろうと必死になってるニャ!
そんなことより早く使えニャ!
ケンドーが死んだらドラは! ドラは!
「ありが...とう....最後に...お前が...いたから....」
「ケンドー? ケンドーニャ? ケンドーニャアアア! ニャアアアアアアア!」
「ヒグッヒグッ.....ウエエエエン!」
ケンドーが.....死んだ...ニャ
死んだ?
あのケンドーが死んだ?
「ウソだニャ! こんなの絶対ウソだニャ!」
ドラは放心状態ニャ
今までケンドーがいたから脱出計画も頑張って来れたのに
ケンドーがいたから最悪な異世界でも頑張って来れたのに
ケンドー....ケンドー....
ニャオオオオン......
「! よし! 『結晶化』の兆候に入った! 成功! 成功だ! フフフフ! ヒヒヒヒヒッ!ハァ~ハッハッハァ~!!」
「ニャ.....」
「お前ら異世界人は今回は『ハズレ』が多かったんだがなあ! とんだ掘り出し物だ! 伝説級の....ヒヒヒッ!」
そういって女将軍はケンドーの遺体に近づいてきたニャ
これ以上ケンドーに何かする気にゃら....!
「女将軍....お前だけは絶対許さないニャ!」
「ヒヒヒッ! 雑魚がっ! それどころじゃないんだよ! 伝説級! 伝説級だ!」
「お前が何を言ってるかわからニャイが! お前は絶対殺すニャ!!! 『幻惑魔法』発動!」
この女だけは絶対この場で殺すニャ!
例え刺し違えても殺すニャ!
ケンドーを....異世界者の名誉にかけて!
絶対殺すニャ!