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年の差!?

そういえば、彼の本当の年齢を知らない。今度店に行った時に、訊いてみよう。美月はそう決めた。

典子に言われて気づいた、彼が好きという気持ち。年上の男性を好きになったことは、人生初だ。どうしていいかわからない。年の差なんて、と典子は言うけれど、年が離れすぎていたら、こんな地味なJKなんか相手にされないかもしれない。でも、せめて実年齢さえ確かめられれば、諦めがつくかもしれないのだ。


そして、美月は一人で再び、マイ・プリンスにやって来た。

既に6月を迎えていた。夏服の季節だ。美月は、上はイースト・ボーイで買ったオフホワイトのポロシャツ、下は同じくイースト・ボーイのタータンチェックのスカートを履いていた。ソックスはネイビーに赤の刺繍が入ったもので、それもイースト・ボーイだ。ローファーは黒。

店には玲子はいたが、賢太郎は休みだった。いつものようにカルピスを飲みながら、早速本題に入る。

「あの、玲子さんと賢太郎さんって、何歳なんですか?」

いきなりの単刀直入な質問に、玲子は、

「幾つに見える?」

笑って返す。

「あ、ええと…」

美月はポニー・テールを揺らしながら、言葉に詰まる。玲子の見た目は30歳くらいだが、正直に言っては失礼だろうか。そんなことが頭をよぎったのだ。

「ええと〜、玲子さん、25歳くらい、とか?」

「正解!」

意外だった。実年齢より年上に見ていたのだ。それは多分、玲子が老けているということではなく、15歳の美月にとっては、かなりオトナの女性に見えていたというだけのことだろう。じゃあ、20代前半と思っていた賢太郎ももしかして…。

「賢太郎くんは、18歳ね」

想像より若かった。

「え、もしかして、高校生?」

「ううん、大学生よ」

「そ、そうなんだ…」

思っていたよりも、年の差が近かった。大学一年。三歳差。これなら「イケる」かも…。あらぬ考えが浮かんできてしまい、顔が急に熱くなってきた。勢いで、今日不在の彼について、情報を得ようとしてしまう。

「彼って、付き合ってる人とか、いるんですかね…!?」

訊いてしまい、美月は俯いてしまう。

「うーん、そういう話は聞かないけど…というか、そうだ、いなそうな話はしてたかな」

「本当ですか…?」

「うん、てか、美月ちゃん、さては!」

玲子が悪戯っぽく笑う。

「そんなんじゃないです…」

「またまたー!」

火照った美月を、玲子はさらに攻める。

「彼のどこがいいの?」

「…自分でもよく、わからなくて…犬扱いされてるし…」

美月はそう言うと、言葉少なになる。

「もしかして、美月ちゃん、ドM!?」

「違います…!」

「あ、ゴメンゴメン。でも、いいじゃん。アタックしてみたら」

「え〜、玲子さん、助けてください」

「え、私は…」

なぜか言葉に詰まる玲子。

「え、どうしたんですか?まあいいや、私、頑張ってみます」

美月は深くは考えないことにした。

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